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花粉症

2024年花粉の飛散開始時期はいつ?地域別のピークや先取り花粉症対策を解説

鼻や目のかゆみなど日常生活に支障が出ることもある花粉症の症状。

花粉症の症状は、ひどいと日常生活に支障が出ることもあるため、いつから花粉が飛散開始し、いつまで続くのか心配になる患者さんも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、2024年の春の花粉飛散開始時期について解説します。

あらかじめいつ頃に花粉が飛散するか知っておくことで、花粉症の治療やセルフケアに役立てられるでしょう。

秋の花粉症の発症時期や初期治療についてもまとめましたので、花粉症の症状を少しでも和らげるのに役立ててください。

2024年春の花粉飛散開始時期はどうなっている?

2023年 春の花粉飛散予測(第3報)

出典:日本気象協会 2024年 春の花粉飛散予測(第3報)

一般財団法人 日本気象協会が発表した、2024年スギ花粉飛散開始時期の予報は次の通りです。

  • 東北北部…3月上旬~中旬
  • 東北南部…2月中旬~下旬
  • 近畿・北陸…2月中旬
  • 関東甲信…2月上旬
  • 東海…2月上旬
  • 四国・中国・九州…2月上旬

スギの雄花は開花前年の10月下旬~11月下旬に花粉を形成し、冬の気温低下に伴い休眠期に入ります。

その後、1℃~8℃の低温下に一定期間さらされることで、覚醒し花粉の飛散に向けて準備を始めるのです。

花粉の飛散開始時期は、休眠からの覚醒に必要な低温時期と覚醒後の温度によって変わります。

2023年は暖冬なため、12月から年明けの2月にかけて冬の気温が例年よりも高くなるであろうと予想されています。

初冬に冷え込む日が続かないため、スギ花粉の休眠の覚醒が遅れるかもしれません。

ただ、覚醒後は暖冬により暖かい日が続くことから、休眠から目覚めた後は雄花の成長が急速に進む可能性が高いです。

そのため、2024年の花粉飛散開始時期は、おおむね例年通りになると予報されています。

なお、飛散開始日は1平方㎝あたりの花粉数が2日間連続して1個以上になった日が初日となります (週末や休日等で連続捕集した場合は複数日の平均値)

しかしながら、花粉飛散開始時期が例年通りだからといって安心してはいけません。

なぜなら花粉は飛散開始日以前から飛散しているからです。当院では、昨年12月から花粉症の症状を訴えて受診される方もおられます。

つまり、花粉症の症状を抑えるという意味ではかなり早くから内服等の治療を開始することが望ましいと考えます。

2024年 春の花粉(スギ花粉)の飛散量はどうなる?

2023年 春の花粉飛散予測(第3報)

出典:日本気象協会 2024年 春の花粉飛散予測(第3報)

  • 北海道(シラカバ花粉))…例年より非常に多い
  • 東北…例年よりやや多い
  • 関東・甲信・北陸…例年並みかやや多い
  • 東海・近畿…例年よりやや多い
  • 中国…例年並み
  • 四国・九州…例年並みかやや多い

2024年春の花粉飛散量は例年に比べて全国的に並みかやや多くなることが予想されます。

2024年春の花粉飛散量は、2023年6月~7月の気象から予想できます。

花粉の代表格であるスギ花粉の花粉形成が6月~7月になるからです。

6月~7月の気温が高く、日照時間が長いと花粉形成が促進され、翌年春の飛散量が多くなります。

逆に気温が低く多雨だと花粉形成が抑えられ、飛散量が少なくなるのです。

2023年の6月~7月の気象はというと、全国的に気温が高く、日照時間が例年より長くなりました。

さらに北陸から北海道を中心に降水量も例年よりも少なくなっています。

2023年の夏は、全国的にスギ花粉の形成に好条件な「高温・多照・小雨」の条件がすべて揃っているのです。

2024年春の花粉飛散量は例年よりも多くなる予報ですが、花粉飛散量が非常に多かった前シーズン(2023年春)と比べると、今シーズンの花粉飛散量は減少傾向または平均並みになる予想です。

東北北部から北海道にかけては、前シーズンよりも増加傾向になることが予想されるため、花粉症の方はご注意ください。

毎年花粉症の症状に悩まされている方は、症状が出る前に最寄りの耳鼻咽喉科へ受診し、薬を処方してもらうなどの対策をしておくことをおすすめします。

花粉症の時期はいつごろ?

ところで、花粉症といえばスギやヒノキがメジャーですが、じつは1年を通してさまざまな花粉が飛散しています。

とくに花粉症の症状に悩まされる人が多いのは春と秋です。

それぞれの季節に飛散する花粉の種類や具体的な時期についてみていきましょう。

春の花粉症:2~5月

春は一般的な花粉症の季節。2月~5月にかけて、スギやヒノキ、シラカンバ(おもに北海道や東北)など樹木の花粉が飛散します。

樹木の花粉の特徴として、風に乗って10数kmから、場合によっては数100kmほど飛散する場合もあるという点が挙げられます。

その結果、森林の少ない都市部でも花粉が舞うため、住んでいる地域を選ばず多くの人が症状に悩まされてしまいます。

また、春の花粉の飛散開始時期は1~2月の気温に左右されるのにも注意が必要です。気温が高いほど飛散開始時期は早くなり、低いと遅くなる傾向があります。

先ほど紹介した2024年の花粉飛散時期はあくまでも予報ですので、年明けは気温をチェックしておくとよいでしょう。

秋の花粉症:9~10月

「夏の終わりに鼻がムズムズする、くしゃみが止まらない」などと感じているなら、秋の花粉症を発症しているかもしれません。

秋の花粉症は暑さの落ち着いた9~10月ごろに発症しやすく、ブタクサやヨモギ、カナムグラといった草の花粉が飛散するのが特徴です。

じつはブタクサはスギ、ヒノキについで3番目に花粉症患者の多い植物です。地球温暖化の影響を受け、今後さらに患者数が増えるとも予測されています。

秋に多く飛ぶ花粉の飛散する範囲は、半径数メートルほどと春の花粉と比べてあまり広くはありません。

しかし河川敷や公園、道端など生活圏に近い場所に秋の花粉の原因となる植物が生育しているため、花粉の影響を受けやすく、注意が必要です。

また、わずかではありますが秋にもスギ花粉が舞うこともあります。これは秋から冬に花粉が作られる過程で花粉がこぼれてしまうためです。

春だけでなく、秋にも気を抜かずに花粉の飛散に気をつけましょう。

【地域別】花粉症がピークになる時期

春と秋の花粉症の時期について解説しましたが、日本は南北に細長いため地域によって花粉の飛散量がピークを迎える時期がそれぞれ異なります。

そこで各地域における花粉の飛散量がもっとも多くなる時期と、飛散の特徴について解説します。

なおここで示す花粉の地域時期はあくまでも目安です。花粉飛散開始時期は、前年夏の気象によって異なりますので、前後することを覚えておきましょう。

北海道

北海道で飛散する花粉は主にシラカンバやイネなどです。とくにシラカンバが数多く生育しており、花粉の飛散量は4月~5月がもっとも多くなります。

イネの花粉飛散量は6月ごろにピークを迎えます。ただし他の地域に比べて花粉が飛散する量は全体的に少なく、期間も短いのが特徴です。

スギ花粉も3月中旬~5月中旬くらいに飛散しますが、その量も他の地域に比べてあまり多くありません。

比較的花粉の影響を受けにくい地域ですが、油断せずに対策するようにしましょう。

東北

東北地方は長期間にわたり、さまざまな花粉が大量に飛散します。

スギ花粉は1月下旬~6月中旬まで飛び、とくに2月中旬~4月に飛散量のピークを迎えます。

その後ヒノキ花粉が飛び始め、4月には飛散の量がもっとも多くなります。

スギとヒノキ、両方にアレルギーを持つ方は冬の終わりからゴールデンウィークごろまで、長い間症状に悩まされる場合もあるため注意しなければなりません。

またイネは春頃から秋にかけて、ヨモギやブタクサは9月ごろに多く飛散するため、注意しましょう。

関東

関東地方は年間通して、数多くの花粉が多く飛散するのが特徴です。

スギ花粉は2月~4月ごろが飛散量のピーク。

大きな森や林の少ない東京の都市部でも、多摩地域からスギ花粉が大量にやってきます。

ヒノキ花粉は3月~5月中旬が多く、他の地域に比べて長い期間飛び続けます。

5月~6月中旬ごろにはイネ花粉の飛散量も増加するので注意が必要です。

さらにブタクサやヨモギ、カナムグラなど秋の花粉も多く飛ぶため、アレルギーのある方はしっかりと対策しておかなければなりません。

中部・東海

中部・東海地方は花粉の種類や量はあまり多くないものの、1年を通して飛散しているのが特徴です。

スギ花粉は2月中旬~3月中旬までが飛散量のピーク。

その後4月上旬ごろにヒノキ花粉が多く飛散します。

イネやブタクサ、ヨモギなども花粉は飛びますが、量はあまり多くありません。

しかし年間を通じてさまざまな花粉が飛散しているので、対策を怠らないようにしましょう。

関西・中国・四国

関西や中国、四国地方はとくに春先が花粉の飛散量が増え、症状がひどくなりやすい時期です。

3月~4月にスギ花粉飛散のピークを迎えて、3月下旬にはヒノキの花粉量も増加します。さらに3月ごろにはハンノキ属のオオバヤシャブシの花粉も増えるなど、春先はとくに注意しましょう。

9月ごろには量は少ないもののブタクサやヨモギ、カナムグラなどが飛散します。またイネ科の花粉も年間を通して飛んでいるので気をつける必要があります。

九州

九州地方は長く、だらだらと花粉の飛散が続くのが特徴です。

スギ花粉は2月中旬~3月ごろまで飛び、後を追うようにヒノキ花粉が4月中旬ごろまで飛散します。

秋の花粉の量はあまり多くありませんが、9月~10月ごろまで飛散するため注意が必要です。

花粉症はピークの前から対策を!

「花粉症の治療やケアは症状が現れてから行うもの」と思っている方は少なくないと思います。

しかしながら花粉の飛散量がピークを迎える前から、以下のような対策を講じることで、花粉症の症状緩和や場合によっては、根治につながることもあります。

症状が出る前から薬を服用する

基本的に病気は症状が出てから治療するものです。

しかし花粉症の場合、症状が出る前の治療(飛散前投与)が認められています。

その治療法の1つに早めに抗ヒスタミン薬などの薬を服用する初期療法があります。

必ずしも花粉症にならないわけではありませんが、症状を抑えられたり、症状が出るのを遅らせたりする効果が期待できます。

初期療法では症状に応じて次のような薬が使われるのが一般的です。

  • 第2世代抗ヒスタミン薬
  • ケミカルメディエーター遊離抑制薬
  • ステロイド点鼻薬
  • ロイコトリエン受容体拮抗薬

初期療法を行う場合にはきちんと医療機関を受診し、処方された薬を服用して継続して治療を受ける必要があります。

また自己判断で市販薬と併用するのは危険だったり、効果がまったく出なかったりする場合もあるため控えるようにしましょう。

花粉症の薬については、以下の記事に詳しく書かれていますので合わせてご覧ください。

花粉症の薬は病院の処方がおすすめ!服用のポイントと注意点花粉症の薬は、病院での処方薬・市販薬いずれもさまざまな種類があります。不快な症状を効果的に抑えるには、医師や薬剤師に相談し、自分に合った薬を服用することがもっとも重要です。...

舌下免疫療法

舌下免疫療法とは花粉が飛んでいる・飛んでいないにかかわらず、治療薬を舌の下に1日1回投与する方法です。

初めは少量の投与から開始し、3年以上は継続して治療することが望まれます。

根治まではいかなくとも、症状を和らげたり、処方される薬の量を減らしたりなどの効果が見込まれる治療法です。

現在の時点ではスギ花粉による花粉症とダニアレルギーにのみ舌下免疫療法が適用されています。

開始する場合は花粉の飛散時期は避ける必要があるので、舌下免疫療法をご希望の方はかかりつけの耳鼻咽喉科に相談されてください。

舌下免疫療法とは?期待できる効果や注意点をわかりやすく解説舌下免疫療法はスギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎に高い効果が期待できる治療法です。今回は、舌下免疫療法の詳細や注意点、治療を受ける上で心配な点などについても解説しています。...

抗IGE抗体療法(オマリズマブ)

スギ花粉の飛散時期に、採血検査にて適応がある患者さんで行える治療で、2~4週に1回注射を行う治療です。

かなり効果が高く、12歳以上で行うことができます。

教えて院長先生!よくある質問Q&A

花粉の飛散時期や量についてよくある質問を院長先生にお答えいただきます。

花粉症の初期療法の1つである薬の服用は、いつからおこなわれますか?

実際には症状が出てから内服される方がほとんどですが、1ヶ月くらい前から内服が望ましいと考えています。

飛散開始時よりかなり前から症状がでている方も少なくないからです。

花粉の飛散開始前から治療を開始することで、どのようなメリットがありますか?

基本的には症状の悪化が防げると考えて良いと思います。

あと、繰り返しになりますが、いわゆる花粉飛散開始日よりかなり前から花粉は飛散していますので、症状をなるべく出ないようにするという意味でもメリットはあるかと思います。

まとめ

春の花粉症の開始時期やピークは前年度の夏や初冬の気象によって毎年前後します。

花粉症の方は、最新の花粉飛散情報を確認し、備えて起きましょう。

またスギやヒノキなど春の花粉症だけでなく、秋にも多くの花粉が飛ぶので注意が必要です。

まとめ
  • 花粉の飛散開始時期と飛散量は前年度の気象により毎年変わる
  • 花粉は春だけでなく秋にも飛散する
  • 花粉の飛散開始時期やピークは地域によって異なる

なお花粉症の症状を和らげる治療法には、飛散が始まる前からできる初期療法や根治を目指せるアレルゲン免疫療法もあります。

症状がつらい方は最寄りの耳鼻咽喉科へ相談してみてはいかがでしょうか。

あだち耳鼻咽喉科では、花粉症の初期療法もおこなっています。

名島にお住まいで、毎年つらい花粉症ににお悩みの方は花粉飛散前にぜひあだち耳鼻咽喉科へご相談ください。

ABOUT ME
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
日本耳鼻咽喉科学会 / 専門医・指導医 身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器認定医 / 補聴器適合判定医 / 九州大学耳鼻咽喉科 特任助教
国際医療福祉大学非常勤講師