鼻水が続くと「蓄膿症かも」と不安になりますよね。でも何気なくやっていることが、症状を長引かせている場合があります。
この記事では、蓄膿症のときに避けたい行動を5つ、理由とあわせて解説します。受診の目安や自宅でできるセルフケアもあわせてご紹介します。
目次
蓄膿症(副鼻腔炎)とは?
蓄膿症は、医学的には「慢性副鼻腔炎」と呼ばれる病気です。
鼻のまわりにある空洞状の「副鼻腔」で炎症が長く続き、膿がたまってしまう状態を指します。
副鼻腔は、額・ほほ・目の奥・鼻の奥に左右4対あります。
ふだんは空気で満たされていますが、風邪のウイルスや細菌に感染すると鼻の粘膜が腫れ、副鼻腔の出口がふさがれやすくなります。
その結果、膿がうまく外に出ず、炎症が長引いてしまうのです。
こうした状態が約3か月以上続くと、慢性副鼻腔炎と診断されます。
原因として多いのは感染症ですが、その他にも次のような原因が考えられます。
- アレルギー性鼻炎
- 鼻中隔弯曲症
- 鼻ポリープ
- 喫煙
- 歯の感染症など
急性の副鼻腔炎は自然に治ることもありますが、慢性の場合は専門的な治療が必要になります。
蓄膿症のやってはいけないこと5選
蓄膿症のときに何気なくやってしまいがちな行動が、症状を長引かせたり悪化させたりすることがあります。
以下の5つは特に注意が必要です。
①鼻を強くかむ
鼻づまりが続くと、思わず強くかみたくなることもあるでしょう。
しかし蓄膿症のときは、強く鼻をかむことで症状が悪化することがあります。
鼻を強くかむと鼻の中の圧力が一気に上がり、膿や細菌が耳につながる管(耳管)を通って中耳に流れ込み、中耳炎を起こすことがあります。
鼻をかむときは口を少し開けて、片側ずつやさしく短くかむようにしましょう。
蒸しタオルで鼻を温めて鼻水をやわらかくしてからかむと、より安全です。
②市販の点鼻薬を連続使用する
鼻づまりがつらいとき、市販の点鼻薬を使うと一時的にスッと楽になります。
しかしこれを何日も使い続けると、かえって症状を悪化させることがあるため注意が必要です。
市販の点鼻薬には鼻の血管を収縮させる成分が含まれているものが多く、長期間使い続けると薬が切れたときに鼻の腫れが強く戻る「リバウンド現象」が起こります。
これを「薬剤性鼻炎」といい、慢性的な鼻づまりや頭の重さが続く原因になります。
点鼻薬は用法・用量を守り、数日程度の使用にとどめましょう。
症状がつらい状態が続く場合や、点鼻薬が手放せなくなってきた場合は、耳鼻咽喉科に相談してください。
③飲酒する
蓄膿症の症状が出ているときは、飲酒を控えましょう。
アルコールには血管を広げる作用があり、鼻の粘膜の腫れを強くしてしまいます。
その結果、鼻づまりが悪化し、副鼻腔にたまった膿が外に出にくくなります。
また、アルコールは免疫機能を低下させるため、炎症の回復を遅らせることにもつながります。
症状が落ち着くまでは、できるだけ飲酒を控えることをおすすめします。
④喫煙する
蓄膿症のときは、喫煙も避けてください。
タバコの煙に含まれる有害物質は、鼻の粘膜にある線毛の働きを弱めます。
線毛は異物や膿を外に運び出す役割を担っていますが、この働きが低下すると副鼻腔にたまった膿が排出されにくくなり、炎症が長引く原因になります。
また喫煙は蓄膿症の慢性化リスクを高めるだけでなく、治療の効果も出にくくさせます。
治療中はもちろん、再発予防のためにも禁煙を検討しましょう。
⑤抗生物質を自己判断で飲む
「以前もらった抗生物質が残っている」「また同じ症状だから飲んでしまおう」と自己判断で抗生物質を使うのは止めましょう。
抗生物質は細菌が原因の副鼻腔炎には効果がありますが、ウイルスやアレルギーが原因の場合には効果が得られません。
また飲み残しを使う場合、量や期間が適切でないため炎症が治りきらず、慢性化の原因になることがあります。
さらに不必要な抗生物質の使用は、薬が効きにくい耐性菌を生み出すリスクもあります。
抗生物質は必ず医師の診断のもとで、処方された量・期間をきちんと守って使用してください。
自宅でできる正しいセルフケア
蓄膿症の治療は病院での処置だけでなく、日常生活での過ごし方も回復に大きく影響します。
以下のセルフケアを意識して取り組みましょう。
水分をこまめにとる
蓄膿症の症状が出ているときは、水分補給を意識しましょう。
水分をこまめにとることで鼻水や膿がサラサラの状態に保たれ、外に出やすくなります。
また粘膜の乾燥を防ぐことで、炎症の回復も助けます。
のどが渇く前に少量ずつ飲むのがポイントです。
なお水分制限がある方は、主治医の指示を優先してください。
室内の湿度を50~60%に保つ
特に冬場は暖房で室内が乾燥しやすく、鼻の粘膜が刺激されて症状が悪化しやすくなります。
加湿器などを活用して、室内の湿度を50~60%程度に保ちましょう。
蒸しタオルで鼻のまわりを温めると血行がよくなり、膿の流れもスムーズになります。
鼻洗浄をする
鼻洗浄は、副鼻腔にたまった膿やアレルゲンを洗い流す効果が期待できるセルフケアです。
正しい方法で行いましょう。
鼻洗浄には市販の洗浄器具を使用するか、生理食塩水(水900mlに食塩9g、濃度約0.9%)を自分で作って使います。
温度は人肌程度の40℃前後にしてください。
- 人肌に温めた生理食塩水を用意する
- 前かがみの姿勢になる
- 「あー」と声を出しながら片方の鼻の穴からゆっくりと流し入れる
- 反対側または同じ側の鼻の穴から出す
- 左右それぞれ行う
1日1~2回、朝や外出後に行うのがおすすめです。
洗浄後は強く鼻をかまず、軽くかむ程度にとどめましょう。
しみる・痛む・耳がつまる感じが強い場合は中止し、医師に相談してください。
こんな症状が出たら早めに受診
やってはいけないこととセルフケアを意識しながら様子を見ていても、症状によっては早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
受診の目安
以下のような症状がある場合は、市販薬で様子を見るのではなく耳鼻咽喉科への受診をおすすめします。
- 鼻水や鼻づまりが風邪が治ったあとも10日以上続いている
- 黄色や緑色のドロっとした鼻水が出る
- 頭や顔が重い・押されるように痛む
- 「良くなったと思ったらまた悪化する」をくり返す
- においが分かりにくくなってきた
- (緑色の)痰や咳がなかなか止まらない
症状の詳しいチェックは「蓄膿症のセルフチェック記事」でも確認できます。
救急受診が必要な症状
以下の症状が出た場合は、炎症が目や脳のほうに広がっている可能性があります。
すぐに医療機関を受診してください。
- 数日以上続く発熱
- 目のまわりの腫れや強い痛み
- 吐き気・嘔吐
- 手足のしびれ・動かしにくさ
耳鼻咽喉科での治療の流れ
蓄膿症の症状が続く場合は、自己判断で様子を見るより早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
はじめて受診する方のために、診察の流れをご説明します。
診察・検査の流れ
診察は以下の順番で進みます。
- 問診
- 鼻鏡検査
- 内視鏡検査
- レントゲン・CT検査
まず問診を行います。
鼻づまりや膿のような鼻水がどれくらい続いているか、頭痛があるか、においが分かりにくくなっていないかなどを医師が確認します。
次に鼻鏡という器具で鼻の入り口を広げながら、ポリープ(鼻茸)がないか、膿がどのくらいたまっているかを観察します。
必要に応じて細いカメラを使った内視鏡検査で、鼻の奥や副鼻腔の入り口をより詳しく確認することもあります。
レントゲンやCT検査で副鼻腔の炎症の広がりや膿の量を調べることもあります。
また原因となっている細菌を特定するために、鼻水の検査を行う場合もあります。
治療方法
一般に副鼻腔炎に対してはカルボシステインなどの去痰薬や抗アレルギー薬に加えて、急性の副鼻腔炎にはセフェム系やペニシリン系、ニューキノロン系の抗生物質を、慢性の場合はマクロライド系の抗生物質やステロイドの点鼻薬などを使って治療します。
あわせて鼻洗浄やネブライザー(吸入)治療で膿を外に出し、炎症をおさえます。
好酸球性副鼻腔炎が疑われる場合や、ポリープが大きい場合には内視鏡を使った手術を検討することもあります。
治療開始後は症状が落ち着くまで2~3か月ほど経過を見ながらフォローしていきます。
教えて院長先生!蓄膿症に関するよくある質問
蓄膿症に関するよくある質問とその回答を院長先生にお伺いしました。
蓄膿症は自然に治りますか?
自然と治ることもありますが、もともとアレルギー性鼻炎があるなどの基礎疾患を伴う場合や喫煙を習慣とする場合などに、治りにくくなります。
市販薬だけで治せますか?
治る場合はあるとは思います。
原因や程度によりますが、治るまでに長い時間を要する可能性があります。
まとめ
蓄膿症のときに何気なくやってしまいがちな行動が、症状を長引かせることがあります。
正しいセルフケアを心がけながら、症状が続く場合は早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
- 鼻の強いかみ・点鼻薬の連続使用・飲酒・喫煙・抗生物質の自己判断は避ける
- 水分補給・加湿・鼻洗浄で症状が緩和される
- 症状が10日以上続く場合や黄色・緑色の鼻水が出る場合は耳鼻咽喉科へ
福岡市東区名島にお住まいで、蓄膿症の症状にお悩みの方はあだち耳鼻咽喉科へお越しください。
あだち耳鼻咽喉科では、蓄膿症の診断や治療に対応しています。
蓄膿症の疑いで病院を受診したら、別の病気が見つかることもあります。
「放っておいていいのか迷う」「市販薬で様子を見ているけどなかなか良くならない」という段階でもお気軽にご相談ください。












