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みみ

突発性難聴とは?早期治療が重要な理由や発症リスクの高い人を紹介

ある日突然、耳に違和感をおぼえたら誰しも驚き、どうしたのだろうと疑問を持つでしょう。

しかし、耳の閉そく感がそれほど気にならなかったり、痛みや痒みなどが伴わなかったりしたら「耳の調子が悪いな」とそのままにしておく方もいるかもしれません。

でも、もしかしたらそれは突発性難聴で、気づいたら取り返しのつかないことになってしまう可能性があります。

この記事では早期発見・治療が重要な突発性難聴の症状や治療法を解説します。

耳に違和感がある方は、今後の聴力に関わる病気の可能性があるので、早めに耳鼻科へ受診しましょう。

突発性難聴とは

突発性難聴とは、ある日突然、片方の耳の聴力が低下する病気です。

原因不明で感音性難聴が疑われるものを突発性難聴といいます。

なお、突然発症する難聴でも原因が明らかなものは、突発性難聴とは言いません。

感音性難聴とは

感音性難聴とは、耳に集められた音を脳で認識するまでの機能になんらかの問題が生じる難聴です。感音性難聴は内耳や聴神経、大脳の異常で起こりやすいといわれています。

突発性難聴は、治療が遅れてしまうと聴力が元に戻らない可能性があります。

早期治療が聴力回復につながるため、症状を感じたら早めに最寄りの耳鼻咽喉科を受診しましょう。

突発性難聴の症状

突発性難聴の主な症状は片耳に起こる難聴です。その他にも次のような症状があらわれます。

突発性難聴の症状
  • 耳が突然聞こえにくくなる
  • 耳閉感(耳が詰まった感じ)がする
  • 音が二重に聞こえる、響く、エコーがかかる
  • 耳鳴りが止まない
  • めまいや吐き気が起こる

前触れもなく突然、音が聞こえにくくなるため、患者さんの中には発症した日時をはっきりと覚えている方もいます。

また難聴だけでなく、耳鳴りや耳の閉塞、めまいの症状が出ることもあります。

突発性難聴は早期発見・治療が聴力回復のカギ

突発性難聴は、発症から治療までの期間が長いと聴力が元に戻りにくくなるため注意が必要です。

聞こえづらさを感じてそのままにしてしまうと、約1か月で聴力が固定されてしまい回復が望めなくなります。

突然片耳が聞こえづらくなったり、耳鳴りやめまいを伴うようになったりしたら、すぐに最寄りの耳鼻咽喉科を受診しましょう。

突発性難聴の原因

突発性難聴は内耳の異常で起こっていることはわかっていますが、原因や発症のメカニズムははっきりとわかっていません。

今のところ、蝸牛の循環障害またはウイルス性内耳炎が突発性難聴の原因ではないかと考えられています。

蝸牛の循環障害

蝸牛とは、内耳にある音を感知し聴神経から脳へ伝える器官です。

蝸牛には、音を感じ取る感覚細胞や聴神経があります。

また蝸牛の内壁には、感覚細胞や聴神経が正常に機能できるよう酸素や栄養分を供給する毛細血管が集まっているのが特徴です。

この毛細血管の血液循環が、血栓や塞栓などにより滞ってしまい、感覚細胞や聴神経に十分な酸素や栄養分が供給されなくなると、細胞や神経にダメージを受け、難聴が発症するのではないかと考えられています。

ウイルス性内耳炎

内耳にある聴神経は、音を感じ取る重要な器官の1つです。

免疫力の低下により、外部から侵入したウイルスまたは体内に潜伏していたウイルスが聴神経に炎症を引き起こすと、突発性難聴が発生してしまうと考えられています。

特にヘルペスウイルスなどが関連している可能性が指摘されています。

しかしながら、これまで紹介した突発性難聴の原因はあくまでも仮説であり、まだ明らかとなっていません。

突発性難聴の治療方法

突発性難聴は発症後1週間以内の治療が望ましいとされています。

なぜなら、突発性難聴は発症後から治療までの期間が長引けば長引くほど、治療後の聴力回復が望めないためです。

突発性難聴の検査

突発性難聴が疑われた際には、まず問診や検査を行い診断を確定します。

問診では症状を詳しく聞かれるのはもちろんのこと、生活スタイルやストレスの有無、糖尿病や生活習慣病の既往歴を確認されます。

突発性難聴の検査は次の通りです。

突発性難聴の検査
  • 純音聴力検査
  • 平衡機能検査
  • MRI検査

突発性難聴は、めまいや耳鳴などメニエール病の発作と症状が似ているため、医師でも判断しづらいことがある病気です。

しかしながら、突発性難聴の発症は1回きりで、再発することは稀です。

メニエールの発作のように治ったり発症したりを繰り返さないため、検査や問診の結果により診断されます。

ただ、急性期には厳密な診断より早期に治療を開始することが重要と思われます。

まれに聴神経腫瘍といった、頭蓋内の異常が原因となることがあるため、MRIによる検査を実施することもあります。

突発性難聴の治療

突発性難聴の主な治療は主に3つの方法が知られています。

突発性難聴で投与される薬
  1. 薬物療法
  2. 高圧酸素療法
  3. 鼓室内ステロイド注入

1.薬物療法

薬物療法では以下の薬剤が処方あるいは点滴されます。

突発性難聴で投与される薬
  • 副腎皮質ステロイド
  • 循環改善薬
  • 末梢神経循環改善薬

その他ビタミンB12製剤や代謝促進薬が使われることもあります。治療期間は1~2週間です。多くの場合、1週間程度で効果が現れます。

通院でも治療可能ですが、薬物の副作用への対応や治療期間中の安静を保つために入院治療をすすめられることもあるので、医師の指示に従いましょう。

通院治療であっても、治療期間中はできるだけ安静にし、ストレスや疲労を溜めないようにします。

2.高圧酸素療法

薬物治療で効果が不十分な場合に行われます。発症から約40日以内が治療適応とされています。耳痛や中耳炎などを起こす危険性があります。

3.鼓室内ステロイド注入

新しい治療で鼓室内ステロイド注入というものがあります。ステロイドを直接鼓膜の効果は期待できますが、行っている施設が限られています。また、耳痛や鼓膜穿孔などのリスクがあります。

突発性難聴の予後

突発性難聴を発症した人の約30%は治療により完全治癒します。

約30%は完全ではないものの、生活に支障が出ないくらい聴力が改善すると言われています。

しかしながら、残りの約30%は治療しても改善が見られず、難聴や耳鳴りなどの症状が残るとされています。

なお突発性難聴の症状が改善されない場合は、日常生活に支障がないよう補聴器などで聴力のサポートや耳鳴りの改善を行います。

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突発性難聴になりやすい人は?

突発性難聴の原因は明らかになっていませんが、過去の発症者の年齢や持っている疾患からなりやすい人には次の特徴があるので確認しておきましょう。

突発性難聴になりやすい人の特徴
  • 30歳~60歳代である
  • ストレスや過労
  • 睡眠不足
  • 糖尿病を患っている
  • 生活習慣病または生活習慣病予備軍の人

精神的なストレスや肉体的な疲労を感じている方や糖尿病の方は、血液循環が滞りやすい傾向があります。

その結果、蝸牛への酸素供給が少なくなるため、突発性難聴が発症しやすくなるのです。

また過労やストレスは免疫力も低下も招くため、ウイルス性内耳炎が発症し、突発性難聴になるリスクも高まるため注意が必要です。

突発性難聴の予防策

おたふくかぜや感染症の罹患による免疫力低下は避けられません。

しかしながら、ストレスや過労、睡眠不足は生活習慣の改善により回避することができます。

30歳~60歳代は、働き盛りで体力もあるため、プライベートも仕事もつい無理をしがちです。

また、食生活も疎かになり外食やコンビニなどで済ませてしまう人も少なくないでしょう。

規則正しい生活とこまめな休養を意識することが、突発性難聴の発症リスクを減らします。

教えて院長先生!突発性難聴に関するよくある質問とその回答

突発性難聴に関するよくあす質問とその回答を院長先生にお答えいただきます。

突発性難聴と診断されたときにやってはいけない行動はありますか?

ステロイドを高容量で使用することになるので、ストレスがかからないように、激しい運動や多量の飲酒などは避け、できれば安静にすることが望ましいです。

突発性難聴は再発しないと言われていますが、過去に右耳を発症した場合、左耳で突発性難聴を発症することはありますか?

理論的にはあり得ると思います。まれにその様な人もおられます。ただ、そのような場合、まずは他の疾患による難聴であることを考える必要があります。

まとめ

突発性難聴は、突然起こる原因不明の感音性難聴の総称です。

突発性難聴の耳の聞こえの程度や症状は個人差が大きいため、症状の軽い方は違和感があっても病院受診せず、そのままにしてしまうかもしれません。

しかしながら、突発性難聴は早期治療で予後が大きく変わるため、耳の違和感がある方はすぐに病院受診をしましょう。

まとめ
  • 突発性難聴は発症後早期に治療を行う必要がある
  • 突発性難聴の原因やメカニズムははっきりしていない
  • ストレスや糖尿病などを抱えている人は突発性難聴のリスクが高い

病院受診で突発性難聴だと診断されなくても、耳の違和感から別の病気がわかることも少なくありません。

「耳の違和感があるくらいで大げさな…」と考えず、なるべく早く耳鼻科を受診することをおすすめします。

福岡市東区名島にお住まいの方で、突然片方の耳に違和感を感じたら、すぐにあだち耳鼻咽喉科へご相談ください。

あだち耳鼻咽喉科では、突発性難聴の検査・治療が可能です。

また、突発性難聴に似た他の耳の疾患が隠れていることもあります。

「大したことないかも」と放置せず、定期検診をうけるような気持ちで最寄りの耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

ABOUT ME
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
日本耳鼻咽喉科学会 / 専門医・指導医 身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器認定医 / 補聴器適合判定医 / 九州大学耳鼻咽喉科 特任助教
国際医療福祉大学非常勤講師