• 電話
  • 予約
  • メニュー
その他

空気の乾燥が起こす鼻・喉のトラブルとは?適切な乾燥対策を紹介

空気の乾燥は冬だけでなく、春先や秋が深まる時期なども注意が必要です。

また夏もエアコンによって室内が乾燥しやすく、じつは年間通して乾燥対策は必須!

乾燥はさまざまなトラブルやリスクを招き、感染症や体調不良の原因となることもあるため、加湿器などを使って室内を適切な湿度を保つことが重要です。

乾燥対策は加湿器だけでなく、身近なアイテムを使った手軽な方法も多くあります。

今回は、空気の乾燥が身体に与える影響と手軽にできる加湿対策についてご紹介します。

空気の乾燥が引き起こすトラブルやリスク

「空気が乾燥すると風邪やインフルエンザになりやすくなる」とよく耳にしますよね。

しかし、そもそも空気が乾燥するとなぜ健康面のトラブルやリスクの可能性が高くなるのでしょうか?

1.鼻や喉、気管の粘膜のはたらきを悪くするから

空気が乾燥すると鼻や喉、気管の粘膜や、粘膜に生えているせん毛も乾燥しやすくなってしまいます。

粘膜やせん毛は本来、外部から侵入してくるウイルスや細菌、ホコリなどの異物をキャッチすると体の外へ追い出そうとはたらきます。

しかし、粘膜やせん毛は乾燥するとはたらきが悪くなり、異物を外へ追い出すのが困難になってしまうのです。

その結果、鼻や喉、気管に炎症が引き起こされ、風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなってしまいます。

2.空気中にウイルスが拡散しやすくなるから

空気が乾燥するとウイルスの動きが活発になり、あちこちに拡散しやすくなってしまいます。

湿度が適度にある状態であれば、咳やくしゃみなどで飛んだウイルスを含む飛沫は空気中の水分とともにすぐに地面に落下します。

しかし湿度が40%以下になると地面へ落ちる速度は一気にゆるやかになり、空気中を長時間漂うことになってしまうのです。

また、空気が乾燥しているとウイルスも乾燥しやすくなり、ふわふわと空気中を浮遊し、あちこちへと拡散しやすくなってしまいます。

3.脱水症状を引き起こすこともある

空気の乾燥がもたらすのは風邪やインフルエンザなど感染症のリスクだけでなく、脱水症状を引き起こすこともあります。

とくに暖房器具を使うことで室内の乾燥がより加速する冬に起こりやすく、皮膚や粘膜、さらに呼吸によって水分が奪われていくことで脱水症状(不感蒸泄)が引き起こされます。

汗をかきにくい冬は無自覚のまま体内から水分が減っていき、さらに夏のように積極的に水分を摂取しようという意識が薄いのも原因です。

睡眠中に脱水症状となる場合も多く、適度な湿度を保つことや意識的に水分摂取を心がけることが大切です。

部屋の湿度は40~60%をキープ

部屋の湿度は40%を下回ると粘膜も乾燥しやすくなり、ウイルスの活動も活発になります。そして60%を超えると結露やカビ、ダニなどが発生しやすくなるので注意が必要です。

また、インフルエンザウイルスは湿度が50%を超えると生存率がグッと下がるため、流行期には50~60%くらいの湿度を保つようにしましょう。

乾燥対策に効果的な加湿器の使い方と注意点

乾燥対策として優秀な加湿器ですが、使い方によっては必要以上に湿度が上がってしまうなど、十分な効果が得られないばかりか、体調不良の原因となることもあります。

次のような点に注意し、加湿器を効果的に使いましょう。

部屋の真ん中に置く

室内全体を加湿する場合は、部屋の真ん中に加湿器を置くと効率的よく水蒸気を拡散できます。

NGなのが家具や窓の近くに加湿器を置くこと。

家具が傷んだり、窓に結露を引き起こしたりする原因となります。

また、エアコンを稼働させているときは、エアコンの真下に置くと水蒸気が温風に乗って室内に広がります。

加湿器は適切な場所に置くことでより効果的に室内を加湿できます。

就寝時につけっぱなしにしない

乾燥しやすい就寝中ですが、加湿器をつけっぱなしにしたまま寝るのはおすすめできません。

夜は温度が下がっていくにつれ、部屋の空気の飽和水蒸気量も下がっていくため、加湿器をつけたままにしておくと必要以上に湿度が高くなってしまうことがあります。

結露やカビの原因になるほか、寝苦しさを感じることもあるでしょう。

寝る前に加湿器の運転は止めるか、もしくはタイマーを設定し、数時間後に運転停止するようにしておくと安心です。

タンクの水は毎日換える

加湿器のタンクの水は毎日入れ替えましょう。

タンクに水を入れっぱなしにしておくと、カビや細菌の温床となってしまい、それらを室内に拡散してしまいます。

フィルターなどのお手入れにも気を配り、清潔に使用することが重要です。

まだある!家庭ですぐできる乾燥対策

室内の湿度を上げる方法は加湿器だけではありません。

身近な物を使って手軽にできる方法をご紹介しましょう。

マスクをつける

マスクの着用は鼻や喉、気管の粘膜の乾燥を防ぐのに効果的です。

マスクをつけることでマスク内の湿度が上がり、その息を吸い込むことで粘膜の乾燥が解消されやすくなります。

鼻や喉の乾燥を感じたら、わざわざ加湿器を使って部屋全体の湿度を上げるより、マスクを着用する方が効率的です。

また、睡眠中は鼻や喉、気管の粘膜が乾燥しやすいため、マスクをつけて寝るのもOK。

普通のマスクでもかまいませんが、「濡れマスク」を着用するとより高い効果が感じられます。

濡れマスクは市販もされていますが、手作りするのも簡単で、コスパもよくおすすめです。

粘膜の乾燥を防ぐ手作りマスクの作り方
  1. 不織布のマスクを2枚重ねにする
  2. 真ん中に濡らして軽く絞ったコットンやガーゼを挟む

寝るときに濡れマスクを着用する際は口だけを覆い、鼻は出しておくと寝苦しくありません。

ユーカリなどのエッセンシャルオイルを少し垂らすと呼吸がしやすくなるので、鼻づまりが気になる際などに試してみるとよいでしょう。

濡れたタオルや洗濯物を室内に干す

室内に濡れたタオルや洗濯物を干すと、水分が蒸発することによって湿度を上げることができます。

ただし、カーテンレールに下げて干すのはNG。

窓の結露やカーテンにカビが生える原因となってしまいます。

部屋の中心にある鴨居に下げる、室内用の洗濯物干しアイテムを使うなどといった方法で干すのが適切です。

コップに水を入れておく

デスクワークの方におすすめなのが机の上に水を入れたコップを置いておく方法です。

加湿器のように室内全体の湿度を上げることはできませんが、デスクまわりだけならコップの水でもうるおいがアップします。

また、水ではなくお湯を入れておくと水蒸気の力でより加湿効果も高くなりますよ。

霧吹きで空間にスプレーする

水を入れた霧吹きで室内にスプレーするのも効果的です。

市販のルームスプレーを使うと香りもよく、リフレッシュ効果も得られそうですね。

カーペットやカーテンに軽くスプレーするのもOK。

ただし、スプレーしすぎるとカビの原因となったり、床が濡れてしまったりするため注意しましょう。

入浴後に浴室のドアを開けておく

入浴後の浴室のドアを開けておくと、こもっていた湯気が室内に流れて加湿することができます。

暖かい空気も流れてくるため、寒い冬にはもってこいの方法ですね。

しかし、長い時間そのままにしておくと浴室や洗面所の湿度が必要以上に高くなり、カビや結露の原因になってしまうこともあります。

ある程度加湿できたら換気扇をかけたり、窓を開けたりして浴室と洗面所の湿度を下げておくようにしましょう。

まとめ

乾燥対策は冬だけでなく、春や秋、エアコンをつけている夏の室内などでも必要です。

加湿器をはもちろん、暮らしの中で手軽にできる方法もあわせて活用し、上手に湿度を上げたいですね。

まとめ
  • 空気の乾燥は感染症のリスクを増大させるおそれがある
  • 加湿器は正しく使って効果を発揮させる
  • マスクの着用や洗濯物の室内干しなども加湿に効果的

とくに冬の乾燥は風邪やインフルエンザなどの感染症を拡散させる大きな原因です。

喉が痛い、鼻水が止まらないといった症状があらわれる場合には早めに耳鼻咽喉科へ相談に行くのがおすすめです。

加湿器をはじめとする乾燥対策を上手に取り入れ、健康的で快適な室内環境を保ちたいですね。

ABOUT ME
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
日本耳鼻咽喉科学会 / 専門医・指導医 身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器認定医 / 補聴器適合判定医 / 九州大学耳鼻咽喉科 特任助教
国際医療福祉大学非常勤講師