おいしく食べていた焼き魚や煮魚の骨が刺さってしまった、という経験は多くの方にあるのではないでしょうか?
あの痛みや不快感、違和感はなんともいえずイヤなものですよね。
子どもの場合はこれまでにない経験に、びっくりして泣いてしまうことも少なくありません。
昔は「ごはんを丸飲みするといい」なんていわれていましたが、じつは逆効果になることもあり、あまりおすすめできない方法なんです。
今回はのどに魚の骨が刺さったときの対処法や、子どもに多いのどにまつわる事故やトラブルについて詳しく解説します。
目次
のどに魚の骨が刺さったら?適切な処置のしかた
魚の骨は扁桃や舌の根元(舌根)に刺さりやすく、アゴの下が痛む場合には扁桃に、喉仏のあたりが痛む場合は舌根に刺さっている場合が多いようです。
のどに魚の骨が刺さったらまずは次のような方法を試してみましょう。
子どもの場合には優しく声がけし、気持ちを落ち着かせてあげてから口の中を覗いてみてくださいね。
つばを飲み込む
のどに刺さった魚の骨は自然に抜ける場合も多いものです。
何度かつばを飲み込みながら、抜けてしまうのを待ってみましょう。
うがいをする
刺さった骨を洗い流すようなつもりでうがいをしてみましょう。
小さな骨であれば流れてくれることもあります。
見える場所なら指で取る
口を大きく開けて骨が刺さっている場所が見えるようであれば、指で取ってみましょう。
ピンセットなどを使うのは粘膜を傷つけるおそれがあるため、おすすめできません。
取れない骨を何度も取ろうとすると、余計に奥に押し込んでしまうことも。
周囲の粘膜を爪で傷つけることもあるため、数回チャレンジして取れないようだったら、無理に取ろうするのは禁物です。
のどに魚の骨が刺さってもごはんの丸飲みはNG!
昔ながらのごはんを丸飲みする方法は、のどの入り口付近に刺さった骨であれば有効な場合もあります。
しかし刺さった骨が余計に深く刺さったり、骨の頭が見えなくなってしまったりすることもあるため、あまりおすすめはできません。
とくにのどの奥の気道付近に刺さった太い骨は、丸飲みしたごはんに引きずられて粘膜が裂けてしまうことも。
このように危険なケースも少なくないため、骨が刺さったときのごはんの丸飲みはできたら避けたいものです。
のどに魚の骨が刺さったら耳鼻科で取ってもらうのが安心
のどに刺さった魚の骨がなかなか取れなければ、耳鼻科で取ってもらいましょう。
「魚の骨くらいで……」と思う必要はありません。
実際にのどに魚の骨が刺さって来院される方は少なくないので、遠慮なく受診してくださいね。
とくに出血が多い場合や痛みが強いときには、夜でも救急外来をすみやかに受診しましょう。
病院での処置方法としては、口を開けて見える場所に刺さっていればピンセットなどを使ったり、口の中からの処置が難しい場合は鉗子のついたファイバースコープを使ったりして除去をおこないます。
のどに器具を入れるとオエっとなりやすい場合には麻酔を使うことも。
また骨の刺さり具合や刺さった場所によっては、全身麻酔や胃カメラを使って除去することもあります。
骨を取り除いた後にも違和感があったり痛みが感じられたりする場合もありますが、それは刺さった骨によってついた傷が原因のことがほとんどです。
放っておくとトラブルを引き起こすことも!
魚の骨は自然に抜ける場合も多いですが、刺さったまま放っておくと炎症を起こしたり、腫れたりすることもあります。
また膿瘍と呼ばれるうみが溜まった部分ができてしまうことも。
とくに食道付近は心臓や肺、大動脈といった重要な臓器のある空間(縦隔)のため、魚の骨が刺さり周囲に炎症が広がると命に関わることもあります。
いつまでも骨が取れない、違和感がある場合には、できるだけ早く耳鼻科を受診しましょう。
子どもに多いのどにまつわるその他の事故やトラブル
子どもには魚の骨の他にも、のどにまつわる事故やトラブルが少なくありません。
場合によっては後遺症が残ったり命に関わったりすることもあるため、とくに小さい子どものいる家庭では注意が必要です。
乳幼児が引き起こしやすい、のどにまつわるトラブルには次のようなものがあるのであらかじめ確認しておきたいですね。
1.気道異物・誤嚥
3歳以下に多いのがピーナッツや豆類、小さなおもちゃなどを喉頭や気管、気管支に詰まらせるトラブルです。
口にものを入れているときに、泣いたり驚いたりした拍子で詰まらせてしまうケースが多くみられます。
ゼーゼーとした咳や、放っておくと肺炎を起こしたり、重篤な場合には呼吸障害によって命に関わったりすることも。
3歳以下の乳幼児にはピーナッツや豆類を食べさせることを避け、のどに詰まらせそうな小さなものは手の届かない場所へ置いておくようにしましょう。
2.誤飲
異物を飲み込んでしまう誤飲も乳幼児に多い事故やトラブルのひとつです。
タバコや硬貨、洗剤、ボタン電池、おもちゃや薬などの異物を飲み込んでしまうケースが多く、手術が必要になったり命を危険にさらしたりする場合もあります。
飲み込んでしまった物に応じて対処方法が異なるため、万が一誤飲してしまった場合には医療機関に問い合わせるようにしましょう。
市販の「誤飲チェッカー」を使うとどの程度の大きさの物を誤飲しやすいか、すぐに確認することが可能です。
またトイレットペーパーの芯の直径はちょうど3歳児が口を開けたときのサイズと同じくらいなので、誤飲チェッカーの代わりに使ってもよいでしょう。
3.喉突き事故
子どもが歯ブラシなどをくわえたまま転倒し、喉を突いてしまう事故も後を絶ちません。
口の中やのどに歯ブラシが刺さってしまい入院が必要となるケースもあるため、注意が必要です。
とくに1〜3歳に事故が多くみられ、歯ブラシをくわえたまま動き回らせないようにし、保護者が見守る中で歯みがきをさせるようにしましょう。
また喉突き防止の対策をしている歯ブラシを利用するのもおすすめです。
歯ブラシの他にもフォークや箸などでのどや口、顔のケガをしてしまったというケースも多くみられます。
いずれにしても何かをくわえたまま動き回ったり歩いたりしないよう、見守ってあげることが重要です。
まとめ
魚の骨がのどに刺さったら、ごはんを丸飲みするなどして無理やり取ろうとするよりも、耳鼻科を受診する方が安心です。
そのうち取れるだろうとしばらく放っておくと、思わぬトラブルに発展する場合もあるので、痛みや違和感が続いているなら早めに相談しましょう。
またとくに子どもは魚の骨の他にものどにまつわるトラブルや事故が多いため、保護者や周りの大人が目を配っておきたいですね。
