耳の痛みにはさまざまな原因があります。なかでも多いのが、唾を飲み込んだり食べ物を食べたりするときに耳が痛むという症状です。
この場合、耳そのものではなく喉の炎症が原因であるケースが多く見られます。
また、急性中耳炎や外耳炎など耳の病気が原因となる場合もあり、放置すると症状が悪化することもあるため、早めの対処が重要です。
この記事では、耳の痛みを引き起こす原因や病気の種類、痛みを感じたときの対処法について耳鼻咽喉科の医師が解説します。
耳の痛みの原因は?
耳が痛むのは、その多くが耳に生じる病気が原因です。
耳は「内耳」「中耳」「外耳」の3つで構成されており、痛みの原因となるのは中耳と外耳が関係する病気の場合がほとんどです。
また、耳の周辺の病気が原因で痛みが引き起こされるケースもよくあります。
なかでも多いのが、唾を飲み込んだり食べ物を食べたりするときに耳が痛む症状です。これは「放散痛」と呼ばれ、喉の炎症が耳に痛みとして伝わることで起こります。
いずれの場合も痛みの原因となる病気を明らかにし、適切な治療を受けることが治癒への近道です。
飲み込むと耳が痛い原因と対処法
唾を飲み込んだり食べ物を食べたりするときに耳が痛むという症状は、耳そのものではなく喉の病気が原因であるケースが多く見られます。 このセクションでは、飲み込むと耳が痛くなる原因と対処法について詳しく解説します。飲み込むと耳が痛くなるメカニズム
飲み込むときに耳が痛む原因の多くは「放散痛」と呼ばれる現象です。
放散痛とは、痛みの原因となっている場所とは別の場所に痛みが伝わる現象を指します。
具体的なメカニズムは以下の通りです。
- 喉と耳は同じ神経でつながっている
- 喉に炎症が起きると、痛みの信号が神経を通じて耳にまで伝わる
- 喉に異常があるにもかかわらず耳が痛いと感じる
このように、飲み込むときの耳の痛みは喉の炎症が原因で引き起こされることがよくあります。
飲み込むと耳が痛いときに疑われる病気
飲み込むと耳が痛いときに疑われる主な病気は以下の通りです。
- 急性扁桃炎
- 咽頭炎
- 扁桃周囲膿瘍
- 喉頭炎
- 咽頭異物
なかでも多いのが急性扁桃炎や咽頭炎です。扁桃腺や喉の粘膜が細菌やウイルスに感染して炎症を起こし、飲み込むときに耳まで痛みが響くことがあります。
また、まれに腫瘍性病変が原因となるケースもあるため、症状が長引く場合は早めに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。
飲み込むと耳が痛いときの対処法と受診目安
飲み込むと耳が痛い場合、まずは喉の安静を保つことが大切です。一般的な喉のケアとして、以下の点を心がけましょう。
- 水分をこまめに補給して喉の乾燥を防ぐ
- 刺激の強い食べ物や飲み物を避ける
- 市販の鎮痛剤で痛みを和らげる
ただし、以下のような症状がある場合はできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。
- 38度以上の発熱がある
- 数日経っても症状が改善しない
- 喉の腫れがひどく、食事や水分が取れない
飲み込むときの耳の痛みは、喉の炎症が原因であることが多く見られます。
市販薬で一時的に痛みが和らいでも、根本的な原因を治療しなければ症状が長引いたり悪化したりする可能性があります。
気になる症状が続く場合は、早めに耳鼻咽喉科へ相談しましょう。
耳の痛みを引き起こすその他の病気
耳の痛みが生じる頻度が高いのは放散痛ですが、耳そのものや耳の周辺の病気が原因で痛みが引き起こされるケースも少なくありません。
また、必ずしも耳に関する病気とは限らないこともあるため、他にみられる症状も合わせて確認することが大切です。以下に代表的な病気を紹介します。
ズキンとする激しい耳の痛み【急性中耳炎】
ズキズキとする激しい耳の痛みや耳だれ、発熱、耳がつまった感じがみられ、とくに乳幼児に多くみられます。
中耳(鼓膜の奥にある空洞)が細菌やウイルスに感染し、急性の炎症を引き起こし膿が溜まっている状態です。
小さい子どもはうまく症状を訴えられず、機嫌が悪かったり耳に手を当てる仕草をしたりすることも。
理由もなく子どもがぐずっているようにみえるときは、もしかすると耳が痛いのかもしれません。パパやママは注意深くみてあげてくださいね。
抗生物質や消炎剤を使って治療し、症状がひどい場合には鼓膜を切開して膿を出す処置をすることもあります。
かゆみをともなう強い耳の痛み【外耳炎】
強い耳の痛み、かゆみや赤み、腫れ、黄色や白の耳だれなどがみられ、おもに耳かきのしすぎによって大人によくみられます。
耳を引っ張ったり押したりすると痛みがあるのも特徴です。
プールで泳いだあとにも起こりやすいことから「スイマーズイヤー」と呼ばれることもあります。
外耳道(耳の入り口から鼓膜まで)が細菌(まれに真菌のことも)に感染し、炎症を引き起こすことが原因です。
まずは耳に溜まっている分泌物を除去、消毒し、点耳薬や軟膏を処方することで多くの場合は治ります。
炎症が広範囲に渡る場合などは抗菌薬や抗アレルギー薬などの内服が必要となることもあります。
突然起こる耳の激痛【外耳道異物】
昆虫などの異物が耳の中に入り込んで激痛を感じることが稀にみられます。
異物が耳の中で動くことで鼓膜を刺激し、激しい痛みや不快感を引き起こします。このような場合は無理に自分で取り出そうとせず、すぐに耳鼻咽喉科を受診して取り除いてもらいましょう。
熱をもった耳の痛みや耳たぶの腫れ【耳介軟骨膜炎】
耳介軟骨膜炎は耳たぶが赤く腫れ上がり、熱をもって激しく痛み、ひどくなると発熱をともなうことがある病気です。
虫さされや切り傷、打撲などの怪我や外耳炎が原因で、耳たぶの軟骨膜へ炎症が及びます。
放置しておくと徐々に軟骨が壊死し、耳たぶが変形してしまうこともあるため注意が必要です。
治療は抗生剤や消炎鎮痛剤を用いて早めに対応し、耳たぶの変形など症状が重くなるのを防ぎます。また、腫れを抑えるために冷やすことも有効です。
耳たぶの後ろが腫れて痛みをともなう【乳様突起炎】
耳たぶの後ろにある「乳様突起」と呼ばれる骨が腫れ、多量の耳だれや頭痛、発熱、耳の痛みをともなう病気です。
急性中耳炎が悪化し、中耳の感染が乳様突起に広がることで引き起こされます。
放っておくと乳様突起の骨の内側に膿が溜まることもあり、さらに難聴や敗血症、髄膜炎などが生じ、最悪の場合死に至ることもあるため注意が必要です。
治療では抗菌薬や抗生物質の服用をおこないます。悪化や慢性化している場合には手術によって膿を排出しなければならないケースもあります。
耳たぶ前方の小さな穴が腫れて痛みをともなう【耳ろう孔感染】
耳ろう孔とは、遺伝性の耳たぶの前にある小さな孔のこと。その下にある袋の中の分泌物が感染を起こすと孔のまわりに痛みを感じることがあります。
ときには周囲の皮下組織にまで炎症が広がり、赤みや腫れ、膿がたまり激しい痛み引き起こすことも。
耳ろう孔の下にある袋の中の分泌物は、普段は自然に排出されたり、周囲を押すことで出てきたりしますが、時折感染の原因となり、炎症を引き起こしてしまうケースがみられます。
感染が確認されたら、抗生剤や消炎鎮痛剤などを服用して、治療をおこないます。
症状がひどい場合には切開して膿を排出し、皮下にある袋ごと孔を摘出する手術をおこなう必要があります。
咀嚼に合わせて耳が痛む【顎関節症】
口を開けると顎関節が痛んだり、口が開きにくくなったりする顎関節症も、耳の痛みを感じることがあります。
咀嚼に合わせて耳が痛むことも多く、耳の病気になったと勘違いして耳鼻科に来られる方もめずらしくありませんが、顎関節症の可能性がある場合は歯科や口腔外科を受診しましょう。
あごの筋肉を使い過ぎたり、無理に口を開け過ぎたりする場合の他に、あごのまわりの組織が変形することも原因となります。
顎関節症は原因や症状から4つのタイプに分けられ、それぞれ適切な治療が施されます。
強い耳の痛みと耳のまわりに水ぶくれができる【耳帯状疱疹】
帯状疱疹とは、神経節に潜んでいる水痘帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうを引き起こすウイルス)が再活性化し、皮膚の強い痛みや水ぶくれが症状としてあらわれる病気です。
耳帯状疱疹の場合は、顔の筋肉をコントロールする神経や、聴覚や平衡感覚をコントロールする神経でウイルスが再活性化することで引き起こされます。
皮膚のただれや水ぶくれなどの一般的な帯状疱疹の症状に加え、耳の痛みや回転性のめまい、難聴などの症状があらわれることも。
治療はウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬やステロイド薬などの薬物療法が中心です。
治療が遅れると、顔面麻痺や難聴などが残るおそれがあるため、異変を感じたらできるだけ早く病院を受診しましょう。
また、疲れやストレスがたまり、抵抗力が落ちているときに発症しやすいため、体調や食事の管理も重要です。
神経の痛み【神経痛】
三叉神経痛や舌咽神経痛により耳が痛くなることがあります。
いずれも突然激痛が走るものです。血管走行異常や腫瘍性病変などが神経を圧迫することで起こる症状で、耳そのものに異常がなくても強い痛みを感じることがあります。
神経痛による耳の痛みは、他の耳の病気と区別がつきにくいケースも多いため、突然の激痛が繰り返す場合は早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
突然耳の痛みを感じたら?
耳の痛みを突然感じたら、どのように対応するのが正解でしょうか?まずは以下の方法で痛みを和らげながら、早めに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。
冷やして痛みを軽減させる
耳に痛みを感じた場合、冷たいタオルや保冷剤を使って患部を冷やすと一時的に痛みが軽くなります。
耳の周りなど痛みを感じる場所や、首の後ろを冷やすのも効果的です。
ただ保冷剤を肌に直接当てると低温やけどや凍傷の危険性があるため、タオルでくるんで冷やすようにしましょう。
鎮痛薬を服用してもいい?
耳の痛みに対して鎮痛剤を服用する方法もあります。
急性中耳炎や外耳炎などが疑われ、夜間や休日に受診できない場合は、痛みを我慢するより市販の鎮痛剤を服用して乗り切るのもひとつの手段です。
ただし、耳の痛みに加えて頭痛やめまい、顔が曲がる(麻痺)などの症状がある場合は、早急に病院を受診するようにしましょう。
耳の病気が疑われる場合は耳鼻咽喉科を受診する
耳の痛みは冷やしたり鎮痛剤を服用したりすることで一時的には落ち着きますが、放っておかずにできるだけ早く病院を受診しましょう。
痛みなどの症状をそのままにしておくと、耳の病気の場合は難聴になるなど悪化するおそれがあります。
教えて院長先生!よくある質問とその回答
耳の痛みを放置するとどうなりますか?
原因によると思います。普通と違う痛みが持続するようであれば耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
プールの後から耳が痛くなりました。すぐに病院に行くべきですか?
解熱鎮痛剤でおちつくようであれば様子をみても良いかと思いますが、受診した方が早く治ると思います。また、痛みが持続、あるいは悪化する場合は受診をおすすめします。
まとめ
耳の痛みを引き起こす原因はさまざまで、耳そのものの病気だけでなく、喉やあごなど耳以外の病気が原因となるケースも少なくありません。
- 飲み込むときの耳の痛みは喉の炎症による放散痛が原因であることが多い
- 耳の痛みを引き起こす代表的な病気は「急性中耳炎」と「外耳炎」
- 耳の痛みを感じたら、冷やす・鎮痛剤を服用するなどして痛みを和らげてもよい
- 症状が改善しない場合や発熱・麻痺などをともなう場合は早めに耳鼻咽喉科を受診する
耳の痛みは我慢せず、できるだけ早く耳鼻咽喉科など専門医を受診しましょう。放置すると症状が悪化し、難聴などの深刻な問題につながる可能性もあります。
福岡市東区名島にお住まいで、耳の痛みがある方はお気軽にあだち耳鼻咽喉科へご相談ください。
あだち耳鼻咽喉科では診察や問診で耳の痛みの原因を特定し、痛みの原因に合った治療をご提案いたします。












