口の中が乾く、水をいくら飲んでも喉が渇くなどの症状が続くなら、口腔内乾燥症(ドライマウス)かもしれません。
今回は口腔内乾燥症の原因や症状、自分でできる対策などについて詳しく解説します。
「口が乾くくらい大したことはない」などとあなどっていると、日常生活に思わぬ障害をきたしてしまうことも。
最近口が乾くと感じている方は最後まで内容をチェックし、悪化する前に正しく対処しましょう!
目次
口腔内乾燥症(ドライマウス)とは?
口腔内乾燥症とはさまざまな原因によって唾液の分泌量が少なくなるなどして、口の中が乾燥してしまうことです。
ドライマウスという名称の方がなじみ深いかもしれませんね。
原因としてもっとも多くみられるのは薬の副作用です。
血圧降下薬など循環器用薬や精神科の薬、抗アレルギー薬や喘息など呼吸器の薬などの副作用として多くみられます。
花粉症の薬を服用後に口が乾くと感じたことがある方は多いのではないでしょうか?
他にもストレスや緊張、年齢による筋力低下、鼻炎や鼻づまりによる口呼吸などが原因となることもあります。
アルコールやタバコが原因となる場合も多いため、心当たりのある方は要注意です。
シェーグレン症候群と呼ばれる膠原病や糖尿病、腎疾患の症状として発症しているケースもあります。
とくに更年期を迎えた女性に、女性ホルモンの減少や加齢による筋力の衰えなどを原因として、多くみられる傾向があります。
注意したいのが、原因は複合的なケースも多いという点です。
いくつかの原因が重なり、口腔内乾燥症を発症している患者さんは少なくありません。
口腔内乾燥症(ドライマウス)の症状をチェック
つづいて、口腔内乾燥症の症状についてみていきましょう。
おもな症状は口が乾くことですが、それに付随してさまざまな症状があらわれやすいのが口腔内乾燥症の特徴です。
普段の生活を振り返り、当てはまる項目がないかチェックしてみてくださいね。
- 水をよく飲む
- 夜中にのどの渇きで目が覚める
- 乾いた食べ物が食べにくい、飲み込みにくい
- 口の中がネバネバする
- 入れ歯で歯茎が傷つく
- 口臭が気になる
- 舌が痛い
ときどき口が乾くなど、一時的な症状であれば多くの人が経験することで、問題はありません。
これらの症状が一時的ではなく、3ヵ月以上続くようであれば口腔内乾燥症として治療が必要となる場合があります。
口腔内乾燥症(ドライマウス)の治療
口の中の乾燥や不快感が続く場合には、歯科や口腔外科、耳鼻咽喉科の医師を受診しましょう。
問診や視診、触診、唾液量の検査などをおこない、原因を特定します。
口腔内乾燥症は他の疾患が関係している場合も少なくありません。
その場合には、それぞれの医科と連携して治療する必要があります。
たとえばシェーグレン症候群や糖尿病が疑われる場合には内科、鼻づまりや鼻炎は耳鼻科で、といった具合に原因となる疾患の治療と並行して、口腔内乾燥症の治療をおこないます。
自分でできる口腔内乾燥症(ドライマウス)の対策
口腔内乾燥症の原因はさまざまですが、病気が原因の場合、その病気を治療することがまず第一です。
薬の副作用が原因なら、薬の種類の変更や減量などを検討する必要があります。
しかし生活習慣や加齢が原因の場合、根本的に解決することは難しいため、セルフケアや対症療法による対策が大切です。
ここでは口腔内乾燥症を改善するために心がけたい対策をチェックしましょう。
唾液腺マッサージをする
口腔内乾燥症には唾液腺を刺激する「唾液腺マッサージ」が効果的です。
口の周りにある3つの唾液腺をマッサージして刺激し、唾液の分泌を促します。
いずれも強く押しすぎず、5~10回程度を目安に優しく刺激しましょう。
- 耳下腺(じかせん)
耳たぶの少し前方、上の奥歯のあたりを指全体で回すように優しくマッサージします。 - 顎下腺(がっかせん)
顎の骨の内側を耳の下から顎の先まで押すように優しくマッサージします。 - 舌下腺(ぜっかせん)
顎の先の内側、舌の付け根の真下部分を押し上げるように親指で押すようにマッサージします。
舌ストレッチをする
唾液腺マッサージに加え、以下のような舌のストレッチも唾液の分泌増加に効果的です。
- 舌を突き出したり引っ込めたりする
- 舌を前に出して、上下左右に動かす
- 舌で頬の内側を押して飴玉をつくる
歯磨きの前などやるタイミングを決めると、習慣となり、続けられますよ。
よく噛んで食べる
噛む回数が増えると唾液がしっかりと分泌されるようになるため、食事をよく噛んで食べることも大切です。
現代では固い食材よりもやわらかい食材が好まれやすく、噛む回数が減ったことが口腔内乾燥症が近年増加した一因ともいわれています。
普段から噛む回数を意識し、噛みごたえがある食事を意識するようにしましょう。
ガムを噛む
ガムを噛むことは、唾液の分泌増加につながります。
ただし、口腔内乾燥症の方は虫歯になりやすいため、できれば甘くないタイプがおすすめです。
レモンや梅など酸っぱい味のガムなら、より唾液分泌が促されます。
こまめに水分を補給する
水やお茶などでこまめに水分を補給し、口の中のうるおいを保つようにしましょう。
ペットボトルや水筒を携帯し、口の乾きを感じたらすぐに水分補給できるようにしておきたいですね。
また、口腔内の保湿を行うような専用の保湿スプレーやジェルを活用するのもおすすめです。
口腔ケア用品を見直す
歯磨き粉やマウスウォッシュには、口の乾燥を招きやすい成分(ラウリル硫酸ナトリウム)が入っている商品もあり、使用の際には注意が必要です。
購入する際には刺激が少ないタイプの商品を選ぶと、安心して使えます。
規則正しい生活を送る
唾液の分泌には、自律神経が大きく関わっています。
自律神経のバランスを保つためには、規則正しい生活が非常に大切です。
十分な睡眠や食事、適度な運動などを心がけたいですね。
また、飲酒や喫煙も自律神経に影響するため、できるだけ控えるようにしましょう。
鼻呼吸を心がける
口呼吸が癖になっている場合には、鼻呼吸を意識するようにしましょう。
口呼吸の多くが鼻づまりや鼻炎などの疾患が原因。早めに耳鼻咽喉科を受診して、治療することも大切です。
保湿ケアを行なう
なかなか改善がみられないなら、専用の保湿剤を使って保湿ケアを行ないましょう。
ペースト、ジェル、液状の3タイプの保湿剤が市販されており、症状や日々の状態に応じて使い分けるとより効果的です。
放っておくと危険なことも!口腔内乾燥症(ドライマウス)に潜むリスク
口の中が乾くくらい、別に大したことはないとお思いかもしれません。
しかし口腔内乾燥症は放っておくと、以下のようなさまざまなリスクが生じるおそれがあります。
口の乾きや不快感が続くようなら、できるだけ早めの受診をおすすめします。
虫歯や口内炎などのトラブルが増加する
唾液の分泌が減ると歯垢が歯に残りやすくなり、虫歯の原因となります。
また、唾液による殺菌作用が低下し、口内炎、歯周病などのトラブルを引き起こしやすくなるおそれも。
味覚異常や摂食障害(食事が食べられない)、嚥下障害(食事を飲み込めない)を引き起こすこともあります。
さらには舌がひび割れたり、うまくしゃべれなくなったりすることもあり、できるだけ早めに対処することが重要です。
誤嚥性肺炎のリスクが上がる
口腔内乾燥症を放置し、口の中のトラブルが多くなると、誤嚥性肺炎のリスクも高くなります。
口の中に細菌が残りやすくなり、これを誤嚥してしまうおそれが高まるためです。
誤嚥性肺炎は高齢者の死因として非常に大きな割合を占めるため、注意する必要があります。
まとめ
口の中が乾き、不快な症状が多く生じる口腔内乾燥症。
口臭が気になり会話が楽しめない、うまく食べたり飲み込んだりできず食事が億劫になるなど、普段の生活にも大きな影響を及ぼしてしまいます。
- 口腔内乾燥症は口の中が乾燥し、さまざまなトラブルを引き起こす
- 口腔内乾燥症は悪化すると危険な場合もある
- 口腔内乾燥症はセルフケアによる対症療法で症状が改善するケースも多い
さらには思わぬトラブルやリスクのおそれもあるため、気になる症状があればできるだけ早く病院へ相談しましょう。