「曇りの日はめまいがする」「天気が悪くなると鼻水が出る」
天気の変化による耳や鼻の不調はもしかしたら気象病かもしれません。
気象病による症状は軽症なことが多いですが、ときに生活の支障が出るほどの体調不良に悩まされることもあるため油断できません。
この記事では天気の変化によって生じる気象病とは何か、そのメカニズムと耳鼻咽喉科疾患が出たときの病院受診の目安を解説します。
気象病とは?
気象病とはその名の通り気象の変化によって引き起こされるさまざまな心身の不調のことを言います。
気象病は正式な医学用語ではありません。
季節の変わり目や梅雨の時期、台風到来の時期など、気圧の変化が激しいときに症状があらわれやすいといわれています。
民間気象情報会社のウェザーニュースが2020年に実施したアンケート調査によると、回答者の約7割近くで、天気や気圧の変化によって気象病の症状があらわれたという結果が出ています。
気象病で起こる耳鼻咽喉科疾患の症状
気象病には、頭痛や吐き気、肩こりなどさまざまな症状がありますが、その中でも耳鼻咽喉科疾患の症状は次の通りです。
- めまい
- 耳の閉塞感
- 耳鳴り
- アレルギー性鼻炎
- 喘息
いずれの症状も、気圧の変化が原因で発症しやすい症状です。
気象病のメカニズム
気象病の耳鼻咽喉科疾患は、自律神経の乱れにより気圧が変化したときに交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできないことが原因で発症すると言われています。
ここからは、気象病のメカニズムを詳しく見てみましょう。
気圧変化と健康な人の体の反応
気象病のメカニズムを解説する前に、まずは健康な人の体が気圧の変化にどう対応するのか見てみましょう。
- 梅雨時期や台風接近などにより気圧が低下
- 低気圧により体内の血管が膨張
- 気圧の変化を内耳が感知し自律神経に伝える
- 低気圧に対応するため交感神経(興奮神経)が優位になる成分を分泌
- 交感神経により膨張した血管を収縮
- 交感神経が静まり血管が通常の大きさに戻る
私たちの体は、気圧が下がると体外の圧力が減り血管が膨張します。
心身が健康な状態だとバランスを保つため自律神経が正常に機能し、交感神経が優位になり膨張した分の血管を収縮させます。
そして、膨張した分の血管が収縮し、血管が通常の大きさになったら交感神経を鎮めて通常に戻るよう機能するのです。
気象病を発症しやすい人の体の反応
健康な人は自律神経が整っているため、気圧が変化しても交感神経・副交感神経がうまく切り替わり体の不調を回避できます。
しかし現代で暮らす私たちは、学校や職場、家庭などで緊張やストレスが強いられる環境で生活をしていることが多く、老若男女問わず自律神経が乱れています。
そのため、常に交感神経が優位になっていることも少なくありません。
気象病を発症しやすい人の体の反応は次の通りです。
- 梅雨時期や台風接近などにより気圧が低下
- 低気圧により体内の血管が膨張
- 気圧の変化を内耳が感知し自律神経に伝える
- 交感神経が優位な状態にもかかわらず低気圧に対応するためさらに交感神経(興奮神経)が優位になる成分を分泌
- 血管が過剰に収縮し頭痛やめまい、難聴の症状があらわれる
また自律神経が乱れると、低気圧で血管が膨張しても、交感神経が優位にならず、鼻粘膜や喉粘膜が腫れてしまうこともあります。
その結果、血管運動性鼻炎を発症し、鼻水や鼻づまりなどの症状があらわれます。
気象病を発症しやすい人の特徴
気象病の発症原因とされる、自律神経の乱れは老若男女問わず全世代で起こります。
そのため、気象病は子どもから大人まで誰でも発症するリスクがあると言えるでしょう。
その中でも気象病になりやすい人には次の特徴があります。
- 男性よりも女性の発症リスクが高い
- 若年者は頭痛、高齢者は関節痛を訴えやすい
- PMS(月経前症候群)や更年期障害がある
- 乗り物酔いしやすい
女性の場合、女性ホルモンの分泌により自律神経の乱れが起きるため、男性よりも発症リスクが高くなりがちです。
また乗り物酔いしやすい人は、小さい刺激を感知しめまいや頭痛の症状が出てしまうことから、気象病になりやすい傾向があります。
気象病で耳鼻咽喉科を受診する目安
気象病の症状は軽度であっても、気圧や湿度・温度変化により体調が左右されるため日常生活に支障が出てしまうことも少なくありません。
天気が崩れる度に、めまいや耳の閉塞感、鼻づまりなどの症状が出る場合は、耳鼻咽喉科で対応できます。
症状が軽くても我慢せず、最寄りの耳鼻咽喉科を受診しましょう。
気象病の症状を緩和するセルフケア6選
気象病は気圧が変化したときに、自律神経がうまく機能しないことでさまざまな症状があらわれます。
よって気象病の症状を緩和するには、自律神経を整えるセルフケアが効果的です。
ここからは、気象病の症状を緩和するセルフケアを6つご紹介します。
耳のマッサージをする
自律神経を整えたいならば、耳のマッサージをしましょう。
なぜなら気圧変化を脳に伝える器官は内耳であり、血流が悪いとセンサーが過剰に反応し自律神経が乱れやすくなるからです。
気象病の症状が辛い方は、以下の手順でマッサージをしましょう。
- 両耳をつまんで横に5秒引っ張り離す
- 耳たぶをつまんで軽く引っ張りながら前回り・後ろ回りに5回まわす
- 両耳をつまんで上下に5回引っ張る
- 耳の周りを指でもむ
耳の周りを指で軽くもむのもおすすめです。痛みの出ない程度の力でマッサージしましょう。
規則正しい生活
規則正しい生活をするのも自律神経を整えるのに効果的です。
できる限り、起床時間・食事の時間・就寝時間を定めて行動してみましょう。生活リズムが整うと、乱れた自律神経も整います。
十分な睡眠
十分な睡眠を取るのも自律神経と整えるのに効果的です。
ただ「長い時間眠ればよい」というわけではありません。睡眠の質にも気を配りましょう。
睡眠の質を高めるには、睡眠前に副交感神経が優位になるよう働きかけます。
睡眠前に副交感神経を高めるためのセルフケアは次の通りです。
- 寝る直前のブルーライトを避ける
- 寝る1~2時間前にお風呂につかる
- ゆっくりと深呼吸する
いずれも今日からできることばかりなので、ぜひ試してみましょう。
ストレスを適度に解消する
ストレスを適度に解消することも自律神経を整えるのに効果的です。
ストレスや緊張状態が続くと、常に交感神経が優位になり副交感神経への切り替えが難しくなります。
生活に趣味やスポーツを取り入れ、楽しみながらストレスを発散しましょう。
耳鼻咽喉科疾患を治療する
自律神経を整える方法とは異なりますが、気象病のつらい症状を緩和したいならば、耳鼻咽喉科疾患を早めに治療しましょう。
なぜなら、気象病を発症すると副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など既存の耳鼻咽喉科疾患が悪化することがあるためです。
耳鼻咽喉科疾患が悪化すると、完治まで時間がかかるため鼻づまりや鼻水の症状に長く悩まされることになります。
気象病になりやすい時期を知っておく
気象病になりやすい時期をあらかじめ知っておきましょう。
- 日中と夜間の寒暖差が激しい季節の変わり目
- 台風の時期
- 梅雨の時期
時期が来る前に、耳鼻咽喉科を受診してめまいや吐き気の薬を処方してもらう、鼻や耳の疾患を治療しておくなどの対処をしておけば辛い症状も軽減できます。
また天気が崩れやすそうな日は予定を詰め込まないなどの事前に対応することで、突然の体調不良が生じても無理なく休むことができるでしょう。
教えて院長先生!よくある質問Q&A
気象病についてよくある質問を院長先生にお答えいただきます。
天気が悪いと鼻づまりや耳の閉塞感などの気象病のような症状が出ますが、病院受診の目安はありますか?我慢していたら治りますか?
必ずしも気象と関係ない疾患の可能性もあります。いつもと違う症状があれば病院受診されることをおすすめします。
耳鼻咽喉科疾患はないのですが、台風接近や梅雨の時期の前に気象病対策として耳鼻咽喉科へ受診してもよいのでしょうか。
めまいの持病がある場合などは予防的に内服を行うことも、症状を悪化させないためにも意味があると考えます。
ですのでそのような場合には耳鼻科受診をおすすめいたします。
まとめ
気象病は天気の変化によって起こるさまざまな体調不良の総称です。
自律神経が乱れている人が気象病になりやすく、天気が崩れる前の気圧変化に体が対応できないことでさまざまな体調不良が生じます。
- 気象病は自律神経の乱れやすい人にあらわれやすい
- 気象病の症状の中には耳の閉塞感や鼻づまりなどの症状もある
- 内耳が気圧変化を感知するため耳の血行を良くすると症状が和らぐ
気象病の症状はさまざまですが、低気圧を感知する場所が内耳であることから、自律神経が乱れて内耳のセンサーが過剰に反応すると耳の閉塞感やめまいが起こることもあります。
また、鼻炎や副鼻腔炎の既往歴のある人は、気象病により症状が悪化することもあるため注意が必要です。
気象病にならないためには、自律神経の乱れを整えるのが効果的です。
しかしながら、自律神経を整えるのには時間がかかるため、目先の症状を緩和させるためにも梅雨や台風の到来時期の前に耳鼻咽喉科を受診するのがおすすめです。
天気の崩れによる体調不良を我慢する必要はありません。
福岡市東区名島で天気の崩れによる体調不良にお悩みの方は、お気軽にあだち耳鼻咽喉科へお越しください。
気象病の症状をできるだけ緩和させるため薬の処方や生活改善のアドバイスをいたします。