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みみ

耳の中にカビが生える外耳道真菌症とは?耳かきの方法や頻度を確認

本来は耳の中を清潔に保つための耳かきですが、やり方を次第では汚れを取り除くどころか、カビが生えてしまうおそれがあります。

毎日耳かきしないと気がすまない、お風呂上がりには必ず綿棒で耳を掃除する、といった方は要注意>。

耳がむずむずかゆいのは耳垢ではなく、耳の中に生えたカビが原因かもしれません。

今回は耳の中にカビが生える「外耳道真菌症」について原因や治療法に加え、正しい耳かきの仕方について詳しく解説しましょう。

耳の中にカビが生える「外耳道真菌症」

「外耳道真菌症」とは、耳の入り口から鼓膜までの3cmほどの部分(=外耳)に真菌(カビ)が生える病気です。

 

外耳道真菌症に感染すると」強いかゆみや耳だれ、耳のつまり感などの症状が表れます。

耳の中を綿棒でぬぐったときに黒い耳垢のようなものが付着していたり、においのある耳だれが出てきたりしたら注意が必要です。

外耳道に炎症を引き起こす「外耳道炎」の約10%ほどが外耳道真菌症だといわれています。

通常の外耳道炎では多くがブドウ球菌による細菌感染であるのに対し、外耳道真菌症の原因となるのは「アスペルギルス」や「カンジダ」などのカビ。

これらのカビは特別な種類ではなく、普段から空気中や、外耳をはじめとする私たちのからだに常在菌として存在しています。

外耳道真菌症の原因

普通の状態では真菌が皮膚に付着しても繁殖することはありません。

それは、私たちの皮膚には環境を保つ自浄作用や、異物の侵入を予防するバリア機能が備わっているため。

しかし何らかのきっかけで外耳の皮膚に傷ができたり、炎症が引き起こされるたりすると、自浄作用やバリア機能は低下。

そのすきを狙って外耳に真菌が繁殖し、感染してしまいます。

また、住まいの水回りに生えるカビと同じように、高温多湿な環境によって引き起こされることも。

実際に乾燥した冬よりも、湿気が多く気温の高い梅雨や夏の方が、外耳道真菌症の患者さんは増える傾向にあります。

外耳道真菌症になりやすい2つの習慣

外耳の傷や炎症を引き起こすのは、次のようなよくある習慣が原因となるケースは少なくありません。普段の生活を振り返ってみましょう。

1.耳かきのしすぎによる外耳の環境悪化

外耳道真菌症を引き起こす原因としてもっとも多くみられるのが、耳かきのしすぎです。

必要以上に耳を触ることでで表皮に傷や炎症ができ、そこから真菌に感染してしまいます。

外耳の皮膚は薄く、非常にデリケート。

頻繁に耳かきをしたり、耳の奥までぐりぐりと綿棒で掃除したりしていると、簡単に皮膚環境は悪化し、カビが生えやすくなってしまうのです。

2.長時間のイヤホン装着による蒸れ

近年多くみられるのが、長時間のイヤホン装着により、耳の中が蒸れてしまって真菌に感染してしまうケースです。

外耳は鼓膜が行き止まりの洞窟のような構造をしているため、入り口をイヤホンで塞いでいると、気づかないうちに耳の中が高温多湿な状態になり、カビが生えやすくなってしまいます。

スマホの普及や、耳によくフィットする高性能なイヤホンがより機密性を高めてしまうことも理由として挙げられますね。

耳の中のカビが悪化すると強い痛みや聴力低下のおそれも

外耳道真菌症は、悪化するとより皮膚の深い部分までカビが浸潤している「深在性」となり、強い痛みを引き起こすことがあります。

さらに、真菌の感染が広がることで鼓膜に穴が空き、聴力が低下するおそれもあるため、注意が必要です。

外耳道真菌症かもと思ったら、まず耳鼻科で検査

外耳道真菌症は自然治癒することはほとんどないため、変だなと思ったら耳鼻科を受診しましょう。

治療の前に、外耳道内の付着物を採取し、どの種類の真菌に感染しているか検査をおこないます。これは、真菌の種類によって使用する薬が異なるためです。

外耳道真菌症は根気強い治療がポイント

外耳道真菌症は再発しやすいため、2週間~2ヶ月ほどかけて根気強く治療することがポイントです。

症状がおさまったかな、というタイミングで治療をやめてしまうと、簡単に感染を繰り返すため、医師から「もう大丈夫」と言われるまでは、きちんと通院しましょう。

治療方法としては、まず耳の中の環境を改善することが優先です。繁殖しているカビをきれいに取り除いて消毒してから、抗真菌薬のクリームを塗るなどの治療をおこないます。

皮下組織まで感染が進んでいる場合には、クリームや点耳薬などの局所治療に加え、抗アレルギー薬や抗真菌薬を内服して治療することもあります。

ただし、抗真菌薬は飲み合わせが禁じられているものも多いため、他に服用している薬があれば、必ず医師に伝えるようにしましょう。

耳の中を傷つけない、正しい耳かきの方法

外耳道真菌症の予防や治療には、セルフケアも大事。

耳の中を傷つけない、正しい耳かきの方法を知っておきましょう。

そもそも耳垢は異物の侵入を防いだり、皮膚の保護や潤滑作用といった役割を持つため、無理に除去する必要はありません。

また耳には自浄作用もあるため、たまった耳垢の多くは勝手に外へ出ていきます。

とはいえ、まったく耳掃除をしない場合も、耳垢がたまりすぎてしまい、外耳の皮膚環境の悪化につながります。

次に紹介する3つのポイントを押さえて、上手に耳かきしましょう。

1.月に1~2回ほどでOK

耳かきの頻度は月に1~2回ほど、所要時間は2~3分ほどで十分です。

入浴後、耳に溜まったお湯が気になる場合には綿棒は使わずに、タオルで拭くか、ドライヤーを当てて乾かすとよいでしょう。

かゆい場合は気をそらすなど、できるだけ我慢を。

それでもかゆみが我慢できない場合には、炎症を起こしていたり、カビが生えていたりする可能性があるため、耳鼻科の受診をおすすめします。

2.耳の入り口から1cmほどを綿棒で軽くぬぐう

耳の入り口から1cmほどの箇所には、耳垢の元となる物質を分泌する「耳垢腺」があり、普段の耳掃除では、その辺りまで十分です。

綿棒の膨らんでいる部分までがだいたい1cmの目安と考えるとよいでしょう。

それ以上奥の部分は、皮膚が薄くデリケートで傷つきやすいため、安易に触るのはNGです。

3.耳かき棒は使わない

竹やプラスチックなどでできた耳かき棒で掃除すると力が入ってしまい、外耳をガリガリと傷つけやすいため、できるだけ使わないようにしましょう。

また子どもの耳掃除をする場合は、以下の記事が参考になりますのでご覧ください。

子どもの耳垢が気になったら耳鼻科へ!自宅での適切な耳掃除を紹介子どもの外耳道は狭いため、耳掃除をするのは大変です。またきょうだいがいると、耳掃除中にちょっかいを出してくることもあるため、周囲の安全確保も難しくなります。耳掃除に自信がないのであれば耳鼻科で対応してもらうのも1つの方法です。

奥に入り込んだ耳垢は耳鼻科で取ってもらうのがベスト

人によっては外耳道が狭かったり曲がっていたりして、自分で耳かきしにくいこともあります。また、ベタベタした耳垢の場合、自分で取るのは難しいことも。

そのような場合は耳鼻科を受診し、耳垢を取ってもらうのがおすすめです。

「耳垢くらいで」などと思う必要はありません。定期的に受診し、異常がないかチェックするついでに耳垢をとってもらうのもよいでしょう。

まとめ

過度な耳かきや、長時間のイヤホン使用は、耳の中の環境を悪化させ、真菌感染を引き起こしてしまうことがあります。

かゆみや耳だれの他にも、強い痛みや聴力低下を招くおそれもあるため、気になる場合には放っておかないようにしましょう。

また、耳はあまり触らないようにし、耳垢が気になるようであれば、耳鼻科で取るのもひとつの手段です。

まとめ
  • 外耳道真菌症とは外耳の真菌感染による病気
  • 外耳道真菌症の主な原因は耳かきのしすぎとイヤフォンの長時間使用
  • 外耳道真菌症は再発しやすいので根気強い治療が必要

耳の中を傷つけず、安心してきれいにできます。イヤホンを使う際も、1時間に一回ほどは外し、耳の中の換気をおこないましょう。

必要以上の耳かきを習慣にせず、かゆみや痛みなど気になる場合には、できるだけ早く耳鼻科を受診するようにしてくださいね。

ABOUT ME
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
日本耳鼻咽喉科学会 / 専門医・指導医 身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器認定医 / 補聴器適合判定医 / 九州大学耳鼻咽喉科 特任助教
国際医療福祉大学非常勤講師