花粉症には風邪と共通する症状がいくつかあり、どちらか判断がつかないことがよくあります。
鼻水やくしゃみに悩まされているけど、花粉症か風邪か分からないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
今回は花粉症かどうか判断するセルフチェックのポイントをご紹介し、より詳しく症状について解説します。
あわせて病院での治療や、自分でできる花粉症対策についても解説していますので、最後まで内容をチェックしてくださいね。
目次
花粉症の症状をセルフチェックしてみよう
花粉症と風邪には似た症状が共通していますが、比較してみるとそれぞれ異なる点もあります。
まずは花粉症の特徴的な症状をチェックしてみましょう。
- 連続した発作的なくしゃみが出る
- 透明でさらっとした鼻水が出る
- 目のかゆみがある
- 高熱、咳はあまりない
- 特定の時期のみ発症する
- 鼻がよくつまる
一方、花粉症と比較した風邪の特徴的な症状は次のようなものです。
- くしゃみは出るが発作的ではない
- 粘り気があって黄色の鼻水が出る
- 目のかゆみはない
- のどの痛みやかすれがある
- 熱っぽさやだるさ、関節痛といった全身症状があらわれる
ご自身の症状と比較していかがでしょうか。
チェックポイントはあくまで目安ですが、当てはまる項目が多い場合は花粉症の可能性が高くなります。
また、毎年同じ時期に症状がある場合は花粉症の可能性が強くうたがわれますが、急に花粉症が発症する場合もありますので、注意が必要です。
花粉症の症状をさらに詳しく解説
花粉症といえばくしゃみや鼻水が中心ですが、他にもさまざまな不快な症状があらわれることが少なくありません。
花粉症の症状は鼻だけでなく、のどや目にも症状があらわれやすく、さらに日常生活にも大きな影響を与えることがあります。
ここではさらに詳しく花粉症の症状についてみていきましょう。
鼻の症状
花粉症では鼻粘膜に付着した花粉を外に追い出そうと、鼻水やくしゃみ、鼻づまりといった鼻の症状が出やすくなります。
前述したように鼻水は水のようにサラサラしており、くしゃみは発作的に出て回数が多いのが特徴です。
また、鼻粘膜が腫れることで鼻づまりが起き、においや味が感じにくくなるケースも多くみられます。
のどの症状
花粉症では痛みやイガイガなど、のどの症状が出ることもあります。
これは鼻で吸収されずにのどに花粉が流れ、粘膜に張り付いてしまうためです。
また鼻づまりで口呼吸になりやすく、のどの痛みや乾燥が引き起こされるという理由もあります。
目の症状
花粉症では目にも花粉が入り込み、かゆみや充血、涙や目やになどを引き起こします。
目には花粉が入り込みやすく、また涙に花粉が溶けるため、花粉症の症状があらわれやすくなってしまうためです。
その他の症状
花粉症は鼻・のど、目の症状以外にも次のような症状があらわれます。
- 日中のだるさ
- 集中力・判断力の低下
- 眠気
- 耳のかゆみ
- 顔などの肌のかゆみ
- イライラ
これは鼻づまりなどで十分な睡眠が確保できずに疲れがとれなかったり、症状そのものがストレスになったりすることが原因です。
やっかいなことに、これらの症状がさらにストレスとなって、鼻や目などの症状を悪化させてしまい、さらなる悪循環に陥ってしまうことも考えられます。
花粉症かもと思ったらまずは病院を受診
ここまでの解説を読み、「もしかして花粉症かも」と思ったら、まずは病院を受診しましょう。
鼻やのどの症状が強ければ耳鼻咽喉科をおすすめします。目の症状が強いのであれば、眼科の受診も検討するとよいですね。
市販薬で大丈夫とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、市販薬と処方薬は配合成分の量が違い、より自分に合った薬を選ぶためには病院で専門医に相談するのがベストな方法です。
しかし病院ではどのような検査や治療が行われるのか分からず不安、という方も多いかもしれません。
そこで順を追って解説していきましょう。耳鼻咽喉科を受診した場合は、以下のように検査や治療が行われます。
問診・検査
花粉症かもと思って病院を受診すると、まず行われるのが問診です。
おもに以下のような内容を尋ねられます。
- どんな症状があるか
- アレルギー疾患の既往歴
- アレルギーを持っている家族はいるか
次に検査として、鼻の粘膜の色や腫れ、目の充血などをチェックします。
アレルギーの抗原を調べる血液検査などを行うことによって、花粉症などのアレルギーによるものかを診断することが可能です。
治療方法
問診や検査の結果、花粉症の可能性が高いと診断されたら治療を開始します。
医師としっかり話し合い、症状の程度に合った治療方法を選ぶことが重要です。
一概に花粉症の治療といっても、その方法はさまざま。以下の3つの治療方法が一般的です。
薬による治療
もっとも一般的な花粉症の治療は、症状を抑える薬を服用する方法です。
時期と症状によって効果の出る薬が異なり、症状が重い時期には抗ヒスタミン薬に併せて、ステロイド点鼻薬やロイコトリエン拮抗薬が用いられます。
抗ヒスタミン薬は1日に1回あるいは2回内服するものや貼付剤、眠気の少ないものなどいろいろなタイプのものが存在します。
もちろん症状やその程度によって処方される薬は異なるため、医師ときちんと話し合い、自分に合った薬を見つけることが重要です。
手術療法
花粉症では手術による治療を行うこともあります。
一般的なのは鼻の粘膜を焼く「レーザー手術」です。
鼻の粘膜を焼くことで鼻腔内の空間が広がったり、鼻水を出す腺の働きが弱まったりするため、とくに鼻づまりに高い効果が期待できます。
入院は不要で外来での治療が可能ですが、花粉症シーズン前に行う必要があり、手術で一度改善しても再発の可能性がある点に注意しておきましょう。
また、鼻を左右に仕切っている鼻中隔が大きく曲がっていて、そのせいで鼻づまりがひどい場合には、「鼻中隔矯正術」という治療法や、鼻のつまりをとる「下鼻甲介骨粘膜下切除術」や鼻水の分泌を減らす「後鼻神経切断術」といったものもあります。
舌下免疫療法
花粉症の症状を大きく緩和でき、場合によっては完治できる可能性もあるのが「舌下免疫療法」です。
アレルゲンを含む治療薬を毎日服用し、体を徐々にアレルゲンに慣らしていきます。
3~5年以上継続する必要がありますが、花粉症の治療方法の中で唯一治せる可能性があるため、つらい症状に悩んでいる方は試してみる価値はあるでしょう。
まれではありますが、ショックなどの副作用があるため、治療の際には医師にしっかりと相談することが重要です。
舌下免疫療法の詳細については以下の記事をご覧ください。
初期療法という手段もある
薬を使った治療法を花粉が飛散を始める前から始める「初期療法」では、本格的な花粉症シーズンの症状を軽くしたり、発症を遅らせたりできるとされています。
花粉の飛び始める前から薬を服用する必要があるため、お住まいの地域の花粉飛散予測時期をチェックしておき、早めの受診がおすすめです。
自分でできる花粉症対策
花粉症の症状を抑えるには、アレルゲンである花粉を徹底して避けることも重要です。
そこで自分でできる花粉症対策として、花粉を上手に避けるコツをご紹介します。
マスクを隙間なく着用する
花粉症対策の代表ともいえるマスクは隙間なくぴったりと着用しましょう。
鼻や口をしっかりと覆えるサイズを選び、ワイヤーなどで調節して着用します。
どうしても隙間が空いてしまう場合にはサイズが合わないのかもしれません。自分にぴったりのマスクを選ぶことも大切です。
メガネをかける
目のかゆみや充血などがひどい場合には、メガネをかけることで症状を抑えられます。
普通のメガネではなく、花粉症用のゴーグルなど、顔のサイド部分もカバーするタイプが効果的です。
また、コンタクトレンズを着用している方は、目やにや花粉で汚れてしまい、症状を悪化させるおそれがあります。
花粉症のシーズン中はメガネをかけるか、1dayタイプのコンタクトにするのがおすすめです。
花粉が付着しにくい服を選ぶ
出かける際は花粉が付着しにくい服を選びましょう。
表面に凸凹が少ないポリエステルやレーヨンなどの化繊が最適です。とくにアウター類はこれらの素材を選ぶとよいでしょう。
逆にセーターや起毛素材の衣類は付着しやすく、花粉症との相性はよくありません。
また、静電気防止スプレーを衣類全体に吹きかけることで、静電気によって花粉が付着するのを防げます。使ってみるのもおすすめです。
花粉を室内に入れない
外出先から帰宅後、花粉を室内に入れないことも重要です。
衣類や髪の毛は玄関前などでよく払い、できれば洗顔やうがい、鼻をかんでから部屋に入るのがおすすめです。
また、窓やドアはできるだけ閉めておくこと、布団や洗濯物の外干しは避けることなども心がけましょう。
室内に入った花粉はこまめに除去する
室内に入った花粉はこまめに掃除し、除去しましょう。
花粉が溜まりやすい窓際はとくに念入りに行います。
掃除機を使うと花粉が舞い上がってしまうおそれがあるため、フローリングワイパーなどを使って優しい力で集めるのがコツです。
まとめ:症状をチェックして花粉症かもと思ったら早めの受診を
花粉症と風邪の症状には共通点もありますが、異なる点も多くあります。
どちらか悩んだら、自己判断で市販薬を服用するよりもまずは病院を受診しましょう。
- 花粉症の鼻水は風邪の時と違い、さらさらとしている
- 花粉症は目のかゆみや充血を伴うことがある
- 花粉症の治療法はさまざまなので自分に合った治療法を選ぶ
また花粉症でない人も、ある日突然症状があらわれることもあります。
花粉症でなくても、花粉症の時期はなるべく花粉を室内に持ち込まないよう意識して生活した方がよさそうです。
つらい花粉症に悩んだら、早めに耳鼻咽喉科に相談し、自分に合った治療法で乗り切りましょう。