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高齢者のコロナとインフルエンザの感染はハイリスク!その理由は?

新型コロナウイルス感染症が収束する気配がみえないまま、インフルエンザの流行時期がやってきました。

高齢者の方はどちらの感染リスクも高く、対策をきちんと講じておかなければなりません。

今回は高齢者が新型コロナウイルスやインフルエンザに感染した場合のリスクや、同時流行に備えた対策について解説します。

また、自粛生活で高齢者の方が陥りやすい「フレイル」の進行についても解説していますので、最後まで内容をチェックしてくださいね。

新型コロナウイルスとインフルエンザ、高齢者にとってはどちらの感染もハイリスク

新型コロナウイルスとインフルエンザはどちらに感染した場合も、高齢者は若年層と比べて重症化率・致死率が非常に高い傾向がみられます。

免疫力の弱い高齢者は重症化しやすく、とくに肺炎を併発するリスクが高くなり、呼吸器や心臓などに持病がある場合は命にかかわるケースもめずらしくありません。

この冬は新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念されており、どちらのも備えた対策が必要です。

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備え、高齢者はインフルエンザワクチンの接種を

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が予測される中、まずやっておきたい対策としてインフルエンザワクチンの接種が挙げられます。

日本感染症学会でも同時流行にを最大限に警戒すべきとし、「医療関係者や高齢者、ハイリスク群の患者も含め、インフルエンザワクチンの接種が強く推奨される」との提言しています。

インフルエンザワクチンの予防接種の効果や副作用については、以下の記事に詳しく書かれていますので合わせてご覧ください。

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1.重症化リスクを大幅に減らせる

まず挙げられるのはインフルエンザによる重症化リスクを大幅に減らせる点です。

重症化リスクの高い高齢者ですが、ワクチン接種によって死亡の危険性を5分の1、入院の危険性を約3分の1~2分の1にまで減らせるといわれています。

2.医療体制の維持につながる

ワクチン接種によってインフルエンザ患者数を減らすことができれば、新型コロナウイルスの流行に備えて病床を確保でき、医療体制や医療従事者への負担も減らすことにもつながります

このように、高齢者の方々がインフルエンザワクチンの接種を受けることで、重症化を防ぐだけでなく、医療体制の維持にもつながるというわけです。

65歳以上は重症化リスクが高いことからインフルエンザワクチンの定期接種対象者と定められており、例年接種している方も多いかもしれませんね。

加えて、以下の方々も定期接種対象者とされています

定期接種対象者
  • 60~64歳で、心臓、じん臓もしくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される方
  • 60~64歳で、免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方

また高齢者などを対象に無料接種を実施している自治体も多く、かかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。

ワクチン接種ももちろんですが、日常生活でも新型コロナウイルスとインフルエンザを予防できます。

新型コロナウイルスとインフルエンザ、両方に備えた予防方法については次の記事に詳しく書かれていますので、合わせてご覧ください。

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高齢者は新型コロナウイルスとインフルエンザ感染だけでなく「フレイル」にも注意

高齢者にとって怖いのは新型コロナウイルスやインフルエンザに感染することだけではありません。

感染をおそれ、外出を控えた自粛生活による影響で「フレイル」が進行することも大きく懸念されます。

「フレイル」とは?

フレイルとは日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、健康な状態と、サポートが必要な介護状態との中間の状態をさします。

身体や頭の働きといった精神的・心理的要素が低下することや、普段の生活の動作が行いにくくなったり、疲れやすくなったりするといった肉体的要素の機能が低下することを指します。

フレイルが進行すると抵抗力も減少し、回復力がなくなります。

そのためインフルエンザなどの感染症にかかると重症化しやすい傾向もあるため注意が必要です。

新型コロナウイルス感染症の流行による自粛生活によって、一日中テレビをぼーっと見ていたり、誰かと話すことが少なくなったりするなど、不活発な毎日が当たり前になっている高齢者は少なくないようです。

それにともない、食欲が低下し、低栄養となり、フレイルが進行している高齢者も多いと予測されています。

高齢者の方々は感染症の重症化リスクを減らすことはもちろん、介護状態へ進行するのを食い止めるためにも、フレイルの予防が非常に重要です。


出典:東京大学高齢社会総合研究機構・飯島勝矢「フレイル予防ハンドブック」

フレイルの進行を予防するポイント

2週間の寝たきり生活によって失われる筋肉量は、通常であれば実に7年間で失われる量に匹敵するともいわれています。

高齢者にとってフレイルの進行は死活問題になりかねません。

それではフレイルの進行を予防するためには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。

動かない時間を減らす

ラジオ体操など屋内でもできる運動を続け、筋肉の衰えを予防しましょう。

座っている時間をできるだけ減らすことがポイントで、テレビCMの間に足踏みをする、スクワットなどの運動をするのも効果的です。

また、天気がいい時間帯に屋外を散歩したり、軽い運動をしたりするのもおすすめです。

その際、人混みは避けるようにしましょう。

バランスのよい食事を心がけ、しっかりと食べる

できるだけバランスのよい食事を、三食欠かさず食べるようにしましょう。

栄養バランスのとれた食事は免疫力の維持にもつながり、身体の調子を整えます。

とくにタンパク質は筋肉を作るのに欠かせない栄養素。肉や魚、豆類などを積極的に接種するようにしたいですね。

食事制限を受けている場合にはかかりつけ医に相談するようにしてください。

口腔ケアに気をつける

フレイルの進行を防ぐには、口腔内のケアにも気を配りましょう

加齢にともなって硬いものが食べづらくなったり、滑舌が悪くなったりすると、栄養不足や気分の落ち込みを招きやすくなり、フレイルの一因になることがあります。

歯ごたえのある食材を選び、口の周りの筋力低下を防ぎましょう。もちろん、普段の食事から噛むことを意識することも大切です。

また、なかなか積極的に外出できず、人と話をする機会も減っていますが、電話を活用するなどして会話に努めたいですね。歌をうたったり、早口言葉を唱えたりするのもおすすめです。

まとめ

この冬は新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行することが予測され、高齢者の方々は例年以上に注意が必要です。

新型コロナウイルス・インフルエンザともに高齢者が感染すると重症化の危険性が高く、場合によっては命にかかわる恐れがあるため、十分に気をつけなければなりません。

まとめ
  • インフルエンザワクチンを接種して重症化を予防する
  • 高齢者は自粛生活によるフレイルの進行にも注意する
  • フレイルを予防するには規則正しい生活と適度な運動が重要

もちろんこれまで通り、手洗いやマスクの着用も心がけ、三密を避けるなど新しい生活様式を実行することも忘れずに、感染予防に努めたいですね!

ABOUT ME
【執筆・監修】医療法人あだち耳鼻咽喉科 院長 安達一雄
日本耳鼻咽喉科学会 / 専門医・指導医 身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器認定医 / 補聴器適合判定医 / 九州大学耳鼻咽喉科 特任助教
国際医療福祉大学非常勤講師