「耳が痛い、耳の中でがさこそ音がする、何かが耳の中で動いている気がする。」
それは、耳の中に虫が入ってしまっているのかもしれません。
「耳の中に虫が入るなんて…」と思っている方もいるでしょう。
しかし、耳に虫は意外と入りやすく、耳鼻科では珍しいことではないのです。
夏に窓を開けたまま寝ていたり、自転車を漕いでいたり、さまざまな状況で耳に虫が飛び込んできます。
アリや蛾、ゴキブリやハエ、小さな蜘蛛など虫の種類もさまざまです。
今回は、耳に虫が入った時の症状や対処法、治療法などについて詳しく解説します。
目次
耳に虫が入ったときの症状
耳に虫が入ったときに起こる症状は次の通りです。
- 耳が詰まった感じがする
- 耳が聞こえにくい
- 耳が痛い
- 反射的に咳が出る
上記の症状はあくまでも一般的なもので、虫の大きさや、虫が生きているか死んでいるかなどによっても異なり、症状がほとんど感じられないこともあります。
ただ虫が生きている間は、強い痛みが生じることが多いです。
耳に虫が入ったときの対処法
それでは、耳に虫が入ってしまったらどのようにすればよいのでしょうか?
耳に虫が入ってしまったときの対処法は次の通りです。
- 無理に取ろうとしない
- 耳に光を当てる
- オイルを垂らす
- 耳に光を当てる
- 耳鼻科に受診する
それでは1つずつ見ていきましょう。
無理に取ろうとしない
まず重要なことは、ピンセットや綿棒などを使って無理に取ろうとしないということです。
不用意に触ってしまうと、虫が奥へ逃げてしまい余計に取れにくくなってしまうことがあります。
ピンセットや綿棒で耳の中を傷つけてしまったり、虫が暴れることで羽や足で鼓膜に穴が空いてしまったりすることもあるため、無理に取ろうとしないようにしましょう。
また殺虫剤などは危険なので、絶対に耳の中に入れないようにしてください。
耳に光を当てる
耳に光を当てると、明るい方へ虫が逃げて外へ出てくることがあります。
虫の入った耳を上に向けて、照明や懐中電灯で照らしてみましょう。
しかし、光を当てることで逆に奥に逃げてしまう虫もいるので、出てこないようであれば無理に照らさないようにします。
オイルを垂らす
ベビーオイルやサラダオイル、オリーブオイルなどを耳を上に向けた状態で、スプーンなどを使って少しずつ流し込みます。
耳の中にオイルを流し込むなんて不安、と思われるかもしれませんが、耳の奥は鼓膜で閉じられた状態になっているので、オイルを入れても大丈夫です。
耳を後ろ上方に引っ張り、耳の穴に沿うようにして入れましょう。
オイルは、虫の動きを鈍くし、窒息させることで殺虫できます。
虫がオイルに浮いたら、そっと綿棒ですくい出しましょう。
また、耳を傾けるとオイルですべって、虫が出てくることもあります。
「オイルよりも水がいいのでは?」と思う方もいるでしょう。
しかし、水を耳に入れて虫を窒息させようと思っても、虫は体毛で水をはじいてしまうことが多く、意外とうまくいかないものなのです。
また、耳に冷たい水を入れると、ぐるぐると周りや自分が回っているように感じる回転性のめまいを生じることもあります。
これは、ヒトとして正常な反応なので問題はありませんが、できれば避けたいですよね。
そのため、水よりもオイルの方が耳に入った虫を取り出そうとする際には有効なのです。
耳鼻科に受診する
基本的には無理をせずすみやかに耳鼻科を受診しましょう
しかし、応急処置で虫を出すことができた場合でも、虫の足や羽が耳の中に残っていることや、虫が暴れて耳の中に傷ができている可能性もあります。
虫が出てきても出てこなくても、いちど病院で診てもらうことをおすすめします。
耳鼻咽喉科での治療法
耳の中に入った虫が出てこない場合、病院ではどのような治療や処置をおこなうのでしょうか。
虫が生きた状態だと、取り出そうとする際に暴れて激痛が走ることがあるので、麻酔薬やオイルなどを注入して虫が動かないようにしてから処置を行うこともあります。
その他、次のような治療が行われることもあります。
- 細いチューブを耳に通し奥から手前に水を流して虫を出す
- 鉗子(かんし)や鈎(かぎ)と呼ばれる道具を使って摘出
- 吸引管を使って吸い出す
ほとんどの場合、耳に入った虫は外来で摘出できますが、まれに入院して手術の必要があることもあります。
痛みが激しいときや、乳幼児が暴れてしまう場合など、医師の判断により全身麻酔下で耳を切開して手術をおこないます。
耳に虫以外の異物が入ってしまったら
耳の中に入った異物は医学的に「外耳道異物(がいじどういぶつ)」とよばれ、虫以外にもさまざまな異物が耳には入り込みます。
とくに子どもは、興味本位で耳にいろんなものを入れてしまいがちです。
例えば、小石や豆、果物の種、おもちゃのビーズやシールなど、じつにさまざまな異物が出てきます。
子どもは叱られると思って言い出せずに、異物の発見が遅れることもあります。
気づいたら、お風呂やプールの水を吸って大きくなった豆が子どもの耳の穴を塞いでいた、なんてことも!
また、まだ言葉をうまく話せない乳幼児の場合、大人が気づかずに、しばらく経って耳掃除の際にようやく気づくということも珍しくありません。
しかし、大人でも耳かきや綿棒の先端部分、ピアスのキャッチ、マッチ棒の頭などの異物が入り込み取れなくなってしまうことがあります。
これらの場合も、虫が入ったときと同じように無理に取り出そうとせず、必ず耳鼻科を受診するようにしましょう。
耳に虫が入らないようにするには?
耳に虫が入ることを完全に防ぐのは、私たちに耳の穴が空いている以上、なかなか難しいかもしれません。
虫の多い時期は、電気をつけて窓を開けっ放しにしないなど注意しておくとよいでしょう。
意外かもしれませんが、耳垢を取りすぎないことも予防のひとつになります。
耳垢には、その独特な苦味や匂いなどから防虫効果があるとされています。
そのため、耳掃除をしすぎないことは、耳に虫が入ることを予防してくれるかもしれません。
耳に虫や異物が入ることが原因で起こる病気はある?
耳に虫や異物が入り、耳の中が傷ついてしまうと、他の病気をおこしてしまうことがあります。
いずれの病気も無理に虫を取り出そうとしたり、虫が耳の奥で暴れることで鼓膜に穴を開けてしまったりといったことが原因で起こります。
虫にはバイ菌が多く付着しているので、耳の中についた傷から炎症を起こしてしまうことも原因のひとつです。
しかし、いずれの病気も虫や異物を適切に取り出し治療をおこなえばすみやかに治るので、大きな心配はいりません。
耳の中に虫や異物が入ることで引き起こしやすい病気を挙げてみましょう。
外耳道炎
外耳道炎は、外耳道(耳の穴から鼓膜まで)についた傷が細菌に感染し、炎症を起こした状態です。
症状としては、赤く外耳道が腫れ、耳だれが出たり、痛みやかゆみが生じたりします。

鼓膜炎
鼓膜炎は、鼓膜に傷がつき細菌に感染することで炎症を起こした状態です。
強い耳の痛みや耳の奥が詰まったような不快感、聞こえの悪さなどが生じます。
外耳道炎や中耳炎と併発しやすいのも特徴です。
まとめ
耳に虫が入ったら一刻も早く取り出したいですよね。
しかし虫の入ってしまった耳の外耳道と呼ばれる部分は狭く曲がっており、入り口の取り出しやすい部分に虫がいないならば、自分で取り出すことはおすすめしません
また、耳の奥は強い痛みを感じやすく、傷がついてしまった場合さらなる病気を引き起こすことも考えられます。できるだけ自己判断で処置を行うことは避けましょう。
- 耳に虫が入ったらすみやかに病院へ受診する
- 耳垢は防虫効果があるので取り過ぎないようにする
- 耳に虫が入って無理に取ろうとすると外耳炎などが生じる
虫に限らず何らかの異物が耳に入り込んでしまったら、すみやかに耳鼻科を受診するようにしましょう。
