鼻水が続くと、「蓄膿症かも…」と不安になりますよね。
つらいからといって、点鼻薬を何日も使い続けたり、手元に残った抗生物質を自己判断で飲んだりすると、かえって炎症が長引き、慢性化してしまうこともあります。
この記事では、蓄膿症(副鼻腔炎)の基本をおさえたうえで、悪化につながりやすい“やってはいけないこと”をまとめました。
あわせて、受診の目安や自宅でできる正しい対処(鼻洗浄・加湿・水分補給など)も分かりやすく解説します。
今の症状が「様子見でいいのか」「受診すべきか」を判断する材料として、ぜひ参考にしてください。
目次
蓄膿症(副鼻腔炎)とは?
蓄膿症は、医学的には「慢性副鼻腔炎」と呼ばれる病気です。
鼻のまわりにある空洞状の「副鼻腔」で炎症が長く続き、膿がたまってしまう状態を指します。
副鼻腔は、額・ほほ・目の奥・鼻の奥に左右4対あります。
ふだんは空気で満たされていますが、風邪のウイルスや細菌に感染すると鼻の粘膜が腫れ、副鼻腔の出口がふさがれやすくなります。
その結果、膿がうまく外に出ず、炎症が長引いてしまうのです。
こうした状態が約3か月以上続くと、慢性副鼻腔炎と診断されます。
原因として多いのは感染症ですが、アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、鼻ポリープ、喫煙、歯の感染などが関係することもあります。
これらが重なり合って炎症を悪化させるケースも少なくありません。
急性の副鼻腔炎は自然に治ることもありますが、慢性の場合は専門的な治療が必要になります。
これって蓄膿症?症状と受診の目安
鼻水や鼻づまりが続くと、「これは風邪なのか、それとも蓄膿症なのか」と迷ってしまいますよね。
症状は似ていても、原因によって必要な対応は変わってきます。
まずはご自身でも確認しやすいポイントから、受診の目安を一緒に見ていきましょう。
鼻水の色を確認
鼻水の色が黄色の場合、急性副鼻腔炎の原因となるウイルスまたは細菌に感染している恐れがあります。
鼻水の色が黄色から緑色に近くなった場合も、鼻水にウイルスや細菌、白血球の死骸などが大量に含まれており、副鼻腔に膿が溜まっている恐れがあるので、早めの病院受診がおすすすめです。
しかし、鼻水の色はあくまでも参考程度に見たほうが良いでしょう。
重要なのは、鼻水の色よりも「続く期間」や「ほかの症状」です。
- 鼻水や鼻づまりが10日以上
- 顔や頭が重い・押されるように痛む
- 発熱が続く
- 良くなったと思ったらまた悪化する
こうした場合は副鼻腔炎(蓄膿症)が疑われるため、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
一方、透明な鼻水が数日で軽快し、日常生活に支障がない場合は、経過観察でもよいことがあります。症状が長引く場合や不安があるときは、早めに相談しましょう。
病院に行くべきタイミング
次のような症状があるときは、耳鼻咽喉科へ受診するタイミングです。
- 鼻水や鼻づまりが、風邪が治ったあとも10日以上続いている
- 黄色や緑色のドロっとした鼻水が出る
- 頭が痛い・顔が重い、押されるように痛む
このような症状がある場合は、市販薬だけで様子を見るのではなく、一度耳鼻咽喉科を受診してみてください。
「良くなったと思ったらまた悪くなる」をくり返す、においが分かりにくくなってきた、痰や咳がなかなか止まらないといった場合も、知らないうちに副鼻腔炎(蓄膿症)が長引いていることがあります。
早めに受診することで、慢性化したり、手術が必要になるのを防げることも少なくありません。
また、数日以上続く発熱、目のまわりの腫れや強い痛み、吐き気や嘔吐、手足のしびれ・動かしにくさなどが出てきた場合は、炎症が目や脳のほうに広がっている可能性もあります。
早急な対応が必要です。このような症状があれば、救急受診も含めてすぐに医療機関を受診しましょう。
蓄膿症でやってはいけない対処法
蓄膿症かな?と思ったとき、「とりあえず薬で様子を見よう」「自分で何とかしよう」と対応してしまう方は少なくありません。
しかし、対処のしかたによっては、かえって症状を長引かせたり、悪化させてしまうこともあります。
ここでは、蓄膿症の症状があるときに避けたい対応と、その理由について説明します。
自己判断の抗生物質・市販薬の使いすぎ
抗生物質や市販薬を、自己判断で長く使い続けてしまうと、かえって蓄膿症の治りが遅れたり、悪化してしまうことがあります。
抗生物質は、細菌が原因の副鼻腔炎には効果がありますが、原因がウイルスやアレルギーの場合には効果が得られない可能性が高いためです。
そのため、必要のない抗生物質を飲み続けると、下痢や肝臓への負担といった副作用が出たり、薬が効きにくい菌(耐性菌)が増えてしまうことがあります。
また以前に処方された抗生物質の飲み残しを、「また同じ症状だから」と自己判断で飲み始める方もいますが、量や期間が合っていないため、炎症がきちんと治りきらず、かえって慢性化の原因になることもあります。
風邪薬や鼻炎薬、点鼻薬などの市販薬は、鼻づまりや痛みを一時的に楽にすることはできますが、副鼻腔の中にたまった膿や粘膜の腫れそのものを治す薬ではありません。
とくに、血管を収縮させる成分が入った点鼻薬を長期間使い続けると、「薬剤性鼻炎」といって、薬が切れたときに鼻づまりがさらに強くなり、慢性的な鼻づまりや頭の重さが続いてしまうことがあります。
点鼻薬・鼻を強くかむなどのNG行動
市販の点鼻薬には、鼻の血管を収縮させる成分が入っているものが多く、使った直後は鼻づまりがスッと楽になります。
ただし、長いあいだ使い続けると、薬が切れたときに鼻の腫れが強く戻る「リバウンド現象」が起こり、かえって鼻づまりが慢性化してしまうことがあるため注意が必要です。
これを「薬剤性鼻炎」といい、蓄膿症の治りを妨げ、副鼻腔の中にたまった膿が外に出にくくなる原因にもなります。
点鼻薬は用法・用量を守り、短期間(数日程度)の使用にとどめましょう。
数日たっても症状がつらい場合や、点鼻薬が手放せなくなってきた場合は、自己判断で続けず耳鼻咽喉科に相談してください。
また、鼻を強くかむのも止めましょう。
強くかむと鼻の中の圧が一気に上がり、膿や細菌が耳につながる管(耳管)を通って中耳に流れ込み、中耳炎を起こすことがあるためです。
鼻を触ったり、鼻をすすったりすることも、鼻の入り口の皮ふを傷つけて細菌が入りやすくなり、鼻血や炎症を悪化させる原因になります。
鼻をかむときは、口を少し開けて、左右を一度にかまず、片側ずつやさしく短くかむようにしましょう。
蒸しタオルなどで鼻を温めて、鼻水をやわらかくしてからかむと、より安全に行えます。
自宅でできる正しい対処
蓄膿症の治療は、病院での治療だけでなく、日常生活での過ごし方やセルフケアが大切です。
ちょっとした生活習慣の見直しで、症状の改善を助けたり、再発を防いだりすることができます。
- 水分をこまめにとる
- 室内の湿度を50~60%に保つ
- 喫煙や飲酒を控える
- 鼻洗浄
それぞれ詳しく見ていきましょう。
水分をこまめにとる
蓄膿症の症状が出ているときは、まず水分をこまめにとりましょう。
水分をとることで鼻水や膿をサラサラの状態に保ち、外に出しやすくなります。
また粘膜の乾燥を防ぎ、炎症の回復も早まりやすくなります。
目安としては、のどが渇く前にこまめに水分をとり、鼻水や膿が乾いて固くならないようにしましょう。
※水分制限がある方は、主治医の指示を優先してください。
室内の湿度を50~60%に保つ
室内の湿度は50~60%くらいを目安に、加湿器などを使って乾燥を防ぎましょう。
特に冬は暖房で空気が乾きやすく、鼻の粘膜が刺激されて症状が悪化しやすくなります。
蒸しタオルで鼻のまわりを温めると血行がよくなり、膿の流れもスムーズになるでしょう。
喫煙や飲酒を控える
蓄膿症の症状が出ているときは、喫煙や飲酒はできるだけ控えてください。
タバコの煙は、鼻の粘膜にある異物を外に運ぶ働き(線毛の動き)を弱め、アルコールは血管を広げて腫れを強くしてしまうためです。
またストレスをためすぎないようにしっかり休息をとり、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
鼻洗浄
鼻洗浄は、蓄膿症のセルフケアとして有効です。
鼻洗浄をするときは、生理食塩水(目安は水900mlに食塩9g、約0.9%の濃さ)を使用しましょう。温度は人肌くらいの40℃前後にします。
鼻洗浄の手順は次の通りです。
- 人肌にあたためた生理食塩水を用意
- 前かがみの姿勢になる
- 「あー」と声を出汁ながら片方の鼻の穴からゆっくりと生理食塩水を流し入れる
- 反対側、または同じ側の鼻の穴から生理食塩水を出す
これを左右それぞれ行います。
回数の目安は、1日1~2回程度です。
朝や外出から帰ったあとなどに行うと、鼻の中にたまった膿やアレルゲンを洗い流すことができ、粘膜の炎症をやわらげて、鼻水や膿が外に出やすくなります。
洗浄後は強く鼻をかまず、軽くかむ程度にしましょう。しみる・痛む・耳がつまる感じが強い場合は中止し、医師に相談してください。
耳鼻咽喉科での治療の流れ
耳鼻咽喉科を受診すると、まず問診を行います。
鼻づまりや膿のような鼻水がどれくらい続いているか、頭痛があるか、においが分かりにくくなっていないかなどを医師が尋ねますので、応えていきましょう。
次にレントゲンを撮影し、実際どの副鼻腔にどの程度炎症が及んでいるかを確認します。
そして、鼻鏡という器具で鼻の入口を拡げながら、鼻の中を観察し、ポリープ(鼻茸)がないか、膿がどのくらいたまっているかなどを確認します。
場合により、細いカメラを使った鼻の内視鏡検査で、鼻の奥や副鼻腔の入り口を拡大して観察し、チェックします。
鼻の状態に応じてCT検査を行い、副鼻腔の中の炎症の広がりや膿の量をより詳しく調べることもあります。
また、必要に応じて鼻水の検査を行い、原因となっている細菌を調べることも。
急性の副鼻腔炎の場合は抗生物質を、慢性的な場合はマクロライド系という種類の薬やステロイドの点鼻薬などを使って治療します。
あわせて、鼻洗浄やネブライザー(吸入)治療で膿を外に出し、炎症をおさえます。
好酸球性副鼻腔炎という特殊な副鼻腔炎が疑われる場合や、ポリープが大きい場合には、内視鏡を使った手術を検討することもあります。
治療を始めたあとは、症状が落ち着くまで2~3か月ほど経過を見ながらフォローしていきます。
蓄膿症に関するよくある質問とその回答
蓄膿症に関するよくある質問とその回答を院長先生にお伺いしました。
蓄膿症は自然に治りますか?
自然と治ることもありますが、もともとアレルギー性鼻炎があるなどの基礎疾患を伴う場合や喫煙を習慣とする場合などに、治りにくくなります。
市販薬だけで治せますか?
治る場合はあるとは思います。ただ、治るまでに長い時間を要する可能性があります。
まとめ
蓄膿症(慢性副鼻腔炎)は、副鼻腔に炎症が長く続いて膿がたまる病気で、風邪や細菌感染、アレルギー、鼻の形の問題などが関係します。
黄色や緑色の鼻水、鼻づまり、顔や頭の重さが続く場合は早めに耳鼻咽喉科へ受診しましょう。
自己判断で抗生物質や点鼻薬を使い続けると悪化や慢性化の原因になります。
- 鼻水の色が黄色または緑色近いときは耳鼻咽喉科への受診推奨
- 点鼻薬などの市販薬を使いすぎるとかえって症状が重くなる
- 蓄膿症は正しいセルフケアによって症状が緩和される
蓄膿症かもと感じたらできるだけ早く耳鼻科を受診し、適切な治療を受けることをおすす日常では水分補給、加湿、禁煙、鼻洗浄などのセルフケアが役立ちます。
耳鼻咽喉科では内視鏡やCTで状態を確認し、薬物療法や鼻洗浄、必要に応じて手術を行い、数か月かけて経過をみていきます。
福岡市東区名島にお住まいで、蓄膿症の症状にお悩みの方はあだち耳鼻咽喉科へお越しください。
あだち耳鼻咽喉科では、蓄膿症の診断や治療にも対応しています。
蓄膿症の疑いで病院受診したら、別の病気が見つかることもあります。
「放っておいていいのか迷う」という段階でもお気軽にご相談ください。












