一概に花粉症とはいっても、花粉にはさまざまな種類があり、飛散する時期も異なります。
そこで今回は花粉症がピークを迎える時期について解説しましょう。
花粉の飛散は春と秋に大きく増え、同時に花粉症の症状も悪化します。
あらかじめいつ頃が花粉症の症状のピークか知っておくことで、治療やセルフケアに役立てることが可能です。
本格的な流行のシーズンを迎える前にチェックしておき、症状を少しでも和らげるのに役立ててくださいね。
目次
2023年 春の花粉飛散予報はどうなっている?

一般財団法人 日本気象協会が発表した、2023年春の花粉飛散予報は次の通りです。
- 北海道…例年よりやや少ない
- 関東甲信・東北…非常に多い
- 東海…例年より多い
- 四国・中国・近畿・北陸地方…例年よりやや多い
- 九州…例年並み
2023年春の花粉飛散量の多い・少ないは、2022年6月~7月の気象から予想できます。
なぜなら、花粉の代表格であるスギ花粉の花粉形成が6月~7月になるからです。
6月~7月の気温が高く、日照時間が長いと花粉形成が促進され、翌年春の飛散量が多くなります。
逆に気温が低く、多雨だと花粉形成が抑えられ、飛散量が少なくなるのです。
さて、2022年の6月~7月の気象はというと、全国的に気温が高く、日照時間が例年より長くなりました。
そのため、2023年春の花粉飛散量は例年に比べて全国的に多くなることが予想されます。
毎年花粉症の症状に悩まされている方は、症状が出る前に耳鼻咽喉科へ受診し、薬を処方してもらうなどの対策をしておくことをおすすめします。
花粉症の時期はいつごろ?
花粉症といえばスギやヒノキがメジャーですが、じつは1年を通してさまざまな花粉が飛散しています。
とくに花粉症の症状に悩まされる人が多いのは春と秋です。
それぞれの季節に飛散する花粉の種類や具体的な時期についてみていきましょう。
春の花粉症:2~5月
春は一般的な花粉症の季節。
2月~5月にかけて、スギやヒノキ、シラカンバ(おもに北海道や東北)など樹木の花粉が飛散します。
樹木の花粉の特徴として、風に乗って10数kmから、場合によっては数100kmほど飛散する場合もあるという点が挙げられます。
したがって森林の少ない都市部でも花粉が舞うため、住んでいる地域を選ばないで多くの人が症状に悩まされてしまう、というわけです。
また、スギ花粉の飛散開始時期は1~2月の気温に左右されます。
気温が高いほど飛散開始時期は早くなり、低いと遅くなる傾向に。
年明けは気温をチェックしておくといいですね。
秋の花粉症:9~10月
「夏の終わりに鼻がムズムズする、くしゃみが止まらない」などと感じているなら、秋の花粉症かもしれません。
暑さの落ち着いた9~10月ごろに発症しやすく、ブタクサやヨモギ、カナムグラといった草の花粉が飛散するのが特徴です。
じつはブタクサはスギ、ヒノキについで3番目に花粉症患者の多い植物。
地球温暖化の影響を受け、今後さらに患者が増えるとも予測されています。
秋に多く飛ぶ花粉の飛散する範囲は、半径数メートルほどと樹木の場合と比べてあまり広くはありません。
しかし河川敷や公園、道端など生活圏にほど近い場所に生育しているため、花粉の影響を受けやすく、注意が必要です。
また、わずかではありますが秋にもスギ花粉が舞うこともあります。これは秋から冬に花粉が作られる過程で花粉がこぼれてしまうためです。
春だけでなく、秋にも気を抜かずに花粉の飛散に気をつけましょう。
【地域別】花粉症がピークになる時期
春と秋の花粉症の時期について解説しましたが、日本は南北に細長いため地域によって花粉の飛散量がピークを迎える時期がそれぞれ異なります。
そこで各地域における花粉の飛散量がもっとも多くなる時期と、飛散の特徴について解説します。お住まいの地域をチェックし、花粉の飛散に備えましょう!
北海道:4~6月
北海道で飛散する花粉は主にシラカンバやイネなどです。
とくにシラカンバが数多く生育しており、花粉の飛散量は4月~5月がもっとも多くなります。
イネの花粉飛散量は6月ごろがピークを迎えます。
ただし他の地域に比べて花粉が飛散する量は全体的に少なく、期間も短いのが特徴です。
スギ花粉も3月中旬~5月中旬くらいに飛散しますが、その量も他の地域に比べてあまり多くありません。
比較的花粉の影響を受けにくい地域ですが、油断せずに対策するようにしましょう。
東北:2月中旬~4月
東北地方は長期間にわたり、さまざまな花粉が大量に飛散します。
スギ花粉は1月下旬~6月中旬まで飛び、とくに2月中旬~4月に飛散量のピークを迎えます。
その後ヒノキ花粉が飛び始め、4月には飛散の量がもっとも多くなります。
スギとヒノキ、両方にアレルギーを持つ方は冬の終わりからゴールデンウィークごろまで、長い間症状に悩まされる場合もあるため注意しなければなりません。
またイネは春頃から秋にかけて、ヨモギやブタクサは9月ごろに多く飛散するため、注意しましょう。
関東:2月~4月
関東地方は年間通して、数多くの花粉が多く飛散するのが特徴です。
スギ花粉は2月~4月ごろが飛散量のピーク。
大きな森や林の少ない東京の都市部でも、多摩地域からスギ花粉が大量にやってきます。
ヒノキ花粉は3月~5月中旬が多く、他の地域に比べて長い期間飛び続けます。
5月~6月中旬ごろにはイネ花粉の飛散量も増加するので注意が必要です。
さらにブタクサやヨモギ、カナムグラなど秋の花粉も多く飛ぶため、アレルギーのある方はしっかりと対策しておかなければなりません。
中部・東海:2月中旬~3月中旬
中部・東海地方は花粉の種類や量はあまり多くないものの、1年を通して飛散しているのが特徴です。
スギ花粉は2月中旬~3月中旬までが飛散量のピーク。
その後4月上旬ごろにヒノキ花粉が多く飛散します。
イネやブタクサ、ヨモギなども花粉は飛びますが、量はあまり多くありません。しかし年間を通じてさまざまな花粉が飛散しているので、対策を怠らないようにしましょう。
関西・中国・四国:3月~4月
関西や中国、四国地方はとくに春先が花粉の飛散量が増え、症状がひどくなりやすい時期です。
3月~4月にスギ花粉飛散のピークを迎えて、3月下旬にはヒノキの花粉量も増加。さらに3月ごろにはハンノキ属のオオバヤシャブシの花粉も増えるなど、春先はとくに注意しましょう。
9月ごろには量は少ないもののブタクサやヨモギ、カナムグラなどが飛散します。またイネ科の花粉も年間を通して飛んでいるので気をつける必要があります。
九州:2月中旬~3月
九州地方は長く、だらだらと花粉の飛散が続くのが特徴です。
スギ花粉は2月中旬~3月ごろまで飛び、後を追うようにヒノキ花粉が4月中旬ごろまで飛散します。
秋の花粉は量はあまり多くありませんが、9月~10月ごろまで飛散するため注意が必要です。
花粉症はピークの前から対策を!
花粉症の治療やケアは症状が現れてから行うもの、と思っていませんか?
じつは花粉の飛散量がピークを迎える前から以下のような対策を講じることで、花粉症の症状緩和や場合によっては完治につながることもあります。
症状が出る前から薬を服用する
基本的に病気は症状が出てから治療しますが、花粉症の場合においては症状が出る前の治療(飛散前投与)が認められ、そのひとつに早めに薬を服用する初期療法が挙げられます。
必ずしも花粉症にならないわけではありませんが、症状を抑えられたり、症状が出るのを遅らせたりする効果が期待できるとされています。
症状などに応じて次のような薬が使われるのが一般的です。
- 第2世代抗ヒスタミン薬
- ケミカルメディエーター遊離抑制薬
- ステロイド点鼻薬
- ロイコトリエン受容体拮抗薬
初期療法を行う場合にはきちんと医療機関を受診し、処方された薬を服用して継続して治療を受ける必要があります。
また自己判断で市販薬と併用するのは危険だったり、効果がまったく出なかったりする場合もあるため控えるようにしましょう。
花粉症の薬については、以下の記事に詳しく書かれていますので合わせてご覧ください。

「舌下免疫療法」という手段もある
近年注目を集めているのが「舌下免疫療法」と呼ばれるアレルゲン免疫療法で、場合によってはスギ花粉症を根治できる可能性もあります。
花粉が飛んでいる・飛んでいないにかかわらず、治療薬を舌の下に1日1回投与する方法で、自宅での治療が可能です。
初めは少量の投与から開始し、3年以上は継続して治療することが望まれます。
また、定期的な受診も必要です。
根治まではいかなくとも、症状を和らげたり、処方される薬の量を減らしたりなどの効果が見込まれます。
現在の時点ではスギ花粉による花粉症とダニアレルギーにのみ舌下免疫療法の適用が可能です。
ただ、開始する場合は花粉の飛散時期は避ける必要があるので、かかりつけの病院に相談されてください。

まとめ:花粉症の時期は地域によって少しずつ異なる
花粉症の元凶である花粉はその種類や地域などによって飛散する時期が異なります。
スギやヒノキなど春の花粉症だけでなく、秋にも多くの花粉が飛ぶので注意が必要です。
花粉の飛散が始まる前からできる治療法や、根治を目指せるアレルゲン免疫療法もあるため、症状がつらい方はぜひ一度耳鼻咽喉科へ相談をおすすめします。
- 花粉症の原因となる花粉は春だけでなく秋にも飛散する
- 花粉の飛散量のピークは地域によって異なる
花粉症の飛散時期を知り、治療やセルフケアに役立て、つらい時期をうまく乗り切りたいですね!
