いつの間にか口の中にできる痛い口内炎。
痛みから食事も思うように摂れないこともあり、本当につらいものですよ。
「疲れが原因かな?」と思う方もいらっしゃいますが、実は口内炎の種類はさまざまなので、原因もそれぞれ異なります。
また場合によっては、ただの口内炎ではなく、重大な疾患の症状として口内炎ができることもあるため注意が必要です。
今回は、口内炎の種類や症状、予防のためのケアなどについて解説します。
目次
口内炎とは?
口内炎とは、口の粘膜やその周辺に引き起こされる炎症の総称です。
歯茎の歯肉炎、舌の舌炎、唇の口唇炎、口角の口角炎などをまとめて口内炎と呼んでいます。
口は食事や呼吸をしたり話したりと、常に外部と接しています。
そのため細菌やウイルスなどが侵入しやすく、さまざまな種類の口内炎を引き起こします。
口内炎は痛みなどを感じて食事がしにくいだけでなく、イライラや集中できない、不眠など精神的に苦痛を感じることも少なくありません。
口内炎の種類と症状
口内炎にはおもにどのような種類のものがあるのでしょうか?
それぞれの症状や原因を解説します。
- アフタ性口内炎
- カタル性口内炎
- ヘルペス性口内炎
- カンジダ性口内炎
- ニコチン性口内炎
アフタ性口内炎
一般的に多く見られる口内炎で、疲労やストレス免疫力の低下、睡眠不足、栄養不足などが原因と言われています。
女性の場合は、生理前や妊娠中などホルモンバランスが乱れるときにできやすいようです。
しかし実際には、はっきりとした原因はわかっていません。
症状
赤く縁取られた米粒ほどの円形やだ円形の白い潰瘍(アフタ)が、頬の裏や唇の内側、舌や歯茎、口の底部分、喉などに2~3個群がって発生します。
痛みがあり食べ物がしみることもありますが、10日~2週間ほどで自然になくなり、跡にも残りません。
繰り返しできる場合もあり、その場合は「再発性アフタ性口内炎」と呼ばれます。
しかし、なかなか治らなかったり症状の範囲が広かったりする場合には、ベーチェット病と呼ばれる難病や潰瘍性大腸炎など、他の重大な全身疾患が隠れていることも考えられるため注意が必要です。
カタル性口内炎
入れ歯や矯正器具が触れたり、食事中に誤って頬の内側を噛んでしまったり、熱いお茶を飲んだりと物理的な刺激によって引き起こされる口内炎です。
疲れや免疫力の低下、虫歯や歯周病、ビタミン欠乏や過度の喫煙などが引き金となることもあります。
症状
粘膜が赤く腫れたり水疱ができたりしますが、アフタ性口内炎と違い、炎症の境目が分かりにくいことが特徴です。
また唾液の量が増えて口臭が発生したり、口の中が熱を持ったり、味覚が鈍感になったりすることもあります。
ヘルペス性口内炎
乳幼児に多く見られる口内炎で、「単純ヘルペスウイルス」というウイルスに感染することで発症します。
しかし感染したからといって、必ず口内炎を発症するとは限りません。
一般的にはほとんどが初感染後無症状ですが、数%がヘルペス性口内炎を発症します。
一度かかるとその後もウイルスが神経節の中に潜伏して残り、大きくなってからも体調を崩したときに口内炎の症状があらわれることがありますが、症状は乳幼児より軽症です。
症状
いくつもの水疱が口の中にでき、激しい痛みと発熱を伴います。
痛みのために、食事や水分を十分に摂ることができず、脱水症状を引き起こすこともあるため注意が必要です。
ウイルスは人から人へ感染するため、子どもにキスをするなど直接触れ合ったり、食器や箸、タオルなどを併用したりすることはできるだけ避けます。
また不用な外出も避け、完治するまでは幼稚園や保育園、小学校なども休んだ方がよいでしょう。
カンジダ性口内炎
カビ(真菌)の一種である「カンジダ菌」が増えることが原因で発症します。
カンジダ菌は常在菌なので、もともと私たちの身体にいますが、通常は症状を引き起こすことはありません。
しかし免疫が下がったり、口の中が乾燥して口内環境が悪化したりすることをきっかけにカンジダ菌が増殖してしまうことがあります。
またステロイドや抗生物質、抗菌薬といった薬物を長い間服用することで、常在菌のバランスが崩れてしまい、カンジダ性口内炎を引き起こすこともあります。
健康な人が発症することは少なく、乳幼児や妊娠中の女性、高齢者など抵抗力が弱まっているときや、他に何らかの疾患を抱えているときの発症が多いことも特徴です。
症状
多くの場合、口の中に白い苔のような斑点が付着し、痛みはあまりありません。
しかし症状が進むにつれ、赤く炎症を起こしたり痛みを伴ったりする場合もあります。
また舌に炎症が起き、灼熱感やヒリヒリ感のような痛みを伴うタイプもあり、粘膜の奥まで炎症が起こると治療後も痛みが残ってしまうことがあります。
ニコチン性口内炎
喫煙により発症する口内炎です。
しかし名前の通りタバコに含まれるニコチンだけが原因がどうかはまだ分かっていません。
喫煙により口の中が軽い火傷状態になることや、タバコの煙に含まれる化学物質を吸い込むことなども原因ではないかと考えられています。
また喫煙により口の中が乾燥しやすいことや、喫煙することでビタミンを消費してしまうことなど、タバコが口の中に及ぼす影響は決して少なくないようです。
症状
口の中の粘膜、とくに口蓋部分が異常に厚くなります。
自覚症状はあまりなく、ときに食べ物や飲み物がしみることがあります。
口内炎の予防とセルフケア
それでは口内炎にならないためには、どのような点に気をつければよいのでしょうか?
ここからは自宅でできるヘルスケアについてご紹介します。
- 口の中を清潔に保つ
- 口の中を乾燥させない
- 規則正しい生活
- 栄養バランスのとれた食事
口の中を清潔に保つ
口内炎は、口の中に細菌が増えることで発症します。
そのため、口の中を清潔に保っておくことは非常に重要です。
丁寧に歯磨きをすることはもちろん、歯間ブラシやマウスウォッシュを使うのもよいですね。
食後に歯磨きをする余裕がない場合も、せめてうがいはしておきましょう。
また入れ歯や矯正器具なども専用の洗浄剤を使い、清潔に保つことが大切です。
頻繁に口内炎ができるようなら、器具が合っていない可能性もあるので歯科医に相談してみましょう。
口の中を乾燥させない
唾液には口の中の細菌を洗い流す役目があります。
そのため口の中が乾燥してしまうと、細菌が増えやすい口内環境となり、口内炎にもなりやすくなってしまいます。
普段から口呼吸の習慣がある場合は、鼻炎や鼻づまりなどの疾患を抱えていることが多いので耳鼻科へ相談してみましょう。
規則正しい生活
不規則な生活は自律神経の乱れを招き、身体の持つ抵抗力を弱めてしまいます。
免疫機能は自律神経と深く関わっているため、正常に機能させるためには自律神経を整えることが欠かせません。
また唾液の分泌も自律神経でコントロールされているため、自律神経が乱れることで唾液の分泌が少なくなり、口の中が乾燥し細菌が増えやすくなってしまうことにもつながります。
栄養バランスのとれた食事
バランスの悪い食生活も口内炎を引き起こす大きな要因です。
ビタミンB類やビタミンAが口内炎を予防し、ビタミンCは免疫力を高める働きをしてくれます。
また砂糖は体内のミネラルやビタミンを大量に消費してしまうため、甘いお菓子や砂糖をたくさん使った料理はできるだけ避けましょう。
口内炎ができたときの対処法
注意していても口内炎ができてしまうこともありますよね。
それでは口内炎ができてしまったら、どのような点に気をつければよいのでしょうか?
身体を休める
口内炎が疲労やストレスのサイン、という方も多いのではないでしょうか。
実際に口内炎は肉体的だけでなく精神的な疲れが蓄積されると発症することが多いため、ゆっくりと身体を休めることが重要です。
睡眠や食事のバランスに気を配り、しっかりと休養しましょう。
歯磨き・うがいをしっかり
口内炎ができてしまった後も、悪化させたり長引かせたりしないため、歯磨きやうがいをきちんとおこない、口の中を清潔に保つことが大切です。
口の中の粘膜を傷つけないように柔らかめのブラシや、刺激の少ない歯磨き粉やマウスウォッシュを選びましょう。
うがい薬も効果的ですが、刺激が強いこともあるので、うがい薬でうがいをした後に水ですすぐこともポイントです。
身体をあたためすぎない
口内炎で炎症が起こっている場合、身体を温めすぎると血行がよくなり、炎症部分の痛みが増してしまうことがあります。
長時間の入浴や過度のアルコール摂取は避けるようにしましょう。
口内炎には別の病気が隠れている可能性もあり
ただの口内炎だからと自己判断した結果、じつは疾患が隠れていたというケースも珍しくありません。
口内炎ではなく手足口病や帯状疱疹、または白血病や舌ガンだったということもあるため注意が必要です。
一般的に病院では、貼付剤や軟膏、スプレー薬、消炎剤やトローチといった薬剤を患部の状態や症状に合わせて処方します。
また保険適用外にはなりますがレーザー治療をおこなっている病院も多く、痛みも少なく治りが早い、副作用がないことなどから、子どもから高齢者まで多くの人が治療を受けています。
原因が明らかなヘルペス性口内炎やカンジダ性口内炎は、抗真菌薬や抗ヘルペスウイルス薬などを使って治療します。
まとめ
口内炎は原因や症状がさまざまですが、疲れていたりストレスを抱えていたりすることが引き金になることも少なくありません。
その他にも、口内環境の悪化や不規則な生活、乱れた食習慣なども大きく影響します。
- 口内炎には種類があり原因が明らかなものと分からないものがある
- 口内炎には重大な病気が隠れている恐れがあるので耳鼻科受診がおすすめ
- 口内炎を防ぐには十分な休養と規則正しい生活が大切
重大な疾患が見つかることもあるため「どうせ口内炎だから」と甘く見ず、症状が長引いたり範囲が広かったりと気になる点があるなら、すみやかに医療機関へ相談しましょう。
またいつもの口内炎でも、市販薬などのセルフケアで治そうとするより、きちんと病院で治療を受ける方が治りも早いため、症状があらわれたら早めに受診することをおすすめします。