風邪やウイルス感染症で処方される抗生物質。
お腹が緩くなるなどの副作用も出ますが、即効性があるのでつい飲み忘れたり止めたりしてしまう人も多いのではないでしょうか。
今回は、抗生物質の正しい服用方法について解説していきます。
この記事を読んで抗生物質に対する知識を深めましょう。
目次
抗生物質を飲み忘れたらどうすればいい?
抗生物質を飲み忘れた場合どうすればよいでしょうか?
飲み忘れに気づいた場合、次回の服用時間までに間隔が空くときには早急に飲んだ方がよいです。
服用時間が迫っていたり、その時間が到達してしまったりした場合1回分はあきらめましょう。
決して2回分を同時に飲んではいけません。
抗生物質の服用間隔の目安は次の通りです。
- 1日3回服用の場合…次回の服用まで4時間以上
- 1日2回服用の場合…次回の服用まで5時間以上
- 1日1回服用の場合…次回の服用まで8時間以上
抗生物質を飲み忘れてそのままにしてしまったときの影響
抗生物質を飲み忘れて、そのまま経過してしまったときの影響にはどのようなことが起こり得るでしょうか。
抗生物質を飲み切らず放置すると、症状が復活してしまうことがあります。
さらに薬剤に対する耐久菌を誕生させる可能性もあるのです。
耐久菌とは突然変異で生まれ、元々効果のある抗生物質に対して、抵抗力を持った菌のことです。
抗生物質の効果がなくなってしまう菌を表します。
抵抗力を持った菌は、5日~7日程度継続的に服用しないと退治できない場合があります。
一見治癒しているように感じても、抵抗力のある菌がそのまま残ってしまうのです。
菌が残った状態で症状が復活すると、抵抗力のある菌が増加する恐れがあります。
そうなると同一の抗生物質を服用しても効かなくなってしまう事態が起こってしまうのです。
抗生物質を自己判断で止めてはいけない理由
抗生物質を自己判断で止めてはいけない理由には何があるのでしょうか?
症状が治まったら、抗生物質はもう飲まなくてもいいのでは?と考える人も多いのではないでしょうか。
前述のように、たとえ症状が回復してきても、体内には原因となった菌が残っている可能性があります。
抗生物質の服用を止めてしまうと、再び菌が増え症状が復活してしまう恐れがあります。
抗生物質を服用すると、一番初めに抗生物質に抵抗力のない菌がなくなり、次に抗生物質にいくらか抵抗力のある菌が順番に退治されていきます。
自己判断で服用を止めてしまった場合、菌が完全に死滅しません。
むしろ、その抗生物質に慣れてしまう恐れもあり、菌が薬に対する耐性を獲得しやすい環境を整えることになるのです。
抗生物質を自己判断で止めないように十分注意しましょう。
抗生物質の正しい服用方法
抗生物質の正しい服用方法について見ていきましょう。
病院で抗生物質を処方されるとき、医師や薬剤師に抗生物質は食後に服用するようにと説明を受けることが多いのではないでしょうか。
薬は多く服用すればその分効果を出すということは決してありません。
時間、回数、分量を正しく服用することが最も効果的で副作用の防止にも繋がります。
抗生物質は次の理由から、主に食後に服用するよう勧められることが多いです。
- 食後に胃の血流がよくなり抗生物質の吸収がよくなる
- 食べ物が胃に残留していると抗生物質が直接胃に接触しないため、胃粘膜が荒れにくい
しかし、食前の方が吸収されやすく胃に負担が少ない薬もあります。
医師や薬剤師の指示通りに服用することが大切です。
処方せんに書いてある用法・用量を守る
病院や薬局で薬を受け取った際には用法・用量を必ず確認しましょう。
食前 | 食事30分前に服用する |
食直前 | 食事開始時に服用する |
食直後 | 食事直後に服用する |
食後 | 食後30分くらいに服用する |
食間 | 食事の約2時間後に服用する |
寝る前 | 就寝直前または約30分前に服用する |
〇時間毎 | 食事に関係なく一定の間隔で服用する・指定された時間間隔を置いて服用 |
頓服 | 必要に応じて服用する |
自己判断で抗生物質の量や回数を減らしてしまうと、血液中の抗菌薬の濃度が低すぎる状態になってしまいます。
薬の濃度が低いため菌が完全になくならずに、病原菌が抗菌薬に次第に慣れてしまう可能性があるからです。
そのような状態になると、菌が耐性を持ってしまうことになりかねません。
コップ1杯程度のぬるま湯または水で服用する
抗生物質は特別の指示がない限り、1杯ほどのぬるま湯や水で服用しましょう。
水なしで服用したり、ごく少量の水で飲むと、効果が十分に発揮できなくなる可能性があります。
カプセル剤のように、水分が不足すると食道粘膜にくっつき、炎症や潰瘍を起こすこともあり得ます。
また、薬によってはぬるま湯または水以外の飲み物とは相性が悪いこともあります。
胃を保護することもできるので、十分な量のぬるま湯や水で飲むように心掛けてください。
服用日数まで飲み切る
抗生物質は耐性を持ってしまうため、服用日数まで飲み切ることが必要です。
前述の通り、症状がよくなったとしても体内に細菌が残っていることがあります。
治療が終わらないうちに抗生物質の投与をやめてしまうと、完治せずに感染症を復活させてしまう恐れがあります。
したがって、完全に体内から原因となった細菌が死滅するまで、きちんと服用する必要があるのです。
抗生物質は服用日数まで飲み切りましょう。
抗生物質の服用で副作用が出たら?
抗生物質の服用で副作用が出たらどのように対処するのがよいのでしょうか。
以下に症状ごとの対処方法をまとめていきます。
- 体の湿疹・顔の腫れ → 服用を中止し、病院を受診しましょう。
- 下痢、通常より軟便 → 病気にとって必要な薬剤のため服用を継続した方がよいですが、病院に相談してもよいと思われます。
- 重度の下痢 (水様便)→ 処方された病院を受診し薬の服用について相談するのがよいですが、基本的には中止すべきです。
- 抗生物質を服用したあと嘔吐→ 無理して服用せず、病院を受診し適切な指示を受けましょう。
そのほか、胃痛がある場合にも病院を受診することをお勧めします。
耳鼻科で処方される抗生物質
抗生物質が処方される頻度は内科、小児科より耳鼻科の方が多い印象を受けるかもしれません。
耳鼻科が扱っている臓器は「耳、鼻、喉」であるため、外界に接している部位であり細菌が多いことが分かります。
その部位の感染のため、抗生物質を使用して細菌を減らすことで大幅に症状が回復することがあるのです。
耳鼻科で処方される抗生物質にはどんなものがあるのでしょうか。
一時期メイアクト、フロモックスなどの第三世代セフェム系抗生物質が重視されましたが、耐性菌を誘発してしまう傾向があります。
耐性菌を生み出さない観点によって、現在はペニシリン系抗生剤を出すことが多くなっている傾向です。
また、オラペネム、オゼックスなどの抗生物質は、現段階では最後の手段と言えます。
どうしても他の抗生物質が細菌を退治できない場合に使用される薬剤です。
まとめ
抗生物質は症状が治まって、飲むのを自己判断で中止すると耐性菌を増やす恐れがあります。
抗生物質の飲み忘れや自己判断での中止によって、家族や周囲の人に感染する可能性もあるのです。
- 抗生物質を自己判断で途中で止めると耐久菌を作る恐れがある
- 耐久菌ができてしまうと同一の抗生物質の効き目が悪くなったり症状が長引いたりする
- 抗生物質は服用の時間・用法・容量を守る
健康な人の場合、免疫力があるので重症化を防ぐことができるでしょう。
しかし、免疫力が弱い人や低下している人に感染すると重症になることもあります。
症状が治まっても途中で服用を中止せずに、処方された日数の最後まで飲み切ることが重要です。
