「熱はないのに鼻水やくしゃみが止まらない」「色のついた鼻水がでるようになった」など長く続く鼻水や鼻づまりは副鼻腔炎かもしれません。
副鼻腔炎は大人よりも子供の発症リスクが高く、さらに何度も再発するため注意が必要です。
この記事では、子どもの副鼻腔炎に焦点を当てて、大人の副鼻腔炎との違いや発症リスクが高い理由、予防法を解説します。
長引く子どもの鼻水や鼻づまりにお困りのお父さん・お母さんはぜひご覧ください。
目次
副鼻腔炎とは
副鼻腔炎はその名のとおり、鼻の中にある副鼻腔と呼ばれる空間に炎症が起こる病気です。
副鼻腔炎は、細菌やウイルス感染、アレルギー反応、先天的な鼻の形態異常などによって引き起こされます。
子どもの副鼻腔炎の症状
子どもは感染症から副鼻腔炎を発症することが多く、鼻水や鼻づまり、咳などが主な症状です。
また子どもは鼻と耳をつなぐ耳管が太く短いことから、副鼻腔炎の炎症が耳管にまで広がり、中耳炎を併発することもあります。
一方、大人の副鼻腔炎も子どもと同じく鼻を中心とした症状があらわれます。しかし大人の場合は、病院受診の時間が取れないせいか、副鼻腔炎が慢性化した状態で受診することも少なくありません。
そのため、子どもの副鼻腔炎ではほとんど見られない、顔面痛や腫れなど鼻以外の場所で症状があらわれることもあります。
ただ、子どもと異なり耳管は細く、斜めになっているため副鼻腔炎から中耳炎を発症することは少ない傾向にあります。
なぜ?子どもが副鼻腔炎にかかりやすい理由
子どもの副鼻腔炎は、風邪や感染症と同じく、耳鼻咽喉科や小児科でよく診られる鼻の病気の1つです。
なぜ、子どもは副鼻腔炎にかかりやすいのでしょうか。
子どもの鼻腔は未発達
副鼻腔は2歳ごろから発達しはじめ17歳頃にほぼ完成する器官です。
そのため、副鼻腔が未熟な間は、風邪や感染症によって鼻粘膜の炎症を起こしやすく副鼻腔炎のリスクが高まります。
また幼児期の子どもは、鼻をかむことが難しく、自力で鼻水を排出しにくい状態です。
そのため、ウイルスや菌を含んだ鼻水が鼻腔内に溜まりやすく、副鼻腔に炎症を起こしてしまうのです。
免疫機能が未発達
子どもの免疫機能は未発達で、ウイルスや細菌に対する防御能力が低いため、風邪などの感染症にかかりやすくなります。
感染症にかかると喉や鼻の粘膜に炎症が起きますが、先ほども言ったとおり子どもの鼻腔は未発達なため炎症がすぐに副鼻腔まで広がってしまうのです。
そのため、大人よりも副鼻腔炎にかかるリスクが高くなります。
子どもはアレルギー反応が出やすい
子どもは免疫機能が未発達であることから、大人よりもアレルギー反応が強い傾向があります。
アレルギー症状の一部には、くしゃみや鼻水、鼻づまりなど鼻粘膜を刺激し、感染症に対する防御機能を低下させることもあります。
その結果、鼻粘膜にウイルスや菌が付着し副鼻腔炎を引き起こしやすくなるのです。
子どもの副鼻腔炎の治療法
副鼻腔炎にかかっても子どもを含め、多くの患者さんは軽症で病院を受診せずとも自然治癒すると言われています。
しかし耳鼻咽喉科で適切な治療を受けると、回復までの期間を短縮でき、子どもの鼻の不快感や苦痛を早く取り除くことができるのでおすすめです。
耳鼻咽喉科では、副鼻腔炎が疑われたときに、鼻の中を観察するとともに、必要があればアレルギーの有無を調べます。
なぜなら、子どもの副鼻腔炎はアレルギーが原因となることが少なくはないからです。
原因に応じた治療をするため感染症やアレルギーの検査を行い、アレルギーの場合は抗アレルギー薬が処方され、感染症が疑われる場合は症状により抗生剤を処方します。
また、痰を切る薬や点鼻薬などを使用することも多いです。
また、舌下免疫療法や抗アレルギー薬の長期の使用などにより、アレルギー性鼻炎をうまくコントロールすることで副鼻腔炎になりにくくなることもあります。
ただ、最も重要なのは診療時やご自宅で鼻水の吸引をおこなうことです。
また、病院でネブライザー治療を行うことも効果が期待できます。
子どもの副鼻腔炎と手術療法
大人の場合、副鼻腔炎が頻繁に発症したり、症状が悪化したりしたときは、治療法の1つとして手術を検討することもあるでしょう。
しかしながら、子どもの場合、副鼻腔炎の頻回な再発や症状悪化による手術治療はほとんどおこなわれません。
子どもはあごや顔回りの骨が発育途中のため、手術をおこなうとその後の骨の成長に影響が出てしまう可能性があるからです。
また成長とともに免疫機能が発達し、副鼻腔炎の原因となる感染症にかかりにくくなると症状が落ち着くため、手術をせず様子をみることがほとんどです。
ただ副鼻腔炎が悪化し、目や脳に炎症が及ぶ場合は年齢に関係なく手術を決行することもあります。
基本的には大人になるまでに何度も副鼻腔炎を起こすことは普通のことですので、耳鼻咽喉科での治療をうまく利用しながら、成長を待つことが重要と思われます。
子どもが副鼻腔炎にかかったときの登園・登校目安
副鼻腔炎はウイルスや菌が副鼻腔内に入り込み、炎症を起こすことで発症するため、感染症の一種ともいえるでしょう。
そのため、副鼻腔炎にかかると風邪と同じように発熱や鼻づまり、頭痛などの症状を引き起こすこともあります。
発熱がある場合は、他の子どもたちに感染させてしまう恐れがあるため、家で安静に過ごします。
一般的な急性副鼻腔炎の場合、適切な処置をすれば1~3日程度で熱は下がり、登園・登校が再開できるでしょう。
ただ症状の重さや状態によってはまだ安静が必要な場合もあります。
登園・登校を再開すべきか迷ったときは、耳鼻咽喉科へ受診し医師の指示を仰ぐとよいでしょう。
子どもの副鼻腔炎の予防策
子どもの副鼻腔炎を予防するには、いくつかポイントがあります。
ここでは、子どもの副鼻腔炎の予防策について詳しく見ていきましょう。
感染症予防
子どもの感染症予防を徹底すれば、副鼻腔炎の発症リスクも減らせます。
子どもの感染予防として効果的なのは、手洗い・うがいの習慣を身につけさせることです。
手は日常生活で細菌やウイルスが付着しやすい場所なので、外から帰ったときや食事の前、トイレの後は必ず手を洗うよう子どもに指導しましょう。
また帰宅後は喉粘膜の働きをよくするために、うがいも習慣化するとよいでしょう。
インフルエンザの流行時期は、外出時にマスクを着用させるのも効果的です。
健康的な生活習慣
子どもに健康的な生活習慣を身につけさせましょう。
バランスの取れた食事や十分な睡眠、適切な運動は、免疫機能の強化になり副鼻腔炎の予防に効果的です。
室内の湿度管理
冬は感染症リスクが高まります。湿度の低い冬は、喉や鼻の粘膜が乾燥しやすく菌やウイルスが付着しやすくなるからです。
感染症からの副鼻腔炎を防ぐためにも、加湿器などを活用し、適切な湿度を保ちましょう。
外出時にマスクを着用すると感染予防だけでなく、喉や鼻の乾燥を防ぐ効果も期待できます。
アレルギー対策
アレルギーがある子どもの場合、アレルギー反応から副鼻腔炎を発症することがあります。
医師の指導の元、アレルギー管理を行いアレルギーの発症を防ぎましょう。
また近年、子どものハウスダストや花粉によるアレルギーが増えています。
これらは突然発症することもあるので、こまめに部屋の掃除や換気をおこなうなどアレルゲンをなるべく体内に入れないよう予防することも大事です。
まとめ
副鼻腔炎は子どもが発症しやすい鼻の病気の1つです。
子どもは副鼻腔が未発達であり、さらに感染症にかかりやすいことから、菌やウイルスによる炎症が副鼻腔まで広がっていきやすくなっています。
副鼻腔炎にかかっても多くの人は自然治癒で治ると言われていますが、子どもの場合、鼻の不快感に耐えられず日常生活に支障が出ることも少なくありません。
子どもの鼻の不快感や苦痛を早く取り除くためにも、早めの病院受診がおすすめです。
- 子どもの副鼻腔炎は感染症やアレルギーが主な原因
- 子どもの鼻や耳は未発達なためウイルスや菌による炎症が広がりやすい
- 子どもの副鼻腔炎で手術をすることはほとんどない
子どもの副鼻腔炎は、成長とともに免疫機能が強化され、感染症にかかりにくくなると症状が落ち着きます。
そのため、子どもが鼻水や鼻づまりは成長過程の1つともいえるかもしれません。
しかしながら、副鼻腔炎だと思ったら違う病気だったということもあります。
子どもの長引く鼻づまり・鼻水の症状が気になるお父さん・お母さんは早めに耳鼻咽喉科へ受診しましょう。