静かな部屋にいるときや、横になって休んでいるときに、心臓の鼓動に合わせて「ドクドク」「ザーザー」と耳の中で音がすることに気づくと、不安になりますよね。
耳鳴りにはいくつかの種類がありますが、脈に合わせて聞こえるものは拍動性耳鳴りと呼ばれています。
命に関わる病気が隠れているのではないかと心配になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、拍動性耳鳴りで心配のいらないケースと、注意が必要なケースの違い、受診の目安について解説します。
目次
拍動性耳鳴りとは心臓の拍動に合わせて聞こえる耳鳴り
耳鳴りにはいくつかの種類があり、聞こえ方によって考えられる原因が異なります。まずは拍動性耳鳴りの特徴を確認しましょう。
拍動性耳鳴りと一般的な耳鳴りの違い
一般的な耳鳴りは「キーン」「ジー」といった音が持続的に聞こえるのに対し、拍動性耳鳴りは心臓の鼓動に合わせて「ドクドク」「ザーザー」とリズムを刻むように聞こえるのが特徴です。
実際に血液が流れる音を耳の中で捉えているため、まれに医師が聴診器で確認できる場合もあります。
動脈性と静脈性で異なる聞こえ方
拍動性耳鳴りは、血液の流れる場所によって聞こえ方が異なります。
動脈の血流が耳に伝わっている場合は「ヒュンヒュン」「ザッザッ」という音として感じられ、聴診器を使うと医師にも聞こえることが多いとされています。
一方、静脈の血流が原因の場合は「ボアンボアン」「シャーシャー」という低い音として感じられ、聴診器では通常聞き取れません。
どちらのタイプの音が聞こえるかは、原因を考えるうえでの手がかりの一つになります。
拍動性耳鳴りで心配のいらないケース
拍動性耳鳴りと聞くと不安になりますが、体の状態が原因の心配のいらないケースも少なくありません。代表的な3つをご紹介します。
短時間で自然におさまる場合
実は、静かな部屋では健康な人の94%が何らかの耳鳴りを感じるという報告があります。
とくに短時間で自然とおさまる程度の軽い耳鳴りであれば、しばらく様子を見てもよいでしょう。
貧血や高血圧など体の状態が影響しているもの
高血圧や重度の貧血が拍動性耳鳴りにつながることがあります。貧血が原因の場合は、耳鳴りよりも先に頭痛やめまい、動悸があらわれることが多いのが特徴です。
また、妊娠中に血圧が上がる妊娠高血圧症候群でも、同じように拍動性耳鳴りがみられることがあります。
ストレスによる一時的なもの
ストレスによって神経が過敏になり、普段は気にならない血流の音を耳鳴りとして感じやすくなることがあります。
気分転換やリラックスできる環境を整えることで、症状が和らぐこともあるとされています。
ただし、こうした工夫は受診の代わりになるものではありません。症状が続く場合は、耳鼻咽喉科で相談しましょう。
拍動性耳鳴りで注意が必要なケース
一方で、血管の異常が関係しているケースもあり、その場合は早めの受診が必要です。
動脈の異常が疑われるサイン
動脈側の異常としては、動脈が狭くなる動脈狭窄、血管の一部がふくらむ動脈瘤、動脈と静脈が異常につながってしまう動静脈ろうなどが挙げられます。
このほか、心臓から送り出される血液の量が増える高心拍状態でも、動脈性の拍動性耳鳴りが起こることがあります。
脳動脈瘤や動静脈奇形、頸動脈が狭くなる頸動脈狭窄なども、拍動性耳鳴りの背景に隠れていることがある病気です。
静脈の異常や硬膜動静脈瘻が疑われるサイン
静脈側の異常としては、静脈洞狭窄と呼ばれる、脳から心臓へ血液が戻る通り道が狭くなる状態があります。この状態は、拍動性耳鳴り全体の約3分の1を占めるとされています。
また、30〜40代のやや体重が多めの女性に多いとされる特発性頭蓋内圧亢進症(脳の圧力が高くなる状態)も原因の一つです。
まれに、脳を覆う膜にある血管が異常につながってしまう硬膜動静脈瘻という病気が原因のこともあり、この病気の軽症の患者さんの約13.6%は拍動性耳鳴りだけで見つかるとの報告があります。
進行すると年間で1割程度に脳出血などの重い合併症が起こるとされているため、早期に見つけることが大切です。
なお、検査をしても原因がはっきりしないケースも、拍動性耳鳴り全体の25〜50%程度あるとされています。
頭痛やめまいなど他の症状を伴う場合
拍動性耳鳴りに加えて、めまいや吐き気、頭痛がある場合は注意が必要です。
とくに痛み止めが効かないような新しく出てきた頭痛や、物が二重に見える症状、物忘れなどの認知機能の低下を伴う場合は、血管の病気が隠れている可能性があります。
突然の難聴を伴う場合は突発性難聴が疑われ、拍動性耳鳴りが3ヶ月以上続く場合も、原因を調べる検査が必要とされています。
拍動性耳鳴りは何科を受診すればよいか
どの診療科を受診すればよいか迷う方も多いのではないでしょうか。ここからは拍動性耳鳴りが気になるときに受診すべき診療科をご紹介します。
まずは耳鼻咽喉科での相談
拍動性耳鳴りに気づいたときは、まず耳鼻咽喉科を受診しましょう。
耳の状態を確認したうえで、明らかな異常がみつからない場合は、原因を調べるために他の診療科を紹介してもらえることもあります。
症状によっては脳神経外科と連携することもある
拍動性耳鳴りに加えて、片側だけに耳鳴りがある、めまいや頭痛、神経の症状を伴うといった場合は、脳神経外科や脳神経内科への受診がすすめられます。
高血圧や動脈硬化が疑われる場合は内科、妊娠に関連する場合は産婦人科が関わることもあります。
血管の異常を詳しく調べるにはMRI検査やMRA検査が必要になるため、耳鼻咽喉科で異常がみつからなくても、専門の医療機関で検査を受けることで血管の異常がみつかるケースも少なくありません。
耳鼻咽喉科でおこなう検査
拍動性耳鳴りの相談を受けた際、耳鼻咽喉科でおこなう検査について紹介します。
拍動性耳鳴りの問診と耳鏡検査
まずは、いつからどのようなときに耳鳴りを感じるか、片耳か両耳か、どのような音に聞こえるかなどの問診が行われます。
そのうえで、耳の中を器具で観察する耳鏡検査をおこない、耳垢や中耳の状態など、耳自体に原因となる変化がないかを確認します。
気になる症状の経過をメモしておくと、診察がスムーズに進むでしょう。
拍動性耳鳴りの聴力検査
音の高さや大きさに対する聞こえの程度を確認する聴力検査や、感じている耳鳴りの音の高さ・大きさに近いものを調べる耳鳴検査をおこなうこともあります。
こうした検査で血管の異常が疑われる場合は、CT検査やMRI検査、MRA検査が可能な医療機関へ紹介し、必要な検査や診断につなげます。
拍動性耳鳴りへの治療法
拍動性耳鳴りの治療は、原因によって大きく異なります。
原因となる病気がみつかった場合の治療
貧血や高血圧が原因であれば、それぞれの治療によって耳鳴りの改善が期待できます。血管の異常が原因の場合は、血管内治療などの専門的な処置が必要です。
たとえば硬膜動静脈瘻に対する血管内治療では、9割程度で血管を塞ぐことに成功したとの報告があります。
原因がはっきりしない場合の付き合い方
検査をしても原因がはっきりしない場合には、次のような治療がされます。
- 投薬治療
- 自然の音を聞いて耳鳴りへの意識をそらす音響療法
- 耳鳴りに対する考え方を整えていく認知行動療法
効果を実感できるまでに数ヶ月から数年かかることもあるとされています。
教えて院長先生!拍動性耳鳴りのよくある質問
拍動性耳鳴りについて、よくある質問に院長先生がお答えします。
拍動性耳鳴りで病院に行く目安を教えてください
急に起こった場合、長時間続く場合などです
ストレスも拍動性耳鳴りの原因になるか教えてください
ストレスは耳鳴り全般の悪化要因になると思われます。
まとめ
拍動性耳鳴りは、心臓の鼓動に合わせて聞こえる耳鳴りです。
貧血や高血圧、ストレスなど心配のいらない原因で起こることも多い一方、まれに血管の病気が関係していることもあります。
- 拍動性耳鳴りは、貧血・高血圧・ストレスなど心配のいらない原因で起こることも多い
- めまい・頭痛・認知機能の低下など他の症状を伴う場合は、血管の病気が隠れている可能性がある
- 治療法は原因によって異なり、原因不明の場合も症状を和らげる方法がある
拍動性耳鳴りが気になる方は、一人で抱え込まずお気軽にあだち耳鼻咽喉科へご相談ください。福岡市東区名島にお住まいの方は、当院にてまずは耳の状態を確認いたします。












