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のど

頸部リンパ節が腫れる原因とは?疑われる病気を解説

首(頸部)のリンパ節が腫れたり痛かったりすると、何か大きな病気にかかっているのではないかと気になりますよね。

頸部リンパ節にあらわれるこのような症状は、医学的に「頸部リンパ節腫脹(しゅちょう)」と呼ばれ、さまざまな原因が考えられます。

頸部リンパ節の腫れや痛み、発熱があっても、様子をみてよいケースがほとんどですが、まれに重篤な疾患が見つかるケースもあるため、注意が必要です。

この記事では、頸部リンパ節の腫れや痛みの原因や考えられる病気を詳しく解説します。




頸部リンパ節が腫れるおもな原因は「リンパ節炎」

頸部(首)には左右合わせて全部で200個ほどのリンパ節があり、私たちの体を感染から守っています。

リンパ節は豆のような形をしており、通常のサイズは直径1cm以下ですが、ウイルスや細菌への感染が原因で炎症を引き起こし腫れることがあり、それらをまとめて「リンパ節炎」と呼んでいます。

風邪や扁桃炎などの症状が先行してみられ、しばらくしてから頸部リンパ節の腫れや痛みがあらわれる場合がほとんどです。

また、虫歯を原因として頸部リンパ節が腫れることもあります。

これらは「急性リンパ節炎」と呼ばれ、風邪や扁桃炎などもともとの症状が落ち着くことで、リンパ節の症状も治まる場合がほとんどです。

しかし、急性リンパ節炎がきちんと治らないまま長引き、「慢性リンパ節炎」となるケースもあります。

慢性リンパ節炎ではリンパ節が周辺組織と癒着したり、化膿したりする場合もよくあります。

頸部リンパ節で気を付けるべき症状

頸部リンパ節が腫れると、痛みやリンパ節のしこりを感じることがあります。

これらの症状はリンパ節炎の主な症状なので、過度な心配は不要です。

しかしながら、頸部リンパ節の腫れとともに以下の症状が見られる場合は注意が必要です。

注意したい症状
  • 腫れが2.5cm以上ある
  • 膿が出る
  • 硬い、しこりのようになっている
  • 激しく痛む
  • 痛みが2~3週間続いている
  • 徐々に腫れが大きくなっている
  • 触ってもまわりとくっついてあまり動かない
  • 表面の皮膚が赤くなっている

このような症状があらわれている場合、まれに重篤な病気のケースも考えられます。

頚部リンパ節が腫れる病気

頸部リンパ節が腫れる病気には、リンパ節炎だけでなく、他にもさまざまな病気が疑われます。

頸部リンパ節が腫れた時に疑われる病気
  • 反応性リンパ節腫脹
  • 溶血性連鎖球菌感染症
  • 伝染性単核球症
  • ネコひっかき病
  • 川崎病
  • 亜急性壊死性リンパ節炎
  • キャッスルマン病
  • サルコイドーシス
  • 結核性リンパ節炎
  • 悪性リンパ腫
  • がんのリンパ節転移

それぞれ詳しく見ていきましょう。

反応性リンパ節腫脹

細菌やウイルスなどなんらかの感染症に伴うものや、その他の全身性疾患に反応してリンパ節が腫れる病気です。

感染性のものとしては咽頭炎やむし歯などに伴って生じることが多いです。

炎症が強いと発熱や圧痛を伴います。細菌性感染による腫れには抗生物質、ウイルス性感染性による腫れには対処療法で経過観察します。

反応性リンパ節腫脹の多くは、病院受診や休養で改善しますが、持続する場合は他の症状を伴う場合は、他の病気の可能性もあるため、再度病院受診しましょう。

溶血性連鎖球菌感染症

「溶血性連鎖球菌」という細菌がのどに感染し、5~15歳の子どもに多くみられる病気です。次の症状がみられます。

溶血性連鎖球菌の症状
  • 発熱
  • のどの痛み
  • 赤い発疹
  • 苺状舌(舌が苺のようにブツブツになる)
  • 頭痛
  • 腹痛
  • リンパ節の腫れ

溶血性連鎖球菌感染症は、抗菌薬を服用すれば24時間で感染力がほぼなくなるため、周囲への感染の恐れもなくなります。

ただ合併症を引き起こしたり、再発したりすることもあるため、長期間抗生物質を内服しなければなりません。

また感染拡大する可能性があるため、熱がある間は自宅待機するなどの注意が必要です。

伝染性単核球症

ヘルペスウイルスの一種であるEBウイルスに初感染することが原因で発症する病気で、主な症状は次の通りです。

伝染性単核球症の症状
  • 発熱
  • 頸部リンパ節の腫れ
  • 扁桃炎
  • 倦怠感
  • 疲労感

ウイルスに対する薬がないため、治療は対症療法となり、症状は長期化する場合が多く、倦怠感や疲労感は数週間から数カ月続くこともあります。

乳幼児期の感染では症状が出ないことや軽い場合が多いのですが、学童期以降の初感染では症状が強くあらわれるため注意が必要です。

感染すると肝臓や脾臓が肥大化しやすくなり、場合によっては破裂する危険性もあります。

その他、重症化すると次のような合併症を引き起こす事があります。

  • 神経系の合併症(脳炎、髄膜炎など)
  • 血液学的合併症(貧血など)
  • 呼吸器系の合併症(上気道閉塞など)

そのため、注意深く見守る必要があります。

ネコひっかき病

猫ひっかき病とは「グラム陰性細菌」に感染したネコに引っかかれたり、噛み付かれたりすることで感染する病気です。

引っかかれ跡や噛みつき跡が赤く盛り上がってかさぶたとなり、発熱や頭痛などとともに頸部や脇の下など、付近のリンパ節が腫れることがあります。

また、腫れたリンパ節は痛みをともない、膿が出る場合もあります。

元からある傷をネコに舐められることでも感染する場合があるため、とくにペットとして飼っている方は注意しましょう。

予防策としては、猫との遊び方に注意し、ひっかきや噛み傷を避けること。

また傷口を舐めないようにしたり、遊んだ後に傷口の洗浄をしたりする衛生管理が重要です。

川崎病

川崎病とは5歳未満の子どもにみられ、全身の血管に炎症があらわれる病気です。

以下の症状がすべて当てはまると川崎病と診断されます。

川崎病の主な症状
  • 高熱や目の充血
  • 真っ赤な唇と苺状舌(舌が苺のようにブツブツになる)
  • 発赤疹
  • 手足の腫れ
  • 頸部リンパ節の腫れ

原因は不明ですが、川崎病の発症数は日本が最も多く、2021年の報告では5歳未満の子ども100,000人あたり269.3人です

川崎病では冠動脈にコブ(動脈瘤)ができる場合があり、将来的に血管がつまり、狭心症や心筋梗塞を引き起こすおそれが高くなります。

そのため、できるだけ早く熱を下げ、血管の炎症を抑える治療を施すことが重要です。

亜急性壊死性リンパ節炎

はじめは咳や鼻水、扁桃肥大、発熱など風邪のような症状があらわれ、前後するように頸部や脇の下のリンパ節の腫れがみられる病気です。

適切な治療を受けないと1ヵ月近く38度以上の熱が下がらない場合もあります。

頸部リンパ節が腫れることが圧倒的に多く、次いで脇のリンパ節が腫れることもあります。

男性よりも女性に多く、とくに10~30代に発病した患者さんが全体の過半数を占める病気です。

治療は主にステロイド剤を使った対処療法が行われ、1~3ヵ月ほどでだいたい治ります。ただ、まれに再発することもあります。

キャッスルマン病

キャッスルマン病とは、リンパ節やリンパ組織の異常な増殖が起こる病気です。

限局型と全身型があり、限局型は外科的切除にて予後良好ですが、全身型はステロイドなどの薬物治療を行います。

全身型は特発性多中心性キャッスルマン病として難病指定されています。

全身型も適切な治療をすれば症状が改善しますが、完治するのは難しく生涯にわたって継続的な治療が必要になることが多いです。

サルコイドーシス

サルコイドーシスとは原因不明の発熱を伴う、慢性肉芽種性病変です。

肺や眼、リンパ節、皮膚、心臓などさまざまな臓器に小さなしこり(肉芽腫)ができます。

全身の至るところにしこりができますが、頸部リンパ節に腫れやしこりが生じることもあるため、頸部リンパに腫れが見られたら早めに病院へいきましょう。

サルコイドーシスも指定難病の1つです。

予後は比較的良好ですが、多臓器に病変を認める場合にはステロイド等の治療を行うこともあります。

結核性リンパ節炎

結核菌に感染することで、頸部リンパ節に炎症があらわれる病気です。

古くは「るいれき」と呼ばれ、肺以外に結核菌が巣食う、いわゆる「肺外結核」のひとつになります

中でも結核性リンパ節炎はもっとも多くみられる肺外結核のひとつです。

リンパ節部分が2~3cmほどに腫れ、痛みもなくそのままにしておくと周囲の組織と癒着します。

さらに進行すると硬くなったり、膿瘍化(うみがたまる)したりすることもあります。

治療は肺結核と同じような方法となり、膿瘍化した場合には外科手術での対応が必要です。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫とは、白血球の一種であるリンパ球ががん化した病気です。

頸部だけでなく、脇の下や鼠径部といったリンパ節の多い場所にしこりがあらわれ、多くの場合痛みがでません。

そのため初期段階ではみつかりにくく、発見が遅れることがあります。

病状が進むと、数週間から数カ月かけてしこりや腫れが全身に広がります。

主な症状は次の通りです。

悪性リンパ腫の症状
  • 発熱
  • 体重減少
  • ひどい寝汗
  • かゆみ
  • 発疹
  • 気道閉塞
  • 血流障害

がんのリンパ節転移

がんが最初に発生した場所(原発巣)からリンパ管に入り込み、リンパ液の集まるリンパ節へ転移することがあります。

リンパ節は免疫機能をつかさどっているため、一部のがんは異物としてせき止められます。

しかしながら、がんがそのまま増殖し、さらにリンパ管を辿って別のリンパ節へと進行してしまうことも少なくありません。

頸部リンパ節が腫れる場合、口腔がんや咽頭がん、甲状腺がんなど、頭頸部(頭や首)のがんであるケースが非常に多くみられます

頸部リンパ節の腫れは耳鼻咽喉科の受診を

頸部リンパ節の腫れは、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

耳鼻咽喉科の医師は鼻炎や扁桃炎などの鼻や喉の病気もちろん、頸部にあるリンパ節の疾患も診る専門医だからです。

まれではあるものの、頸部リンパ節の腫れは重篤な疾患の症状のおそれもあります。

きちんと専門の医師に診てもらうことが早期回復への近道です。

教えて院長先生!よくある質問Q&A

頸部リンパ節の腫れについて、よくある質問を院長先生にお答えいただきます。

感染症や病気以外に頸部リンパ節が腫れることはありますか?

通常リンパ節は身体中に多数ある組織で、比較的浅い部分にある場合、リンパ節の存在に気づき易いため、正常なリンパ節を触ることで、異常ではないかと気にされる場合もあります。

あだち耳鼻咽喉科では、頸部リンパの腫れの原因をどのように診断しますか?

基本的には問診と触診および頚部エコーで診断します。

頚部エコーではリンパ節の形態、サイズ、血流などを観察できますので、より詳細に評価できます。

また、必要があれば他院で頚部CTを撮影していただくこともあります。また、採血を行う場合もあります。

まとめ

頸部などにあるリンパ節は私たちの体を感染から守り、免疫をつかさどる大切な器官です。

それゆえにリンパ節が腫れたり痛みがあったりすると不安になる人も少なくありません。

多くの場合、風邪などにともなった腫れや痛みで、適切に治療することで治ります。

ただし、まれに重篤な疾患が隠れているケースもあるので注意が必要です。

まとめ
  • 頸部などのリンパ節が腫れるのは炎症や腫瘍が原因
  • 多くの場合は細菌・ウイルス感染にともなった腫れ
  • 腫れがひどい・膿が出るなどの場合には早めに受診を
  • 頸部リンパ節の腫れは耳鼻咽喉科が専門領域

頸部リンパ節の腫れは、病気のサインであることもあります。

我慢できる痛みや腫れだから大丈夫と軽視せず、早めに耳鼻咽喉科へ受診しましょう。

福岡市東区名島にお住まいの方で、頸部リンパ節が腫れたり、気になる症状がみられたりしたら、あだち耳鼻咽喉科へご来院ください。

頸部リンパ節の腫れは、ときに重篤な病気の可能性もあるため「大した事ないけど…」と思わず、お気軽にご相談ください。

ABOUT ME
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
日本耳鼻咽喉科学会 / 専門医・指導医 身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器認定医 / 補聴器適合判定医 / 九州大学耳鼻咽喉科 特任助教
国際医療福祉大学非常勤講師