鼻づまりや鼻水などの不快な症状に悩まされており、蓄膿症かどうか知りたいとお悩みの方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は蓄膿症かどうかを簡易的にチェックするポイントを解説します。
病院に行く前に蓄膿症の可能性があるかどうか、知っておきたいという方はぜひ確認しておきましょう。
あわせて蓄膿症でやってはいけないことも解説しています。ぜひ最後までご覧ください。
目次
【蓄膿症セルフチェック】どんな臭い?症状は?自己診断してみよう
さっそく蓄膿症のセルフチェックのポイントを解説します。
次のような症状が複数当てはまる場合、蓄膿症の恐れがあります。
気になる症状をチェックしてみましょう。
- 鼻づまり・鼻の奥が詰まったように感じる
- においが分かりにくい
- 鼻をかんでもかみきれないと感じる
- ドロっとした黄色や緑色の鼻水が出る
- 鼻や口から嫌な臭いがする
- 顔面や歯、目などの周りが痛い
- 喉の奥に鼻水が流れる
- 頭が痛い
加えて蓄膿症の特徴的な症状として挙げられるのが「臭い」です。
生臭く、魚の腐ったような臭いが特徴で、口臭の原因となってしまうこともあります。
この臭いは副鼻腔と呼ばれる顔の奥にある空間に溜まった膿が原因です。
臭いが気になる場合は、蓄膿症が悪化している恐れがあるので、早めの受診をおすすめします。
詳しくは、以下の記事に書かれていますので、こちらもご覧ください。そもそも蓄膿症とは?種類とその原因
蓄膿症とは副鼻腔に炎症が起こり、膿が溜まることでさまざまな症状が起こる疾患のことを言います。
実は、蓄膿症とは正式な医学用語ではありません。
「蓄膿症」は副鼻腔炎のことであり、中でも慢性タイプを指す場合がほとんどです。
さらに副鼻腔炎には急性や好酸球性といったタイプもあります。
それぞれの原因や特徴をみていきましょう。
急性副鼻腔炎
「急性副鼻腔炎」はウイルスや細菌に副鼻腔が感染し、炎症を起こすことが原因で発症します。
鼻づまりや鼻水などの症状に加え、発熱する場合もあります。顔面の痛みを強く感じることも。
風邪や花粉症がきっかけとなることがほとんどで、多くの場合1ヶ月以内に症状がおさまります。
慢性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎の症状がおさまらず、3ヶ月以上続く場合を慢性副鼻腔炎と呼びます。
蓄膿症と呼ばれることも多く、副鼻腔の炎症によって溜まった膿がなかなか排出できなくなることで発症します。
慢性期ではウイルスや細菌ではなく、溜まった膿が症状のおもな原因です。
膿が溜まると繊毛の動きが悪くなったり、副鼻腔と鼻腔をつなぐ自然孔がふさがれたりしてしまい排出機能が低下します。
これによってさらに膿が溜まるという悪循環に陥り、症状は悪化の一途を辿ってしまいます。
好酸球性副鼻腔炎
近年増加傾向にあるのが難治性の「好酸球性副鼻腔炎です。
原因はウイルスや細菌の感染ではなく、炎症のある部位で白血球の一種である好酸球が以上に増えていることですが、その理由はまだはっきりとわかっていません。
一般的な副鼻腔炎の症状に加え、嗅覚障害や喘息を併発するケースが多いことが特徴です。
また、篩骨洞という部分に病変を認めることが多く、そのために嗅覚障害を生じることが多い疾患です。
治療はステロイドを使った薬物療法や手術によって行われます。しかし手術後の再発も多く確認されています。
基本的には成人に発症し、女性に多い点も特徴です。2015年に国の難病に指定され、治療費の助成を受けられます。
また、近年、難治性の好酸球性副鼻腔炎に対し、生物学的製剤であるデュピクセント®?という注射の治療が適応となっています。
蓄膿症は自力で治せる?
不快な蓄膿症の症状は自力で回復されられるのでしょうか。
ごく軽い症状であれば自力で回復することも
急性副鼻腔炎のごく初期であれば、風邪が治るとともに回復することがあります。
しかし急性であっても炎症が脳や目に及び重篤な合併症を発症することがあるため、自己判断は避けましょう。
冒頭でも言いましたが、上で挙げたような症状がみられる場合には、受診をおすすめします。
症状が長引いている場合は早期に受診を
症状が長引くと自力での回復は見込めません。できるだけ早く専門医を受診することが症状改善の唯一の方法です。
病院ではまず鼻の粘膜の腫れやむくみ、鼻水の様子などを確認します。
さらにファイバースコープを使いポリープの有無や、鼻中隔が曲がっていないかなどもチェック。
必要に応じてレントゲンやCTなどを行い、副鼻腔内の炎症の範囲やその程度などをさらに詳しく検査することもあります。
検査の結果、副鼻腔炎と診断されたら抗菌薬を中心に薬物による治療を行うのが一般的です。
通常は2週間ほどの服用で改善されますが、慢性期に入っている場合にはマクロライド系の抗菌薬を3ヶ月ほどかけて服用し治療します。
あわせて鼻洗浄やネブライザー吸引など、症状に合わせた治療が行われます。
それでも改善されない場合や、鼻茸と呼ばれるポリープが充満している場合などは外科的な手術が必要になることも。
以前のように歯茎を切って行うケースは減り、現在は内視鏡を用いて行う場合がほとんどです。
蓄膿症でやってはいけないこと
蓄膿症の疑いがある際や蓄膿症と診断された際、少しでも悪化を防ぎ、できるだけ早く症状を改善させるためにも、次のような行為は避けるようにしましょう。
鼻をすする
急性・慢性問わず急性副鼻腔炎では鼻の不快な症状が多くあらわれますが、鼻水をすすらないよう注意しましょう。
鼻水は鼻やのどに入り込んだ菌やハウスダストといった異物を体外へ排出する役割を持ちます。
そのため鼻水をすすると体外へ排出されなければならない異物が戻り、症状の悪化につながります。
また鼻すすりは中耳炎を引き起こすこともあり、とくに小さな子どもは注意の必要があります。
鼻水はすすらず、かむことが重要です。赤ちゃんや幼児の場合は鼻水吸引器を利用し、こまめに鼻水を取ってあげましょう。
喫煙
喫煙も副鼻腔炎を悪化させる要因の一つです。とくに急性副鼻腔炎の場合には一時的にでも喫煙量を減らすことも重要です。
お酒を飲む
蓄膿症の症状が出ているときはお酒を飲むのを控えましょう。
アルコールを摂取すると血管が広がり、鼻の粘膜の腫れを引き起こして鼻づまりを悪化させてしまいます。
不快な鼻症状がある場合には飲酒を避け、治ったあとの楽しみにとっておくのが賢明です。
市販の点鼻薬に注意する
鼻づまりの症状改善に市販の点鼻薬を使う方も多いでしょう。
市販の点鼻薬には血管収縮剤が含まれているタイプが多く、粘膜の腫れを抑えて鼻づまりを一時的に解消してくれます。
しかしあくまで一時的にのみ効果を発揮し、時間が経つと症状は元に戻ってしまいます。
繰り返し服用していると、効果が薄れるタイミングで症状が悪化する薬剤性鼻炎になってしまうおそれがあり、注意が必要です。
したがって市販の点鼻薬は耳鼻科を受診できないときの対症療法として服用し、長期間の使用は避けましょう。
また病院で処方される点鼻薬の中にも血管収縮剤が含まれているものがあります。
使用の際には用法と用量を守り、正しく服用することが重要です。
蓄膿症を予防するセルフケアのポイント
蓄膿症の症状は不快でやっかいですよね。
繰り返しかかることも多く、ふだんから予防を心がけることが重要です。
最後に蓄膿症を予防するセルフケアのポイントについて解説しましょう。
風邪や鼻炎を長引かせない
蓄膿症の原因となりやすい次の病気は、できるだけ長引かせないよう注意しましょう。
- 風邪
- 花粉症
- アレルギー性鼻炎
いずれも十分な休養をとるとともに耳鼻科で適切な治療を受け、早めに症状を改善することが重要です。
規則正しい生活を心がける
不規則な生活はストレスや疲労の原因となり、風邪を引きやすくなったり、花粉症やアレルギー性鼻炎を悪化させたりします。
バランスのよい食事や適度な運動も心がけ、ふだんから規則正しい生活を送るようにしましょう。
鼻うがいをする
最近は市販の鼻うがい製品も多く、それらを利用したセルフケアもおすすめです。
また、食塩と41℃前後のぬるま湯を使って0.9%の濃度の食塩水を作れば、市販品を使わずに鼻うがいができます。
いずれの場合も鼻水のぬるぬるがなくなるまで行い、1日1~2回ほどを限度としましょう。
まとめ:蓄膿症は悪化の前に受診を!
蓄膿症は不快な症状が多く、睡眠不足や集中力がなくなるなどQOL(生活の質)の低下にも直結します。
ただの鼻づまりだからと放置しておくと悪化し、場合によっては重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。
子どもがかかることも多いため、ママやパパはこまめに鼻や鼻水のチェックをしてあげてくださいね。
- 蓄膿症の症状は鼻づまりやどろっとした黄色や緑色の鼻水などが特徴
- 蓄膿症の改善には適切な治療とセルフケアが重要
蓄膿症が疑われる症状がみられたらできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診し、専門の医師による診断を受けましょう。