医療法人あだち耳鼻咽喉科

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大きないびきや日中の眠気は要注意!睡眠時無呼吸症候群の症状や治療法について

大きないびきや日中の眠気は要注意!睡眠時無呼吸症候群の症状や治療法について

近年、睡眠時無呼吸症候群を原因とする交通事故や労働災害のニュースをよく耳にしませんか。

睡眠中に呼吸が止まることで、大きな事故や人的災害につながるなんて、少し怖い話ですよね。

そんなニュースを聞くと隣で寝ているパートナーや自分自身のいびきが気になり、睡眠時無呼吸症候群を疑う人は少なくありません。

睡眠時無呼吸症候群かもと不安に思う前に、正しく知っておくことが大切です。

今回この記事では睡眠時無呼吸症候群をテーマに、症状や原因、治療法など詳しく解説しています。

家族や自分が睡眠時無呼吸症候群かも……と心配な方はまずこの記事を読み、症状が当てはまるか確認してみましょう。

この記事でわかること
  • 睡眠時無呼吸症候群でみられる症状
  • 睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因
  • 睡眠時無呼吸症候群になりやすい人の特徴
  • 睡眠時無呼吸症候群でおこなう検査
  • 睡眠時無呼吸症候群の治療法
  • 睡眠時無呼吸症候群のリスク

最後まで読んで睡眠時無呼吸症候群について正しく知って、不安があれば専門の医療機関を受診しましょう。

睡眠時無呼吸症候群とは?

「睡眠時無呼吸症候群」とはその名の通り、眠っている間に呼吸が止まる病気のこと。

「Sleep Apnea Syndrome」の頭文字をとり「SAS」とも呼ばれています。

無呼吸とは医学的には、息ができずに気道の空気の流れが10秒以上止まった状態。

その無呼吸状態が一晩に30回以上、または1時間あたり5回以上生じると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

睡眠時無呼吸症候群のおもな症状

睡眠時無呼吸症候群では寝ている間に呼吸が止まることだけでなく、ほかにもさまざまな症状がみられます。

症状が重くなると、日常生活や社会生活に影響を及ぼすこともあり、注意が必要です。

いびきをかく

いびきは睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状です。

疲れたときやアルコールを摂取したときにだけかくのは散発性いびき。

しかし、睡眠中にいつもかく習慣性のいびきの場合、睡眠時無呼吸症候群にともなういびきのおそれがあります。

隣で寝ている人を起こしてしまうような大いびきをかいていたかと思うと突然呼吸が止まり、しばらくしたのちに呼吸が再開。

これを睡眠中に何度も繰り返すのが特徴です。

夜中に何度も目が覚める

睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が止まり苦しくなって驚いたり、眠りが浅かったりするために夜中に何度も目が覚めます。

また、無呼吸と呼吸が再開するのとを繰り返すことで交感神経が優位に働き、尿意を刺激されることで繰り返し目が覚めてしまうケースも少なくないようです。

ぐっすり眠れた気がしない

睡眠中に無呼吸が繰り返されると眠りが浅く、起きたときに熟睡感があまりありません。

熟睡感がないのは何度も起こる無呼吸により体内の酸素が減り、心拍数が上がって脳や体に負担がかかるため。

そのため起きたときに頭痛がしたり、ひどい寝汗をかいていたりすることもよくあります。

日中強い眠気が襲ってくる

熟睡できず、脳も体も休まらないまま日中活動していると、強い眠気が襲ってくることがあります。

居眠り運転をしかけた、大事な会議中なのにうたた寝してしまったなどの経験がある方は要注意かもしれません。

だるさや倦怠感がある

日中、だるさや倦怠感、疲労感などを強く感じることもあります。

集中力も低下し、うつ病や自律神経失調症だと思っていたら、睡眠時無呼吸症候群だったというケースも。

また、疲れがとれずストレスもたまってしまうことから、気分が強く落ち込むなど実際に抗うつ症状を引き起こしてしまうこともあります。

睡眠時無呼吸症候群の原因

寝ている間に呼吸が止まるのは、鼻やのど(上気道)がなんらかの原因で狭くなり、塞がれてしまうから。

これを閉塞性睡眠時無呼吸タイプといい、睡眠時無呼吸症候群のほとんどはこのタイプです。

睡眠中はのどの周りの組織が重力によって落ち込んだり筋肉がゆるみやすかったりするため、どうしてものどは狭まりやすい傾向にあります。

さらに首が太くて短い・下あごが小さい・舌が大きいなどの骨格的特徴が加わると、より睡眠中にのどが狭くなりやすくなってしまうのです。

加えて肥満傾向がある・仰向けで寝る・口呼吸などの生活習慣も原因に挙げられます。

また、脳からの指令によって呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(中枢性睡眠時無呼吸タイプ)もあります。

中枢性睡眠時無呼吸タイプでは、のどが狭まることなく、呼吸だけが止まるという病気です。

睡眠時無呼吸症候群の数%がこのタイプに当たります。

睡眠時無呼吸症候群になりやすいタイプ

一般的に40〜50代の成人男性に多いです。

女性はホルモンの影響で、更年期を迎えるといびきをかきやすくなるため、閉経後に睡眠時無呼吸症候群になるケースが多くみられます。

また、肥満傾向にあると睡眠時無呼吸症候群になりやすいとされています。

しかし、日本人をはじめ東アジアの人々はもともとあごが小さい骨格的な特徴から、肥満でなくても睡眠時無呼吸症候群になるケースは少なくありません。

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら受診すべき専門科

自分や家族が睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら、睡眠外来や睡眠センターといった専門外来を受診するといいでしょう。

もしお住まいの近くに専門外来がないなら、内科や呼吸器科、循環器科、耳鼻咽喉科などに相談するのがおすすめです。

耳鼻咽喉科は、耳や鼻だけでなくのどを診る専門科でもあります。不安に思わず、気軽に相談してみてください。

睡眠時無呼吸症候群の検査

睡眠時無呼吸症候群かどうかを診断するには、まず問診で自覚症状や生活習慣などを伝え、その後検査をおこないます。

一般的に検査は二段階でおこなわれ、簡易検査で陽性が出た場合に精密検査へと進みます。

それぞれの検査について詳しくみていきましょう。

問診

昼間の眠気の評価としてEpworth sleepiness scale(ESS)があります。

これは以下のようなもので、24点満点で評価を行い、11点以上で眠気が強いと評価します。

ess質問票出典:日本呼吸器学会雑誌第44巻第11号

スクリーニング簡易検査

自宅で使える検査機器で睡眠中の呼吸についてチェックします。

呼吸をモニターするセンサーや指先に体内の酸素飽和度を測るセンサーをつけ、いつも通り寝るだけ。

入院の必要はありません。

精密検査(終夜睡眠プログラム)

簡易検査で陽性判定が出た場合、より詳しく検査をおこないます。1〜2泊ほど入院するのが一般的です。

心電図や脳波などをチェックするセンサーを装着し、呼吸だけでなく睡眠時の状態を細かに解析します。

重症度などもわかるため、確定診断のためには欠かせない検査です。

今年よりご自宅で検査可能な精密検査も認められておりますので、一度ご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群の治療法

睡眠時無呼吸症候群と診断されたら、まずは禁酒や横向きに寝る、減量するなどを指導します。

こういった生活習慣の改善で重症度が下がったり、軽症の方がほぼ正常になったりするケースは多いものです。

しかしそれでもよくならない場合、次のような治療がおこなわれます。

CPAP療法

CPAP療法は睡眠時無呼吸症候群でもっとも多くおこなわれる標準的治療です。日本や欧米でもっとも普及しています。

鼻にマスクを装着し、専用のCPAP装置からエアチューブから空気が送り込まれ、寝ている間のどがふさがらないようにします。

マウスピース

専用のマウスピースをはめたまま睡眠し、寝ている間にのどがふさがらないようにします。

軽度の患者さんの場合におこなわれ、CPAP療法に比べて手軽な治療ですが、重症度の高い患者さんにはあまり効果がないこともあります。

外科的手術

のどのどの部分が閉塞するかはっきりしている場合、手術をおこなうこともあります。

ただ、適応については、十分な検討が必要です。

また、特に小児において扁桃肥大やアデノイド肥大が原因でのどを塞いでいる場合はそれらを摘出することで症状の改善につながることも。

そのような場合はできるだけ早めに手術をおこなうことがあります。

適応がある場合、小児の場合は口蓋扁桃摘出、アデノイド切除、成人の場合は口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP手術)を行います。

睡眠時無呼吸症候群は高血圧や心不全のリスクが数倍に

睡眠時無呼吸症候群は、心臓や血管などほかの疾患の発症や悪化につながりやすいといわれています。

心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高いといわれ、とくに高血圧との関係性は強く指摘されています。

また、突然死を起こしやすくなるともいわれており、不安を感じたらできるだけ早めに医師へ相談するようにしましょう。

まとめ

近年よく耳にするようになった睡眠時無呼吸症候群。

少し前までは医学的にもあまり解明されていませんでしたが、今では命にかかわることもある重大な病気だと認識されるようになってきました。

まとめ
  • 寝ている間の大きないびきと呼吸停止は睡眠時無呼吸症候群のサイン
  • 眠気や疲労感、倦怠感などから日中の作業効率が大きく落ちることもある
  • 睡眠時無呼吸症候群は寝ている間にのどが塞がり呼吸が止まるのが原因
  • 肥満や口呼吸、仰向けで寝るといった生活習慣も原因となる
  • 重症度などに合わせて適切な治療法がある
  • 睡眠時無呼吸症候群は合併症を引き起こすリスクが高い

おもに睡眠中に症状があらわれるため、自分自身では気づきにくいこともあるため注意が必要です。

日中強い眠気に襲われたり、だるさや倦怠感があったり、心当たりがあるなら早めに医師に相談しましょう。

ABOUT ME
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
日本耳鼻咽喉科学会 / 専門医・指導医 身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器認定医 / 補聴器適合判定医 / 九州大学耳鼻咽喉科 特任助教
国際医療福祉大学非常勤講師