鼻から嫌な臭いがするのは蓄膿症が原因かもしれません。
不快な臭いを抑えたい、自分が蓄膿症なのか確認したいと考えている方も多いでしょう。
今回は蓄膿症を疑っている方へ、嫌な臭いが起こる理由やその他の症状などについて解説します。
あわせて耳鼻咽喉科での治療やセルフケアのポイントなどについても解説しているので、最後まで内容をチェックしてくださいね。
目次
蓄膿症かも?鼻から嫌な臭いが起こる理由
鼻から嫌な臭いがする、不快な臭いに悩まされているなら蓄膿症(副鼻腔炎)が原因と考えられます。
魚が腐ったような臭いが特徴的で、ときには口臭を発生させることもあり、マスクを着用しているときなどに気づくことも多いようです。
ではなぜ、蓄膿症では嫌な臭いが発生するのでしょうか?
それは副鼻腔内に溜まった膿が原因です。
そもそも副鼻腔とは顔の奥にある4つの空間のこと。いずれの副鼻腔の空間も自然口と呼ばれる部分で鼻とつながり、普段は空気を循環させて加湿や清浄する役目を担っています。
しかし風邪やアレルギー性鼻炎、花粉症などで鼻の粘膜に起きた炎症が副鼻腔まで広がり、悪化すると膿が発生します。
膿は壊れた組織や死んだ細菌が含まれるため、腐敗臭のような嫌な臭いが生じるのです。
臭い以外で蓄膿症の症状をセルフチェック
蓄膿症では臭いの他にもさまざまな症状がみられます。
以下のような症状がないか、チェックしてみましょう。
- ドロっとした黄色い鼻水
風邪や花粉症では透明なさらっとした鼻水が出ますが、蓄膿症ではどろっとした黄色い鼻水が特徴です。症状がさらに進むと緑色になることもあります。 - 顔面や頭、歯や目、鼻のまわりの痛み
副鼻腔内に溜まった膿が顔面を圧迫し、痛みを感じることがあります。虫歯でもないのに、歯が痛むこともあり、歯科医を受診して気づくケースも多いようです。 - 鼻づまり
鼻の粘膜が腫れたり、炎症を起こしたりすることで鼻がつまりやすくなります。 - 後鼻漏
鼻の奥からのどにかけて鼻水が垂れることを「後鼻漏(こうびろう)」といい、蓄膿症の特徴的な症状です。のどがねばついて不快に感じる、声が出しにくい、咳が出るなどの症状も引き起こします。 - 鼻腔をふさぐポリープ
症状が進み慢性化すると、副鼻腔と鼻とをつなぐ自然口をふさぐポリープ(鼻茸)ができることがあります。鼻が苦しい、息がしにくいなど感じることも多くあります。
風邪などをこじらせたことで発症する場合は急性の副鼻腔炎で、いつの間にか症状がおさまっているケースも少なくありません。
ただし急性とはいえ、治療が必要なケースもあるため、いつまでも鼻がぐずぐずと詰まっているなどの場合には受診をおすすめします。
3ヶ月以上続く場合は慢性タイプの副鼻腔炎となり、いわゆる蓄膿症です。放っておくと悪化の一途をたどるため、適切な治療を受ける必要があります。
また最近は「好酸球性副鼻腔炎」と呼ばれる難治性の蓄膿症もあり、注意が必要です。
さらに特に小児の場合、異物を知らない間に鼻の中に入れていて、副鼻腔炎を来している場合もあります。
いずれの場合も蓄膿症かなと感じたら早めに受診し、対処しましょう。
蓄膿症かも、と思ったら耳鼻咽喉科の受診を
ここまでに挙げた症状に思い当たる節があり、蓄膿症かもしれないと感じたらまずは耳鼻咽喉科を受診することが重要です。
そのうち治るだろうと放置していたり、市販薬で対応を続けたりしていると悪化してしまうおそれがあります。
しかし慣れない耳鼻咽喉科の受診に不安がある方も多いかもしれません。
そこでどのような診断や検査が行われるのか、どのような治療が行われるのかについて解説しましょう。
診察・検査
まずは鼻の中を診て、粘膜の腫れやむくみ、鼻水の様子などを確認します。
さらに詳しい診断のため、ファイバースコープを使ってポリープがあるかどうかや、鼻を左右に仕切る鼻中隔が曲がっていないかなどチェックし、重症度を判断。
その後必要に応じてレントゲンやCT・MRIを行い、副鼻腔内をより詳しく検査し、炎症の範囲や程度を評価するとともに、特殊な原因である真菌や腫瘍といったものを除外します。
また、詳しい診断のため、ファイバースコープを使ってポリープがあるかどうかや、腫瘍性の病変の可能性がないかといったことを観察する場合もあります。
治療方法
蓄膿症の治療には一般的に抗菌薬を中心に使用し、通常は2週間ほどの服用で症状が改善します。
それでも改善されない場合には慢性と診断され、マクロライドという系統の抗菌薬を3ヶ月以上服用して治療を行います。
薬物両方とあわせて鼻の中に溜まった鼻水などを洗い流す「鼻洗浄」や、霧状の薬液を副鼻腔に吸入する「ネブライザー」など、症状に合わせて治療します。
しかしポリープ(鼻茸)が副鼻腔内に充満している場合や保存的治療で治癒しない場合は、内視鏡を用いて行う外科的治療が必要です。
以前は歯茎を切って手術が行われていましたが、現在は特別な場合を除いて、そのような治療法は行われません。
また鼻の真ん中を仕切る「鼻中隔」が極端に曲がっていることが原因で鼻の通りが悪く、蓄膿症を繰り返すこともあります。
このような場合は鼻中隔をまっすぐに矯正する手術を行い、症状の改善を図ります。
蓄膿症の治療については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
蓄膿症の対処方法は?セルフケアのポイント
蓄膿症は治療だけでなく、日々のセルフケアや予防も重要です。
以下のポイントに注意し、蓄膿症を引き起こさない、悪化させないことに気をつけましょう。
風邪の悪化に気をつける
蓄膿症は風邪や花粉症、アレルギー性鼻炎などの悪化も原因のひとつです。
風邪を引いても長引かせない、花粉症やアレルギー性鼻炎は適切な治療を受けるなど気をつける必要があります。
疲れやストレスをためない、バランスのよい食事を心がけるなど普段から健康的な生活を心がけることも重要です。
鼻うがいをする
耳鼻咽喉科だけでなく家庭でも鼻うがい(鼻洗浄)を行うことができます。
0.9%の濃度になるよう食塩を入れた41℃前後のお湯を鼻に流し込み、かみきれない鼻水や粘膜に付着した花粉やハウスダストを取り除く方法です。
ツンとした痛みがあるのではと不安に思う方も多いかもしれませんが、正しい方法で行えば痛みもほとんど感じられません。
以下の手順を参考に試してみましょう。
- ドレッシングボトルのようなノズルのついたプラスチック容器に食塩水を入れる
- 前かがみになり顔をやや横に傾けて、容器を押しながら食塩水を鼻に流し込む(「えー」と声を出すと流し込みやすい)
- 流し込んだ食塩水を鼻、もしくは口から出す
鼻水のぬるぬるした感じがなくなるまで行い、1日1~2回ほどを限度としましょう。やりすぎは禁物です。
不安があるという方は市販の鼻うがい製品を利用するのもおすすめです。
鼻水をすすらない
蓄膿症になると鼻の不快な症状が多くあらわれますが、その際鼻水をすすらないようにしましょう。
そもそも鼻水は鼻やのどについた菌やハウスダストなどの異物を洗い流すためのものであり、体外へ排出されるものです。
したがって鼻をすすってしまうと、本来は体外へ排出されるべき異物が体内へ戻ってしまうことに。
鼻水はすすらずに、しっかりとかんで排出するようにしましょう。
点鼻薬に注意する
鼻づまりを解消するはたらきを持つ点鼻薬には血管収縮剤が含まれているものがあり、あくまで一時的な症状の改善にのみ効果を発揮します。
服用することで血管が収縮して粘膜の腫れを抑え、鼻づまりを一時的に解消しますが、時間が経つとまた元に戻ってしまうためです。
繰り返し服用していると、薬の効き目が薄れるタイミングにさらに症状が悪化してしまう、薬剤性鼻炎になってしまうケースがあります。
あくまで対症療法として使用し、長期間にわたって服用するのは避けるようにしましょう。
また市販の製品に限らず、病院で処方される点鼻薬の中にも血管収縮剤が含まれているものはあるため、使用の際には用法と用量を守って正しく服用することが重要です。
まとめ:蓄膿症のいやな臭いは早めの受診で解決を
鼻から嫌な臭いがするのは不快なものです。口臭の原因にもなり、おしゃべりなどのコミュニケーションを楽しめなくなってしまうこともあります。
大人はもちろん、風邪を引きやすい子どもも発症することがあるため、パパやママは注意してみてあげてくださいね。
- 蓄膿症の嫌な臭いは副鼻腔に溜まった膿が原因
- 蓄膿症は治療とセルフケアが重要
蓄膿症の不快な症状は日常生活に大きな影響を及ぼします。
嫌な臭いに悩んだらまずは耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療でできるだけ早く症状を改善しましょう!