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冬に鼻血が出やすい理由とは?止め方や対策、病院へ行く目安を解説

冬になると子どもだけでなく大人も鼻血が出やすくなる傾向があります。

鼻血が出ても多くの場合、すぐに止まるので過度な心配はいりません。

しかしながら、鼻血の中には病気が原因で起こっている可能性があるため注意が必要です。

また誤った鼻血の止血法をしてしまうと、かえって気分が悪くなったり鼻血が止まりにくくなることもあります。

この記事では、冬の鼻血の原因から、効果的な止血方法、そして予防策まで、詳しく解説していきます。

大人と子どもの鼻血の違いについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

なぜ冬に鼻血が出やすいのか?

冬になると鼻血が出やすい理由は、次の通りです。

  • 空気の乾燥による鼻粘膜のダメージ
  • 寒暖差による鼻の毛細血管の収縮
  • 風邪や感染症による鼻粘膜の炎症

それぞれ詳しく見ていきましょう。

:空気の乾燥による鼻粘膜のダメージ

冬は気温が下がり、空気が乾燥しやすくなるため、鼻粘膜の表面にある粘膜も乾きやすくなります。

鼻粘膜は粘液により潤っており、外から冷たい空気が入っても加温・加湿することができます。

空気を加温・加湿することにより、肺に無理な負担がかからないようにしているためです。

しかし、冬になり空気が乾燥し、粘液が乾燥してしまうと次第に鼻粘膜も乾燥してしまいます。

そのまま放置してしまうと、鼻乾燥性鼻炎(ドライノーズ)の状態となり、鼻の中がムズムズしたり、ヒリヒリしたりするなどの違和感が出てしまうのです。

また、鼻粘膜は血管が密集して表面積が広いことから、乾燥により少し傷ついただけでも血管が破れて鼻血が出ます。

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寒暖差による鼻の毛細血管の収縮

冬は寒暖差による鼻の中の毛細血管の収縮が大きくなり、鼻血が出やすくなります。

外気温の急激な温度変化に自律神経が乱れ、鼻粘膜の毛細血管が急激に膨張したり収縮したりするためです。(暖かい場所に行くと血管は膨張し、寒い場所に行くと血管は収縮します)

その結果、鼻水やくしゃみ、鼻水などのアレルギーのような症状があらわれ、鼻粘膜が炎症しやすくなります。

鼻粘膜に炎症が起きると、鼻腔内のキーゼルバッハと呼ばれる部分に傷がつきやすくなり、鼻血が出やすくなるのです。

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風邪や感染症による鼻粘膜の炎症

風邪や耳鼻咽喉科疾患にかかると、鼻の粘膜に炎症が起き、粘液や水分が過剰に分泌されます。

そのため、いつもよりも鼻をかむ回数が増えてしまいがちです。

鼻粘膜が炎症して弱っているときに、鼻をかむ回数が増えてしまうと、鼻粘膜が傷つきやすく、鼻血が出やすくなります。

冬は特に風邪や感染症にかかりやすいので注意が必要です。

鼻血の止め方・応急処置法

空気が乾燥したり、風邪にかかっていたりすると鼻血が出やすくなるということはわかったものの、突然鼻血が出ると誰しも慌ててしまいがちです。

多くの人は鼻血が下に滴り落ちないよう、上を向いてしまいがちですが、これは間違った止血法です。

鼻血が出ている状態で上を向いてしまうと、鼻血が喉を伝って流れていき、かえって止まりにくくなります。

また、鼻血飲み込んでしまうと気持ちが悪くなって嘔吐してしまうこともあるため注意が必要です。

鼻血が出たら、慌てずに正しい止血法で対処しましょう。

鼻血の止血法
  1. 落ち着いて鼻を両側から強く押さえる
  2. 顔を下に垂れるようにする
  3. 15分ほど強く鼻を押さえたままにする

鼻血が出る原因はさまざまですが、出血部のほとんどがキーゼルバッハ部位と呼ばれる部分です。

鼻血が出たら、鼻の穴から1~2センチの場所にあるキーゼルバッハ部位を圧迫するよう、両鼻翼を指で押さえましょう。

このとき、上を向くと止まりにくくなったり、気持ち悪くなったりするので頭は下に垂れるようにします。

多くの場合、10~15分ほどで鼻血が止まります。

鼻血で病院受診する目安

鼻血が出ても慌てずに正しい止血法で対処すれば、多くの場合短時間で止まります。

しかしながら、以下のような場合は、命に関わる危険な鼻血である可能性があるため、すみやかに病院受診しましょう。

バケツ1杯分ほどの出血量がある・鼻血が20分以上止まらない

バケツ1配分ほどの出血量があったり、鼻血が20分以上止まらなかったりする場合、キーゼルバッハ部位からの出血だけでなく、鼻腔の奥にある動脈(蝶口蓋動脈・前篩骨動脈)から出血している可能性があります。

動脈からの出血は勢いが強く、止まりにくくなることがあるためです。

高血圧の場合、動脈性の出血を起こす可能性が他の人よりも高いため注意が必要です。

その他にも、次のような病気が原因で鼻血が止まらなくなったり、出やすくなったりすることがあります。

  • 血液を固める作用のある凝固因子が作られにくくなる肝臓の病気
  • 血小板が少なくなる白血病
  • 血液の凝固因子が生まれつき欠損している血友病などの遺伝性の病気
  • 鼻腔や副鼻腔にできる鼻の腫瘍の病気

また、脳梗塞や心筋梗塞などの治療のために血液をサラサラにして血栓を予防する薬を服用している人も、鼻血が止まりにくくなる場合があります。

発熱している

鼻血に加えて発熱の症状がある場合は、早めに病院受診しましょう。

発熱して体温が上がると血管が拡張し、出血しやすくなるためです。

また、血液疾患の可能性も考えられます。

血液疾患が原因の鼻血だと、一気に全身状態が悪くなることがあるため大変危険です。

熱によるのぼせも考えられますが、大事に至る前に最寄りの病院へ行きましょう。

冬の鼻血を予防する方法

冬は気温が下がり空気が乾燥するため、鼻粘膜が傷つきやすく鼻血が出やすくなります。

また風邪などの感染症にかかることで、鼻をすすったり、かんだりする回数が増えることも鼻血が出やすくなる原因の1つです。

ここからは冬の鼻血を予防する方法をご紹介します。

加湿を心がける

冬の鼻血を予防するため、加湿器などを用いて室内の乾燥を防ぎましょう。

空気が乾燥すると鼻粘膜が乾き、傷つきやすくなるだけではく、バリア機能も低下するため、風邪などの感染症にかかりやすくなるためです。

また鼻腔内の乾燥には、ワセリンなどを鼻粘膜に塗るのも効果的です。

冷たい外気が入りやすく、乾燥しやすい鼻の入り口に綿棒などを用いて塗るとよいでしょう。

温かい飲み物をこまめに飲用

冬の鼻血を予防するため、温かい飲み物をこまめに飲用するのもおすすめです。

温かい飲み物を飲むときに湯気を鼻から吸い込むことで、鼻粘膜に適度な湿度を与えることができます。

また温かい飲み物は、身体を芯まで温めるだけでなく、血液循環を良くし自律神経の乱れを整えます。

自律神経が整えば、寒暖差が大きい日もくしゃみや鼻水などの症状が抑えられ快適な冬を過ごすことができるでしょう。

鼻の疾患がある場合は治療する

冬の鼻血を予防するため、鼻疾患がある場合は早めに治療しましょう。

空気が乾燥する冬は、鼻水やくしゃみなど鼻疾患の症状が強くあらわれやすくなるためです。

鼻水やくしゃみの症状が悪化すると、鼻粘膜が炎症して傷つきやすくなります。

子どもの鼻血と大人の鼻血の違い

鼻血が出る原因はさまざまですが、子どもと大人では鼻血が出る原因が異なります。

子どもは、鼻の粘膜が薄く傷つきやすいことから、鼻を触ったり擦ったりするなど鼻への刺激によって鼻血が出ます。

そのため、子どもの場合は季節に関わりなく通年で鼻血が出るのが特徴です。

一方大人の場合は、鼻粘膜が乾燥しやすい冬に鼻血が出やすい傾向にあります。

また高血圧や血液の病気など全身疾患が原因で鼻血が出ている可能性があるため注意が必要です。

稀なケースですが、鼻血が頻回に出て病院受診した患者さんに鼻の腫瘍が見つかることもあります。

教えて院長先生!冬の鼻血でよくある質問とその回答

よくある質問とその回答を院長先生にお答えいただきます。

家族に鼻血が出やすい人がいる場合、遺伝で鼻血が出やすくなることがありますか。

まれにオスラー病という遺伝性の病気の可能性があります。

鼻血を繰り返す場合にはそのような疾患の可能性を考える必要があります。

鼻血が片方の穴ばかり出るケースと、左右どちらからも出るケース。どちらも原因は異なりますか。

基本的には子供の場合は左右から認めても、原因は普通の出血と思いますが、成人の場合は両方から出る場合は凝固系の異常など、内科的な疾患も念頭に置く必要があります。

まとめ

冬は空気の乾燥や寒暖差、風邪や感染症のり患によって、鼻粘膜が傷つきやすくなるため、他の季節よりも鼻血が出やすくなります。

多くの場合、キーゼルバッハ部位と呼ばれる鼻の入り口近くからの鼻血で、正しい止血法で対処すればすぐに止まります。

まとめ
  • 冬の鼻血は空気の乾燥や風邪や感染症のり患によって起こる
  • 誤った鼻血の止血法だと止まりにくくなったり体調不良になったりすることがある
  • 室内の湿度を保ったり自律神経を整えたりすることで冬の鼻血の予防ができる

鼻血に過度な心配は不要です。しかし、大量に鼻血が出たり、鼻血が20分以上止まらなかったりする場合は、危険な鼻血です。

最寄りの耳鼻咽喉科へ早急に受診しましょう。

あだち耳鼻咽喉科では、鼻血の止血や応急処置、鼻疾患の治療に対応できます。

福岡県東区名島にお住まいで、頻回に出る鼻血や止まらない鼻血にお悩みの方は、あだち耳鼻咽喉科へご相談ください。

ABOUT ME
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
日本耳鼻咽喉科学会 / 専門医・指導医 身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器認定医 / 補聴器適合判定医 / 九州大学耳鼻咽喉科 特任助教
国際医療福祉大学非常勤講師