鼻や目のかゆみなど日常生活に支障が出ることもある花粉症の症状。
花粉症の症状は、ひどいと日常生活に支障が出ることもあるため、いつから花粉が飛散開始し、いつまで続くのか心配になる患者さんも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、2025年の春の花粉飛散開始時期について解説します。
あらかじめいつ頃に花粉が飛散するか知っておくことで、花粉症の治療やセルフケアに役立てられるでしょう。
秋の花粉症の発症時期や初期治療についてもまとめましたので、花粉症の症状を少しでも和らげるのに役立ててください。
目次
2025年春の花粉飛散開始時期はどうなっている?

スギの雄花は開花前年の10月下旬~11月下旬に花粉を形成し、冬の気温低下に伴い休眠期に入ります。
その後、1℃~8℃の低温下に一定期間さらされることで、覚醒し花粉の飛散に向けて準備を始めるのです。
花粉の飛散開始時期は、休眠からの覚醒に必要な低温時期と覚醒後の温度によって変わります。
今年は12月初めに暖かい日が多かった地域も、中旬以降冷え込む日が続くようになり、2月にかけては平均並みの気温になる予想になっています。
そのため2024年12月に発表された、第2報の2025年の花粉飛散開始予測時期は、おおむね例年通りになると予報されていました。
しかしながら予想に反して九州や中国、東海から関東の一部では1月からスギ花粉の飛散が確認され、例年よりもかなり早い飛散開始となりました。
一方で、2月の初旬から強い寒気が流れ込んだことから、2中旬にかけて九州から東海の気温は例年よりも低い気温を観測しています。
そのため、中国地方の広い範囲と四国地方では、スギ花粉の飛散時期が例年よりも遅れている状況です。
また2月末には長引く寒波が終わり、3月から気温が平年並みか高くなることが予測されているため、東北地方の飛散開始は例年並みかやや早くなるでしょう。
2025年 春の花粉(スギ花粉)の飛散量はどうなる?

- 北海道(シラカバ花粉))…例年よりやや多い
- 東北…例年よりやや多い
- 関東・甲信・北陸…例年よりやや多いか多い
- 東海・近畿…例年より多いか非常に多い
- 中国…例年より多い
- 四国・九州…例年より多い
2025年春の花粉飛散量は、前年春の花粉飛散量が少ないと増加し、多いと減少する傾向があります。
2024年の花粉飛散量は、九州から近畿と、北陸から東北南部では例年より下回り、関東・甲信エリアも例年並みか少ない傾向にありました。
一方で、東海・東北北部・北海道など北日本では花粉の飛散量が例年よりも多い年でした。
また2025年春の花粉飛散量は、2024年6月~7月の気象からも予想できます。
花粉の代表格であるスギ花粉の花粉形成が6月~7月になるためです。
6月~7月の気温が高く、日照時間が長いと花粉形成が促進され、翌年春の飛散量が多くなります。
逆に気温が低く多雨だと花粉形成が抑えられ、飛散量が少なくなるのです。
2024年の夏は日本各地で猛暑日となり、全国的にスギ花粉の形成に好条件な「高温・多照・小雨」の条件がすべて揃いました。
よって、2025年春の花粉飛散量は例年(過去10年の平均)に比べ、ほとんどの地域で多くなる予想です。
とくに四国・中国・近畿は非常に多い所もあるでしょう。
一方で、北海道を含む東北北部などの北日本エリアでは、2024年の春の飛散量が非常に多かったことと、夏に日照時間が少ない時期があったことから、花粉飛散量は例年より少ない見込みです。

2024年と比べると、九州から近畿地方では、スギ花粉の飛散量が大幅に増加する見込みです。また、北陸と関東甲信、東北でも多くなることが予想されています。
一方、東海は前シーズン並み。東北北部と北海道は前シーズンよりも少なくなることが予想されています。
2025年春の花粉飛散量は、2024年春(前シーズン)と比べると、次のようになります。
【2025年春の花粉飛散量―前シーズン比】- 北海道(シラカバ花粉))…少ない
- 東北…多い
- 関東・甲信・北陸…多い
- 東海…並み
- 近畿・中国…非常に多い
- 四国・九州…多い
2024年と比べると、九州から近畿地方では、スギ花粉の飛散量が大幅に増加する見込みです。
また、北陸と関東甲信、東北でも多くなることが予想されています。
一方、東海は前シーズン並み。東北北部と北海道は前シーズンよりも少なくなることが予想されています。
毎年花粉症の症状に悩まされている方は、症状が出る前に最寄りの耳鼻咽喉科へ受診し、薬を処方してもらうなどの対策をしておくことをおすすめします。
2025年花粉の飛散量がピークになる時期

2025年のスギ花粉シーズンは、飛散開始後急速に量が増え、最盛期に達すると予測されています。福岡では2月終わり頃から最盛期が始まる見通しです。
3月初めには、北海道以外の全ての主要都市で最盛期を迎える可能性が高まるでしょう。花粉の飛散ピークは約10日から1ヶ月続くと考えられます。
またヒノキ花粉については、3月後半から4月初めにかけて最盛期となり、およそ5日から14日間続く見込みです。
ただし、仙台ではヒノキの飛散量が少なく、明確な最盛期が見られない可能性があります。
強風の日や急激な気温上昇時には、花粉の飛散が著しく増加し、1平方センチメートルあたり100個を超える日も予想されます。
花粉や天候の情報を定期的にチェックし、十分な対策を講じることが重要です。
花粉症の時期はいつごろ?
ところで、花粉症といえばスギやヒノキがメジャーですが、じつは1年を通してさまざまな花粉が飛散しています。
とくに花粉症の症状に悩まされる人が多いのは春と秋です。
それぞれの季節に飛散する花粉の種類や具体的な時期についてみていきましょう。
春の花粉症:2~5月
春は一般的な花粉症の季節。2月~5月にかけて、スギやヒノキ、シラカンバ(おもに北海道や東北)など樹木の花粉が飛散します。
樹木の花粉の特徴として、風に乗って10数kmから、場合によっては数100kmほど飛散する場合もあるという点が挙げられます。
その結果、森林の少ない都市部でも花粉が舞うため、住んでいる地域を選ばず多くの人が症状に悩まされてしまいます。
また、春の花粉の飛散開始時期は1~2月の気温に左右されるのにも注意が必要です。気温が高いほど飛散開始時期は早くなり、低いと遅くなる傾向があります。
先ほど紹介した2024年の花粉飛散時期はあくまでも予報ですので、年明けは気温をチェックしておくとよいでしょう。
秋の花粉症:9~10月
「夏の終わりに鼻がムズムズする、くしゃみが止まらない」などと感じているなら、秋の花粉症を発症しているかもしれません。
秋の花粉症は暑さの落ち着いた9~10月ごろに発症しやすく、ブタクサやヨモギ、カナムグラといった草の花粉が飛散するのが特徴です。
じつはブタクサはスギ、ヒノキについで3番目に花粉症患者の多い植物です。地球温暖化の影響を受け、今後さらに患者数が増えるとも予測されています。
秋に多く飛ぶ花粉の飛散する範囲は、半径数メートルほどと春の花粉と比べてあまり広くはありません。
しかし河川敷や公園、道端など生活圏に近い場所に秋の花粉の原因となる植物が生育しているため、花粉の影響を受けやすく、注意が必要です。
また、わずかではありますが秋にもスギ花粉が舞うこともあります。これは秋から冬に花粉が作られる過程で花粉がこぼれてしまうためです。
春だけでなく、秋にも気を抜かずに花粉の飛散に気をつけましょう。
花粉症はピークの前から対策を!
「花粉症の治療やケアは症状が現れてから行うもの」と思っている方は少なくないと思います。
しかしながら花粉の飛散量がピークを迎える前から、以下のような対策を講じることで、花粉症の症状緩和や場合によっては、根治につながることもあります。
症状が出る前から薬を服用する
基本的に病気は症状が出てから治療するものです。
しかし花粉症の場合、症状が出る前の治療(飛散前投与)が認められています。
その治療法の1つに早めに抗ヒスタミン薬などの薬を服用する初期療法があります。
必ずしも花粉症にならないわけではありませんが、症状を抑えられたり、症状が出るのを遅らせたりする効果が期待できます。
初期療法では症状に応じて次のような薬が使われるのが一般的です。
- 第2世代抗ヒスタミン薬
- ケミカルメディエーター遊離抑制薬
- ステロイド点鼻薬
- ロイコトリエン受容体拮抗薬
初期療法を行う場合にはきちんと医療機関を受診し、処方された薬を服用して継続して治療を受ける必要があります。
また自己判断で市販薬と併用するのは危険だったり、効果がまったく出なかったりする場合もあるため控えるようにしましょう。
花粉症の薬については、以下の記事に詳しく書かれていますので合わせてご覧ください。

舌下免疫療法
舌下免疫療法とは花粉が飛んでいる・飛んでいないにかかわらず、治療薬を舌の下に1日1回投与する方法です。
初めは少量の投与から開始し、3年以上は継続して治療することが望まれます。
根治まではいかなくとも、症状を和らげたり、処方される薬の量を減らしたりなどの効果が見込まれる治療法です。
現在の時点ではスギ花粉による花粉症とダニアレルギーにのみ舌下免疫療法が適用されています。
開始する場合は花粉の飛散時期は避ける必要があるので、舌下免疫療法をご希望の方はかかりつけの耳鼻咽喉科に相談されてください。

抗IGE抗体療法(オマリズマブ)
抗IGE抗体療法(オマリズマブ)は皮下注射で行う治療で、スギ花粉の飛散時期に、採血検査にて適応がある患者さんで行えます。
花粉によってできるIgE抗体に作用する医薬品で、アレルギー発症の原因となる肥満細胞との結合を遮断し、花粉症の辛い賞状を抑えます。
2~4週に1回注射を行う治療で、効果が高く12歳以上で行うことができます。

教えて院長先生!よくある質問Q&A
花粉の飛散時期や量についてよくある質問を院長先生にお答えいただきます。花粉症の初期療法の1つである薬の服用は、いつからおこなわれますか?
実際には症状が出てから内服される方がほとんどですが、1ヶ月くらい前からの内服が望ましいと考えています。
飛散開始時よりかなり前から症状がでている方も少なくないからです。
花粉の飛散開始前から治療を開始することで、どのようなメリットがありますか?
症状の発症が防げる場合もありますし、発症しても症状の悪化が防げると考えて良いと思います。
あと、繰り返しになりますが、いわゆる花粉飛散開始日よりかなり前から花粉は飛散していますので、症状をなるべく出ないようにするという意味でもメリットはあるかと思います。
まとめ
春の花粉症の開始時期やピークは前年度の夏や初冬の気象によって毎年前後します。
花粉症の方は、最新の花粉飛散情報を確認し、備えて起きましょう。
またスギやヒノキなど春の花粉症だけでなく、秋にも多くの花粉が飛ぶので注意が必要です。
- 花粉の飛散開始時期と飛散量は前年度の気象により毎年変わる
- 花粉は春だけでなく秋にも飛散する
- 花粉の飛散開始時期やピークは地域によって異なる
なお花粉症の症状を和らげる治療法には、飛散が始まる前からできる初期療法や根治を目指せるアレルゲン免疫療法もあります。
症状がつらい方は最寄りの耳鼻咽喉科へ相談してみてはいかがでしょうか。
福岡県東区名島にお住まいで、毎年つらい花粉症ににお悩みの方は花粉飛散前にぜひあだち耳鼻咽喉科へご相談ください。
あだち耳鼻咽喉科では、花粉症の初期療法のほか、重症花粉症患者を対象としたゾレアの治療にも対応しています。
症状に合わせた適切な花粉症の治療をご提案しますので、花粉症の症状がひどくなる前に受診を検討してみてはいかがでしょうか。
