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はな、のど

蓄膿症のやってはいけない対処法!病院受診の目安と治療方法を紹介

蓄膿症を治すには病院での治療が必要です。

しかしながら、仕事や家事などで忙しく蓄膿症のような症状が出てもなかなか受診できない方もいるでしょう。

病院受診ができない代わりに症状を緩和させるために市販薬を服用したり、鼻詰まりで眠れずお酒に頼ってしまったり人もいるかもしれません。

ところが蓄膿症に良かれと思って、おこなったこれらの行動はもしかしたら蓄膿症の症状をさらに悪化させる恐れがあります。

この記事では、蓄膿症の疑いがあるときにやってはいけない行動と病院受診の目安、病院でおこなう適切な治療法をご紹介します。

蓄膿症(副鼻腔炎)の疑いがあるときにやってはいけないこと

蓄膿症を根本から治すには、耳鼻咽喉科で適切な治療を受けることが大切です。

しかし急性副鼻腔炎の場合、風邪症状と似ているため受診せずに自力で治そうとする人もいるでしょう。

安静にして市販薬を適切に服用すれば、症状が改善し治ることもあります。

ところが蓄膿症の疑いがあったときに間違った対処法をしてしまうと、症状がさらに悪化するケースもあるので注意が必要です。

以下の行動は、症状の改善を妨げてしまう恐れがあるので蓄膿症の疑いがあるときはもちろんのこと、蓄膿症と診断された後もおこなわないようにしましょう。

喫煙や飲酒

蓄膿症の症状がある場合、喫煙や飲酒は控えるのが賢明です。

喫煙は副鼻腔の炎症を悪化させ、飲酒は血管を広げて鼻粘膜の腫れを引き起こし、鼻づまりの症状をさらに悪化させる恐れがあります。

鼻症状がつらい場合には、喫煙や飲酒はできるだけ控えるようにしましょう。

鼻すすり

鼻づまりや鼻水など鼻の症状が多い蓄膿症ですが、できるだけ鼻水はすすらないようにしましょう。

鼻水は鼻やのどに付着した異物を洗い流す役割を持ち、体の外へ排出されなければなりません。

しかし鼻水をすすることで本来排出されるべき細菌やホコリなどの異物が、体内に戻ってしまうことになり、症状の改善を妨げてしまいます。

鼻水はすすらずに、しっかりとかんで排出することが重要です。

また、鼻の症状がつらい場合には家庭での鼻うがい(鼻洗浄)がおすすめです。

0.9%の濃度になるよう食塩を入れた41℃前後のお湯を鼻に直接流し込み、かみきれない鼻水や粘膜に付着した花粉やハウスダストを取り除きます。

正しい方法で行えばツンとした痛みもほとんど感じられません。

薬剤が含まれていないので、何度おこなっても副作用の心配がないのもメリットの1つです。

ドラッグストアで販売されている鼻うがいキットなど専用の製品を使うのもおすすめです。

市販の点鼻薬に注意

市販の点鼻薬は使用の際に注意が必要です。

鼻づまりを解消する目的の点鼻薬には血管収縮剤が含まれているものが多く、血管を収縮させることで粘膜の腫れを抑え、症状を改善に導きます。

しかし、これはあくまで一時的な症状の改善にのみ効果を発揮する薬です。

繰り返し服用を続けることで、薬の効き目が落ちるタイミングに症状が悪化する「薬剤性鼻炎」を引き起こしてしまう可能性があります。

鼻づまりを解消する目的の点鼻薬はあくまで対症療法であり、長期にわたって服用するのは避けることが重要なポイントです。

また、市販の製品だけでなく、病院で処方される点鼻薬にも血管収縮剤が含まれているものがあります。

いずれの場合も服用の際には用法や用量を守り、正しく服用するようにしましょう。

【タイプ別】蓄膿症(副鼻腔炎)の治療法

蓄膿症(副鼻腔炎)の治し方、病院での治療法は?

蓄膿症(副鼻腔炎)とは顔の奥にある副鼻腔と呼ばれる空洞に起こる炎症のこと。

炎症によって副鼻腔に溜まった膿がさまざまな不快な症状を引き起こす厄介な病気です。

蓄膿症(副鼻腔炎)は3つのタイプに分類され、それぞれに治療法が異なります。

蓄膿症3つのタイプ
  • 急性副鼻腔炎
  • 慢性副鼻腔炎
  • 好酸球性副鼻腔炎

それぞれの治療法をご紹介しましょう。

蓄膿症の治療法①:急性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎は風邪や花粉症、アレルギー性鼻炎などをこじらせ、副鼻腔内が細菌に感染することで発症します。

ごく初期であれば風邪の治りなどとともに改善することもありますが、症状が出たまま放っておくと悪化するおそれがあるので注意が必要です。

治療法としては1週間前後、抗生物質などを服用する薬物療法が一般的です。

また鼻水・鼻づまりなど不快な症状を緩和させるため、鼻の中に溜まった鼻水などを洗い流す「鼻洗浄」や、霧状の薬液を副鼻腔に吸入する「ネブライザー」など、症状や程度に合わせた対症療法も行われます。

蓄膿症の治療法②:慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎は急性副鼻腔炎が長引き、副鼻腔内に常に膿がたまることでさまざまな症状があらわれます。

一般的に「蓄膿症=慢性副鼻腔炎」と呼ばれる理由ですね。

急性副鼻腔炎の症状の原因が細菌感染であることに対し、慢性副鼻腔炎ではたまった膿が原因で辛い症状を引き起こします。

4週間ほどで改善するケースを急性副鼻腔炎と呼び、3ヶ月以上にわたって症状があるケースを慢性副鼻腔炎と呼びます。

治療法としてはマクロライド系の抗生物質を3ヶ月以上服用し、急性の場合と同じように鼻洗浄やネブライザーも行うことも。

副鼻腔内が炎症を起こし、ポリープのようなものが複数できている(別名、鼻茸ともいいます)場合や、保存的治療法で改善しない場合は内視鏡を用いた外科的手術の検討が必要です。

他にも鼻の中央を仕切っている鼻中隔が極端に曲がっていることが原因(鼻中隔湾曲症)で、治りが悪い場合もあります。

このような場合には鼻中隔をまっすぐに矯正する「鼻中隔矯正術」を行います。

蓄膿症の治療③:好酸球性副鼻腔炎

近年増えているのが「好酸球性副鼻腔炎」です。

原因はウイルスや細菌の感染や副鼻腔炎に溜まった膿ではなく、炎症のある部位で好酸球(白血球の一種)が異常に増加していることですが、未解明な部分が多く、理由ははっきりと判明していません。

治療を行っても再発例が多く、根本的な治療法が確立されていないこともあり、国の難病に指定されています。

好酸球性副鼻腔炎の特徴
  • 鼻茸とよばれるポリープができやすい
  • 嗅覚障害
  • 喘息

治療法としてはまず抗生物質を服用しますが、それでもにおいが戻らない、鼻づまりが続くなどの場合には、ステロイドの内服に切り替えます。

しかし鼻茸が大きくなった場合には内視鏡を用いて手術を行い、術後にはステロイドの内服や洗浄などで対応し、様子を見ていきます。

ただし手術を行った場合でも再発するケースが多く、長期的に治療に取り組む必要があります。

蓄膿症?風邪?耳鼻咽喉科の受診の目安

蓄膿症は風邪の初期症状と似た症状もあることから、病院受診すべきか迷うこともあるかもしれません。

しかしながら、鼻づまりや鼻水の症状が軽くても早めの受診をおすすめします。

鼻づまりや鼻水の症状が出てからすぐに病院受診すると早期治療により、短期間で症状を改善できるからです。

とはいえ、新型コロナウイルス感染症が未だ猛威を奮っているため、できる限り病院受診したくない方もいるでしょう。

そのような方は、鼻水の色を目安に病院受診するか否かをご検討ください。

鼻水の色が黄色の場合、急性副鼻腔炎の原因となるウイルスまたは細菌に感染している恐れがあるので、病院受診した方がよいでしょう。

鼻水の色が黄色から緑色に近くなった場合、鼻水にウイルスや細菌、白血球の死骸などが大量に含まれており、副鼻腔に膿が溜まっている恐れがあります。

緑色の鼻水が出たら、蓄膿症の疑いがあるので急ぎ病院受診し治療をうけましょう。

一方、鼻水が透明または白色の場合、風邪の初期症状やアレルギー症状による鼻水です。

鼻水や鼻づまりの症状があるだけで日常生活に支障がないのであれば、しばらく様子を見てもよいでしょう。

蓄膿症を放置することによるリスク

蓄膿症を放置すると、副鼻腔の炎症が目の周りに拡がり、視力障害や失明のおそれもあるため注意が必要です。

また脳に炎症が起こり、膿がたまる脳膿瘍や脳や脊髄をおおう粘膜に炎症が起こる髄膜炎などを併発し、命に関わるおそれもあります。

副鼻腔炎の原因とは?治療法や放置するリスクを解説この記事では副鼻腔炎の原因から治療法まで解説します。風邪がなかなか治らない、鼻水が止まらない、といった症状は風邪ではなく副鼻腔炎かもしれません。...

まとめ:蓄膿症は早めの対処が肝心!必要に応じて受診を

蓄膿症は抗生物質を使った治療法が普及したことで、以前に比べて治りやすくなりました。

しかし蓄膿症はいやなにおいや鼻水、鼻づまりなど不快な症状が多く、口臭が原因でコミュニケーションをとりづらいなど、QOL(生活の質)に大きく関わってくるやっかいな病気です。

また蓄膿症を放置してしまうと炎症が拡がり、中耳炎や視力障害、脳への障害など命に関わる恐れもあります。

まとめ
  • 蓄膿症の疑いがあるときは飲酒や喫煙、市販の点鼻薬の過剰摂取をしない
  • 病気のタイプごとに治療法が異なるので耳鼻咽喉科で適切な診察を受ける
  • 蓄膿症は悪化すると慢性化や命に関わるおそれもあるので注意

蓄膿症かもと感じたらできるだけ早く耳鼻科を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。

ABOUT ME
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
日本耳鼻咽喉科学会 / 専門医・指導医 身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器認定医 / 補聴器適合判定医 / 九州大学耳鼻咽喉科 特任助教
国際医療福祉大学非常勤講師