子どもが突然「鼻に何か入れちゃった!」と訴えてきたとき、保護者の方は驚きと不安でいっぱいになるのではないでしょうか。
ビーズや豆、丸めたティッシュなど、子どもは好奇心から思いがけないものを鼻に入れてしまうことがあります。
こうしたトラブルに遭遇したときは、まず落ち着いて、耳鼻咽喉科を受診することが安全で確実な対処法です。
この記事では、子どもの鼻に異物が入ったときの正しい対応と、絶対にやってはいけないことについて詳しく解説します。
目次
鼻の中に異物が入ったときの症状
子どもは自分で鼻の中に異物を入れたことを隠すことが多いため、保護者の方が気づきにくいケースもあります。
鼻の中に異物が入ったときに子どもに見られる症状は次の通りです。
- 片方(異物が入っている方)だけの鼻づまり
- 片方だけに大量の鼻水が出る
- 悪臭を伴う鼻水
- 鼻の違和感や痛み
片側だけの鼻づまりや悪臭のある鼻水は、鼻の中に異物が入ったときの典型的なサインです。
このような症状があらわれたら、早めに病院受診しましょう。
また子どもの鼻の中に異物が入ると、子どもは異物を取り除こうとしきりに鼻を気にしたり触ったりします。
このような子どもの行動も見逃さないようにしましょう。
子どもが鼻の中に入れやすいもの
子どもが鼻の中に入れやすいものとして、一般的なものは次の通りです。
- 綿
- 丸めた紙
- 小石
- ビーズ
- 豆
- ナッツ
- ボタン電池
その中でも特に注意したいのが、ボタン電池。
ボタン電池は鼻粘膜に触れると、電池が反応しアルカリ性の液体を発生させてしまいます。
この液体が鼻粘膜を溶かし、鼻の中に傷や穴があいてしまうことがあり大変危険です。
子どもがボタン電池を鼻の中に誤って入れてしまったら、すみやかに医療機関へ受診しましょう。
なぜ子どもは鼻の中にものを入れたがるの?
子どもが鼻の中にものを入れてしまうのは、「好奇心」が理由です。
身の回りのものすべてに興味を持つ時期なので、「これを鼻に入れたらどうなるんだろう?」と、つい試してみたくなります。
小さな子どもはまだ危険やその後どうなるかを考える力が十分に育っていません。
そのため、大人が思いつかないような行動をしてしまうことがよくあります。
兄弟や友達のまねをしたり、ちょっとしたいたずら心から鼻にものを入れてしまうこともあります。
こうした行動は、子どもなら誰でも経験する可能性がある行動のひとつです。
鼻の中に異物が入ったときの対処法
子どもが鼻に何かを入れてしまった場合、保護者の方はつい動揺してしまいがちです。
しかし焦って誤った対応をしてしまうと、異物が鼻の奥に入り込んだり、鼻の粘膜を傷つけてしまったりする可能性があります。
まずは落ち着いて、次の手順で対応しましょう。
鼻の異物を確認する
子どもの鼻の中に何か入ったかもしれないと感じたときはまず冷静になり「何が入ったのか(異物は何か」」「いつ入ったのか」を確認しましょう。
確認するときは、明るい場所で、見える範囲だけをそっと観察します。
無理に奥まで覗き込んだり、指やピンセットなどを使って鼻の中に入れるのは危険です。
もし鼻の中に入った異物が見つからない場合や、何が入ったのか分からない場合は、自分で判断せず、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。
子どもの様子を観察する
子どもの鼻の中に何か入ったかもしれないと感じたときは、「痛がっていないか」「息苦しそうにしていないか」など、普段と違う様子がないかチェックしましょう。
鼻の中に異物があると、鼻を気にして触ったり、鼻づまりや痛み、鼻血などの症状が現れたりすることがあります。
また夜間に呼吸が苦しそうだったり、何度も目を覚まして泣いたりする場合も、異物が入っているサインかもしれません。
鼻をかませてみる
もし異物が鼻の入り口付近に見えている場合には、詰まっていない方の鼻の穴を押さえ、「フン!」と強めに鼻をかませてみてください。
この方法で異物が出てくることがあります。
ただし、無理に何度も強く鼻をかませたり、異物が奥にある場合は、かえって異物がさらに奥へ入ることがあるので注意が必要です。
異物が見えない場合や、自分で取り除けそうにないときは、無理をせず早めに耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。
鼻の中に異物が入ったときにやってはいけないNG行動
子どもの鼻に異物が入ってしまうと、保護者の方はつい慌ててしまいがちです。
しかし、ここで間違った対応をしてしまうと、思わぬ危険につながることがあります。
ここでは、避けるべき対応について詳しく見ていきましょう。
ピンセット・綿棒などで無理矢理取ろうとする
子どもの鼻に何かが入った際、ピンセットや綿棒などを使って無理矢理取り出そうとするのは止めましょう。
このような行動は、異物をさらに奥へ押し込んでしまったり、鼻の粘膜を傷つけて出血や炎症を引き起こしたりするリスクがあるためです。
鼻粘膜が傷つくことで細菌感染の可能性が高まり、副鼻腔炎などの合併症を招くこともあります。
こうした理由から、ご家庭で無理に異物を取り除こうとせず、最寄りの耳鼻咽喉科へ受診し、安全に処置してもらうことが大切です。
子どもを強く叱る
鼻に異物が入ったとき、つい子どもをきつく叱ってしまいたくなることもあるかもしれません。
しかし、叱ることで子どもが大声で泣いてしまうと、小さな異物の場合は気管に吸い込まれる危険性もあります。
また、叱られたことで子どもが本当のことを言い出せなくなったり、次に同じようなことが起きた場合に隠してしまったりする恐れがあります。
まずは保護者の方が落ち着いて、子どもを安心させてから、すみやかに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
鼻の中に異物が入った際の耳鼻咽喉科での検査・処置
子どもの鼻に異物が入った場合、耳鼻咽喉科ではどのような検査や治療が行われるのでしょうか。
痛みや負担がどの程度なのかも気になるところです。以下で詳しくご紹介します。
問診と視診・内視鏡による観察
まず最初に、医師が異物が入った経緯や時期について保護者の方から詳しく話を聞きます。
子どもがうまく説明できない場合や、何が入ったのか分からない場合も、分かる範囲で伝えることが大切です。
次に、鼻の中を観察するために明るいライトや鼻鏡という器具を使い、異物の有無や位置を確認します。
異物が奥にある場合や見えづらい場合には、細い内視鏡(ファイバースコープ)を使って鼻の奥まで詳しく調べることもあります。
鼻鏡や内視鏡を用いた検査は、通常ほとんど痛みを伴わず、短時間で終わることが多いです。
ただ検査中にお子さんが動くと異物が見つかりにくくなったり、鼻の中を傷つけるリスクがあるため、保護者の方がしっかり体を支えてあげることがすすめられます。
専用の器具を用いて異物を除去
異物が無事に取り除かれた後は、鼻の中に傷や炎症がないか再度確認します。
粘膜に損傷がある場合や感染のリスクがある場合は、必要に応じて薬が処方されたり、経過観察が行われます
医師から指示があれば、しっかり守って自宅でのケアを続けましょう。
鼻の中の異物に気づかないことで起こるリスク
子どもが鼻の中に何か入れてしまったときに、親に叱られるのを恐れて黙ってしまうことがあります。
しかし、鼻の中の異物に気づかずそのままにしておくと、さまざまなリスクが生じる可能性があるため注意が必要です。
ここでは、異物の放置によって起こりうる主なリスクについて解説します。
副鼻腔炎などの感染症リスクが高まる
鼻の中に異物が長い間入ったままだと、鼻粘膜が傷つきやすくなり、細菌感染を引き起こすことがあります。
その結果、膿の混じった鼻水や発熱、頭痛など、慢性副鼻腔炎(慢性副鼻腔感染症)につながることもあるため注意が必要です。
片側だけの悪臭を伴う鼻水や鼻づまりが現れる場合は、異物による炎症や感染が疑われます。
異物が喉や気道に落ちるリスク
鼻に入った異物がそのまま放置されると、くしゃみや鼻をすすった拍子に異物が奥に移動し、のどや気道に落ちてしまうことがあります。
これにより、誤嚥や気道閉塞を起こす可能性があり、呼吸困難や窒息といった緊急事態につながることもあり大変危険です。
鼻石ができる
鼻の中の異物をそのままにしておくと、異物のまわりにカルシウムなどが付着して、石のようなかたまり(鼻石)ができてしまうことがあります。
鼻石は通常の異物よりも除去が難しくなり、場合によっては手術が必要になるケースもあります。
鼻の中の異物についてよくある質問とその回答
鼻の中の異物についてよくある質問とその回答を院長先生にお答えいただきます。
夜や休日に異物が入った場合、どうしたらいいですか?
上記の鼻の片方を押さえて出させる処置はしていただいて良いと思いますが、それで出てこない場合はそれ以上のことはせず、翌日耳鼻科を受診されるのが良いと思います。
鼻の中に異物が入っても無症状のことはありますか?
小さい異物であればそのようなことも考えられます。
小さいお子さんの場合、入れたことを忘れていることもあるため、片方からだけ濁った鼻水が続く場合は注意が必要です。
まとめ
子どもが鼻に異物を入れてしまうのは、好奇心や遊び心から誰にでも起こりうることです。
ビーズや小さなおもちゃ、ティッシュ、ボタン電池など、身近なものが思わぬトラブルの原因になることも。
片側だけの鼻づまりや悪臭のある鼻水、鼻血などの症状が見られたら、鼻の中に異物が入っているサインかもしれません。
- 子どもが鼻の中にものを入れたらまずは落ち着いて何が・いつ入ったか確認する
- 鼻の中の異物が手前に見えたとしても無理矢理取ろうとしない
- 子どもの鼻の中に異物が入っているかもしれないと感じたら耳鼻咽喉科に受診する
福岡市東区名島にお住まいで、子どもの鼻の中に何か入っているかもしれないと思ったら、あだち耳鼻咽喉科へお越しください。
異物の内容によっては、早急な対応が必要なものもあります。
また異物が入っていなくても、別の鼻の疾患が見つかるかもしれません。
お子さんの安全のため、落ち着いて専門医に相談しましょう。













