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新型コロナウイルスワクチンの副反応は?接種前の不安を解決しよう

新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されましたが、副反応が気になる方は多いのではないでしょうか。

ワクチンを受けた後に死亡者が出ているなどの報道を耳にすると、接種をためらってしまいますよね。

そこで今回は新型コロナウイルスワクチン接種による副反応について詳しく解説します。

副反応について正しい知識を身につけ、ワクチン接種へ備えましょう。

新型コロナウイルスワクチンの副反応

新型コロナウイルス感染症のワクチンに限らず、予防接種には副反応がつきものです。

ワクチン接種とは体内に異物を投与することであり、それにともなった生体的な反応として副反応が引き起こされます。

副反応があらわれるということは、免疫がついている証でもあるのです。

副反応の症状や程度はさまざまですが、実際に感染することに比べると軽いことがほとんど。

重篤な副反応が起こることは非常にまれです。

したがって、新型コロナウイルスワクチンを受けるかどうかを迷っている理由が副反応であれば、迷わず接種することをおすすめします。

新型コロナウイルスワクチンの副反応は?実態調査結果をご紹介(5月末時点)

新型コロナウイルスワクチンは2月下旬から、医療従事者を対象とした接種がスタートしました。

あわせて先行的に接種した2万人を対象とし、接種後1ヶ月に起こった症状などを「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査」として調べています。

6月9日現在の中間報告によると、接種部位の反応は1回目・2回目ともに頻度に大きな差はありませんでした。

一方、発熱や頭痛、倦怠感などの全身反応は1回目よりも2回目の接種の方が頻度が高いという結果になっています。

また、高齢者より若い世代の方が、男性よりも女性の方が頻度が高くなりやすい傾向もみられました。

以下、出やすい副反応についてまとめています。(中間報告のため、数値は今後変わる可能性があります)

接種部の痛み

接種部の痛みはとくに出やすい副反応です。

1回目の接種後、当日は約65%、2日目には約90%に症状がみられます。

2回目も同じように高い頻度で症状がみられ、接種当日は70%近く、2日目には約90%に痛みがあらわれています。

発熱

新型コロナウイルスワクチンは、接種後に37.5℃以上の発熱が出ることが多い傾向にあります。

1回目の接種後は全体の約5%ほどと頻度が低いものの、2回目の接種後は40%を超える頻度で起こっています。

とくに20代の2回目の接種後は50%を超える割合で発熱がみられ、さらに女性に多い傾向があります。

30代でも半数近くに発熱がみられており、若い世代が発熱しやすいと考えられます。

一方65歳以上の高齢者では10%を超える程度で、あまり多くみられません。

頭痛

頭痛も発熱と同じように、2回目接種後の若い世代に起こりやすい傾向がみられます。

1回目の接種後は全体の30%に満たないほどの割合ですが、2回目の後は60%を超え、多くの方に頭痛が副反応としてあらわれています。

20~40代の世代では2回目接種後の60%に頭痛がみられ、やはりその割合は女性が多い傾向です。50代でも60%には満たないものの、多くの方に症状がみられます。

一方で65歳以上においては、30%ほどの頻度です。

倦怠感

倦怠感も多くの方にみられる副反応のひとつで、1回目の接種後は全体の30%近く、2回目では約75%もの割合です。

やはり若い世代に多く、20~30代では80%近くの方に倦怠感があらわれています。

女性の方が多いものの、男性でも70%近い頻度で起こっています。

若い世代に比べて頻度が低いとはいえ、65歳以上の高齢者でも約40%の割合で倦怠感がみられるので注意が必要です。

新型コロナウイルスワクチンの『重篤な』副反応の報告(5月末時点)

ワクチン接種による副反応の中には重篤なものもあります。

とくに「アナフィラキシーショック」と呼ばれる、以下のような強いアレルギー症状があらわれることもあることを知っておきましょう。

これらの副反応は急速に出現することから慌ててしまいやすいですが、適切な治療を受けることで改善するため、必要以上に恐れることはありません。

アナフィラキシーショックの症状
  • じんましんなどの皮膚・粘膜症状
  • 血圧低下などの循環器症状
  • 嘔吐や腹痛などの消化器症状
  • 咳や呼吸苦などの呼吸器症状

6月9日に開催された調査委員会において、製造販売業者から1,157件の副反応疑いが報告され、そのうち169件が専門家によりアナフィラキシーと評価されています。

現時点においてワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない、とされました。

また、ワクチン接種後に死亡した例も調査の対象期間(5月30日)までに139例、その後6月4日までにはさらに57件の報告があがっています。

死亡例の数が多いのは、ワクチン接種との因果関係が不明な例も含め、副反応を疑う事例として広く収集しているためです。

あくまで「接種後に死亡」であり、接種が原因で死亡したと断定されているわけではありません。

たとえばワクチンの接種と同時期に関連性のない感染症を発症したり、偶発的にくも膜下出血や急性大動脈解離を引き起こしたりといったケースが考えられます。

したがって現在のところ、いずれもワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとされています。

新型コロナウイルスワクチンの副反応を押さえるための解熱鎮痛剤使用

新型コロナウイルスワクチン接種後に発熱があらわれた場合、解熱鎮痛剤の使用は可能です。

世界保健機関(WHO)においても認められているため、副反応がつらい場合には我慢せず、服用してもかまいません。

ただし、接種後の副反応を抑えるため、予防的に服用することは推奨されていません。

また、ワクチン接種後2日以上経っても次のような症状がみられる場合は、医療機関に相談しましょう。

医療機関に相談すべき症状
  • 熱が下がらない
  • 症状が重い
  • のどの痛み
  • 嗅覚・味覚の消失
  • 息切れ

新型コロナウイルスワクチンは副反応があるから受けない方がいい??メリットデメリットを解説

新型コロナウイルスワクチン接種後はさまざまな副反応が起こる可能性があります。

しかし接種部の痛みや発熱、頭痛、倦怠感といった副反応は4~5日ほどで軽快に向かう場合がほとんどです。

また、アナフィラキシーショックの症状においても適切な治療法が確立されています。

死亡例に関しても因果関係は認められておらず、現在のところ安全性への重大な懸念は生じていません。

ワクチンは2回接種することで約95%の有効性を発揮し、発症を防ぐという大きなメリットがあります。

自分や周囲への感染リスクも大きく減らすことができ、デメリットよりもメリットの方が大きく上回るため、積極的なワクチン接種をおすすめします。

新型コロナウイルスワクチン接種後に重篤な副反応が起こったときに使える予防接種健康被害救済制度

万が一、ワクチン接種後に重篤な副反応が起こり、予防接種と健康被害との因果関係が認められた場合には「予防接種健康被害救済制度」によってさまざまな給付を受けることができます。

極めてまれではありますが、ワクチン接種後に何らかの障害が残ったり死亡したりした場合、それが「ワクチンによって引き起こされたものではない」と明確に否定できないケースにおける救済措置です。

自己負担分の医療費や、障害が残った場合は障害年金、亡くなった場合には死亡一時金や葬祭料、遺族年金もしくは遺族一時金などが受け取れます。

新型コロナウイルスワクチン接種の副反応についての相談窓口

新型コロナウイルスワクチン接種後、我慢できないほどの痛みや2日以上続く発熱などの副反応がある場合、まずはかかりつけ医やワクチンを接種した医療機関へ電話などで相談しましょう。

または、各都道府県に設けられている相談センターでも副反応について相談を受け付けています。

まとめ:新型コロナウイルスワクチンの副反応は避けられないけどメリット大

新型コロナウイルスワクチンについては副反応や死亡例などについての報道も多く、接種をためらっている方もいるのではないでしょうか。

しかし現在の時点では安全性に重大な懸念があるとは考えられていません。

まとめ
  • 副反応は2回目が強く出やすい
  • 副反応のデメリットより、発症を防ぐメリットの方が大きく、積極的な接種が推奨される

もし不安に思う点があればかかりつけ医に相談してもよいでしょう。心配な点はきちんと解消し、納得した上でワクチンを接種したいですね。

ABOUT ME
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
日本耳鼻咽喉科学会 / 専門医・指導医 身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器認定医 / 補聴器適合判定医 / 九州大学耳鼻咽喉科 特任助教
国際医療福祉大学非常勤講師