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インフルエンザの予防接種は効果があるの?基礎知識や注意点を解説

インフルエンザは冬によくある感染症の1つです。

しかしながら今年に限っていえば、冬を迎える前に感染が広まっています。

インフルエンザは高熱や倦怠感、関節痛などつらい症状が続き、場合によっては重症化や命を落とす恐れもあるため、軽視できません。

小さい子どもや高齢者のいるご家庭では、感染しないよう注意が必要です。

毎日の手洗いやうがい、マスクの着用などもインフルエンザへの感染予防の役割を果たしますが、もっとも効果的なのがワクチンの予防接種になります。

しかし「予防接種を受けても感染するから」「インフルエンザワクチンは副反応が怖いから」といった理由で接種を迷っている人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、インフルエンザの予防接種の効果やタイミング、気になる副作用について解説します。

そもそもインフルエンザとは?

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染することで発症する病気です。風邪と異なり、重症化になりやすい病気となっています。

インフルエンザの主な症状は次の通りです。

インフルエンザの主な症状
  • 38度以上の高熱
  • 頭痛・関節痛・筋肉痛
  • 喉の痛み
  • 鼻水
  • 急激に発症

日本のインフルエンザの流行時期は、主に冬季です。11月~12月頃に患者数が増加し、1~3月頃にピークを迎えます。

しかしながら、近年では夏季にもインフルエンザが流行することも増えてきているため、注意が必要です。

インフルエンザの予防接種には効果があるの?

インフルエンザ予防接種には、発熱や筋肉痛、倦怠感などの「発病を抑える」効果と「重症化を防ぐ」効果が期待できます。

それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。

発病を抑える効果

インフルエンザには、発病を抑える効果があります。

しかしながら風疹や麻疹の予防接種と比べて、インフルエンザの予防接種は「発病」を抑える効果はそれほど高くありません。

なぜなら、インフルエンザワクチンは、前年に流行株を予測して作られるため、必ずしも予想が当たると限らないからです。

また、インフルエンザウイルス自体が変異することも多く、予防接種により発病を抑えるのは難しいといえます。

重症化を抑える効果

発病する効果が高くないインフルエンザ予防接種ですが、それでも推奨されているのは、重症化を防ぐ効果があるからです。

インフルエンザを発病すると、なかには肺炎や脳症など重い合併症を引き起こすことがあり、入院による治療が必要となったり、場合によっては死亡したりしてしまうこともあります。

とくに何らかの基礎疾患を持っている方や、抵抗力の弱い高齢者や乳幼児は重症化リスクが高くなります。

そのためインフルエンザ予防接種を受けておき、もし発病したとしても重症化するリスクを少しでも下げておくことが重要です。

とくに65歳以上の高齢者では接種が推奨されます。

国内の研究によると、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者にインフルエンザ予防接種をしたところ、34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったと報告されています。

高齢者のインフルエンザ予防接種は、新型コロナウイルスの医療体制の負担を減らすことにも繋がります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

高齢者のコロナとインフルエンザの感染はハイリスク!その理由は?新型コロナウイルス感染症が収束する気配がみえないまま、インフルエンザの流行時期がやってきました。 高齢者の方はどちらの感染リスクも高く、対策をきちんと講じておかなければなりません。...

インフルエンザ予防接種をするタイミング

インフルエンザワクチンは11月中には接種を終えておくのが理想的です。

ワクチンの効果は予防接種を受けてすぐあらわれるわけではありません。接種してから2週間ほど経ってようやく抗体(免疫)がつくられます。

そのため、例年インフルエンザの本格的な流行が始まる12月には抗体がつくられておくように逆算し、11月中に予防接種を受けておくのがおすすめというわけです。

また、13歳未満の子どもは2~4週間の間を空けて2回の接種が必要なため、1回目を10月中に受けておくとよいでしょう。

子どもはいつからインフルエンザの予防接種を受けられる?

インフルエンザワクチンは生後6ヶ月から受けられますが、1歳未満では効果が低いとされ、積極的な接種はすすめられていません。

ただし、保育園に通っているなどの場合は感染リスクを少しでも減らすため医師との相談の上、接種してもかまわないでしょう。

しかし、乳幼児のインフルエンザ発病を防ぐためには、まず親やきょうだいが感染しないようワクチンを接種しておくことをおすすめします。

また、重い卵アレルギーがあると接種が難しいケースもあるため、かかりつけの医師と相談するとよいでしょう。

予防接種の効果が持続する期間

インフルエンザの予防接種は一度受ければずっと効果が持続するわけではありません。

一度できた抗体が持続する期間は5ヶ月ほどと考えられており、11月に接種を終えた場合は翌年4月ごろまでは効果が続くといえます。

インフルエンザの予防接種による副反応や副作用

インフルエンザワクチンは感染力のない不活化ワクチンのため、接種することで発症することはありません。

そのため妊婦や授乳中のかたも、安心して予防接種することが可能です。

しかし、次のような副反応や副作用があらわれることがあります。

接種した箇所の腫れや全身症状

比較的多くみられるのが接種した箇所の赤みや腫れ・痛み。発熱や頭痛、悪寒、だるさといった全身症状です。

いずれも10~20%ほどの確率で起こりますが、通常接種後2~3日でおさまります。

ショックやアナフィラキシー様症状

まれにショックやアナフィラキシー様症状(発疹・じんましん・発赤・かゆみ・呼吸困難など)が起こることもあり、そのような場合にはすみやかに医師に相談するようにしましょう。

ショックやアナフィラキシー様症状の多くは、接種後30分以内に起こることが多いため、すみやかに医師に相談するようにしましょう。

とくに乳幼児の場合は接種後30分は病院で様子を見ておくことをおすすめします。

重い副反応

まれに次のような重い副反応と思われる症状の報告もあります。

インフルエンザの予防接種による重い副反応
  • ギランバレー症候群
  • 急性脳症
  • 急性散在性脳脊髄炎
  • けいれん
  • 肝機能障害
  • 喘息発作
  • 血小板減少性紫斑病

加えて、季節性インフルエンザワクチンの接種が原因と疑われる死亡例は毎年0~3例ほど報告され、その多くが基礎疾患を持つ高齢者だと判明しています。

しかし、報告された重篤な副反応や死亡例がインフルエンザワクチンが原因であるかどうかは必ずしも明らかではありません。

一方で、インフルエンザへの感染による死亡例は年間214人(2001年)~1818人(2005年)となっており、間接的なインフルエンザによる死亡者数は年間1万人にも及ぶといわれています。

ワクチンを受けることによる重篤な副反応や死亡者数、感染による重症化や死亡者数を比べると、どちらがよりリスクが少ないかは明らかです。

必要以上にインフルエンザワクチンを恐れるのではなく、正しく知って納得した上で接種しましょう。

教えて院長先生!よくある質問Q&A

インフルエンザ予防接種について、よくある質問を院長先生にお答えいただきます。

インフルエンザの予防接種は耳鼻咽喉科でも受けられますか?

耳鼻咽喉科でもインフルエンザ予防接種をしている病院やクリニックはあります。

当院でもインフルエンザ予防接種を受け付けているので、名島にお住いの方は早めの予約をおすすめします。

インフルエンザ予防接種で抗体ができるまでどれくらいかかりますか?

インフルエンザ予防接種から抗体ができるまで、約2週間かかります。

インフルエンザの流行時期は、12月~3月なので遅くとも11月までに予防接種をしておくのが理想的です。

あだち耳鼻咽喉科でもインフルエンザの検査は受けられますか?

当院でもインフルエンザの検査は受けられます。

当院では、鼻粘膜の拭い液でインフルエンザの有無を確認する抗原検査を実施しています。

まとめ

インフルエンザの予防接種を受けても発症することもあるため効果がなく、受ける必要はないと思っている方も多いかもしれません。

また、ワクチン接種による副反応を必要以上におそれている場合も少なくないようです。

しかしインフルエンザを防ぐためには手洗いやバランスのいい食生活、十分な休養はもちろん予防接種がもっとも効果的だと考えられます。

まとめ
  • インフルエンザの予防接種は100%ではないものの、予防の効果がある
  • インフルエンザ流行期全体をカバーするには11月中に接種を終わらせておくのが理想的
  • インフルエンザワクチンによる副反応は比較的軽い場合がほとんど

インフルエンザの予防接種は重症化を防ぐ効果が高いので、感染リスクの高い高齢者や幼児は早めの予防接種がおすすめです。

あだち耳鼻咽喉科では、2023年9月25日よりインフルエンザ予防接種の予約を受け付けています。

名島にお住まいの方は、インフルエンザが流行する前に予防接種を受けられてみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
日本耳鼻咽喉科学会 / 専門医・指導医 身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器認定医 / 補聴器適合判定医 / 九州大学耳鼻咽喉科 特任助教
国際医療福祉大学非常勤講師