医療法人あだち耳鼻咽喉科

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その止まらない咳は風邪じゃないかも?長引く咳の原因と家庭でできるケア方法

風邪はとっくに治ったはずなのに、咳の症状だけがいつまでも残っているというケースはよくみられます。

しかしいつまでも止まらない咳は、風邪ではない別の原因がある場合も。

 

とくに子どもの場合は長引くことが多く、夜間に咳が止まらなくなり、親子で睡眠不足になってしまうことも珍しくありません。

「咳くらいで」と放っておくと症状が悪化したり、思わぬ病気につながったりすることもあるため注意が必要です。

 

今回は長引く咳をテーマに、原因やホームケアのポイントなどについて解説しましょう。

長引く咳は風邪ではないことも

風邪などの感染症にかかった後、咳だけが残るケースももちろん少なくありません。

しかし2週間を超えて持続的に咳が続く場合には、そのほかの疾患が疑われます

医学的に長引く咳は、持続期間の長さ別に次のように分類されます。

  • 急性咳そう:3週間未満
  • 遷延(せんえん)性咳そう:3〜8週間未満
  • 慢性咳そう:8週間以上

「咳(がい)そう」とは咳のことです。

一般的に風邪の後に残る咳は「急性咳そう」に分類され、その多くが自然に症状がおさまっていきます。

しかし「遷延性咳そう」や「慢性咳そう」の場合には、何らかの疾患によって引き起こされている場合が多く、原因に合わせた治療が必要です。

とくに子どもは咳が出やすく、長引きやすい

そもそも咳とは、外部から入ってくるホコリやウイルスなどの異物に対する、肺や気管を守ろうとする反応のことです。

咳は次のような「咳反射」と呼ばれるしくみで引き起こされます。

  1. 異物が入り込むと気道にある粘膜が刺激に反応
  2. 刺激を脳にある咳中枢に伝える
  3. 脳が呼吸筋に指令を送り、咳が出る

子どもはこの「咳反射」が強いことから、咳が出やすい特徴を持ちます。

また子どもは痰がまだ上手に出せないことも、咳が出やすく長引きやすい理由のひとつ。

さらにまだ免疫機能の弱い子どもは、気道に起こった粘膜の炎症の修復に時間がかかってしまうという点も、咳がなかなか止まらない原因として挙げられます。

長引く咳の原因

つづいて長引く咳の原因となる疾患について、それぞれ詳しくみていきましょう。

■咳ぜんそく

もっとも多い、長引く咳の原因が「咳ぜんそく」です。

 

とくに近年増加傾向にあり、痰をともなわない咳が長期間(8週間以上)続き、胸の痛みや嘔吐、ときには失神してしまうこともあります。

就寝・起床時に悪化しやすく、季節性によって症状がひどくなる場合も多いです。

 

ハウスダストやペットの毛、寒暖の差、タバコの煙、運動などさまざまな刺激で咳が誘発されるのが特徴です。

 

咳ぜんそくが疑われる場合には一般的に気管支拡張薬が処方され、効果があれば吸入ステロイドによる治療がおこなわれます。

咳ぜんそくでは、通常の気管支ぜんそくのようなゼーゼーとした喘鳴(ぜんめい)はみられません。

ただし放っておくと、気管支ぜんそくに移行しやすいため注意が必要です。

■アトピー咳そう

咳ぜんそくと並び、近年増加傾向にあるのが「アトピー咳そう」です。

 

通常より咳反射の感度が上がってしまい、普段ならなんともない刺激に対しても咳を誘発してしまうことが原因。

エアコンやタバコの煙、運動、香水の匂い、季節の変わり目、梅雨時期など、咳ぜんそくと同じようにさまざまな要因が引き金となって咳を引き起こします。

 

また、アトピー素因(アレルギー疾患にかかったことがある・家族にアレルギー疾患を持つ人がいるなど)を持つ人がかかりやすく、鼻炎を併発するケースが非常に多くみられます。

 

症状としてはのどのかゆみやイガイガ感があり、痰をともなわない咳が特徴で、咳ぜんそくの症状と非常に似ています。

しかしアトピー咳そうでは咳ぜんそくに有効な気管支拡張薬は効かないため、抗アレルギー剤などが処方されます。

また咳ぜんそくのように気管支喘息に移行するおそれはありません。

ただ、臨床的には咳喘息との鑑別は簡単ではありません。

■喉頭アレルギー

アトピー咳嗽と類似した疾患ですが、咽喉頭の症状(いがいが、ちくちくなど)を伴います。

アトピー咳嗽と同様に気管支拡張薬は無効で、抗アレルギー薬やステロイドが治療として用いられます。

■非喘息性好酸球性気管支炎(NAEB)

近年慢性咳嗽の原因として言われている概念です。

喘息と病理学的には同じであるにもかかわらず、気道過敏性が亢進していない疾患とされています。

治療は喘息や咳喘息と同様に吸入ステロイドが用いられます。

■感染後咳そう

風邪だけでなく、マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎、百日ぜきなどに感染後、長く続く咳が「感染後咳そう」です。

 

肺炎になっている場合や百日ぜきの罹患からそれほど時間が経過していない場合は抗生剤の投与を行います。

■副鼻腔気管支症候群

慢性副鼻腔炎(ちくのう症)に加えて、気管支の慢性炎症などが合併した「副鼻腔気管支症候群」も長引く咳(8週間以上)が症状のひとつです。

年単位の咳嗽を認めるような場合もあります。

 

鼻水が鼻の後ろから流れ(後鼻漏)、のどを刺激して痰をともなう咳が引き起こされます。

 

とくに就寝・起床時にひどくなりやすく、睡眠中に咳が止まらなくなることも少なくありません。

抗生物質・抗アレルギー剤の内服や点鼻薬、ネブライザーによって鼻やのどの炎症を抑える薬を吸入するなどの治療がおこなわれます。

■胃食道逆流症

胃の中にある胃液や胃酸が食道まで逆流し、胸焼けやゲップ、胃もたれといった不快な症状がみられるのが「胃食道逆流症」です。

 

逆流した胃液や胃酸がのどを直接刺激したり、気管支で吸い込んだりして炎症が起こり、咳が長引くケースも多くみられます。

起床時や食事中、会話の途中、前かがみなどのタイミングで症状があらわれやすいのが特徴です。

また、夜間横になっているときに多いという特徴もあります。

 

直接的な原因は胃酸のため、胃酸の分泌を抑制したり、中和したりする効果のある薬などが処方されます。

また生活習慣とも密接に関わるため、食事や姿勢あるいは寝ている時の体位(頭を高くする)などに注意するとよいでしょう。

 

■ 誤嚥による咳嗽

加齢とともに、また脳梗塞などの既往がある場合などに嚥下の機能が低下し、誤嚥しやすくなります。

食事や唾液を誤嚥することで、生じますので、食事に関連して痰がらみの咳が出るようであれば、耳鼻科で検査をしてもらうことをおすすめします。

■ 心因性咳嗽

心理生理的なメカニズムにより起こる、発作的あるいは持続的におこる咳嗽です。

検査上異常がなく、いわゆる咳に対して行う治療がすべて無効です。

また、夜間には消失するという特徴があります。

環境調整、心理療法、精神科的な薬物療法を行います。

■ Cough hypersensitiveity syndrome(CHS)/laryngeal hypersensitivity(LH)

近年言われている概念で、低レベルの化学的刺激や機械的な刺激、温度刺激により咳が誘発される臨床的症候群です。

わかりやすく言えば咳が出やすい体質ということです。まだ新しい概念ですので今後の検討が必要とされています。

■ その他

他にもCOPD,特発性の肺線維症、肺がん、薬剤性(薬剤の副作用による)咳嗽などの原因疾患があり、呼吸器内科での診察が重要です。

長引く咳を無理やり止めるのはNG!

咳は入ってきた異物を追い出すための大切な体のはたらきです。

 

そのため医師への相談なく、市販の咳止め薬などを使って無理やり止めるのはやめましょう。

本来止めてはならない咳まで止めてしまい症状の悪化につながったり、痰が排出できなくなることで細菌が増殖したりといったリスクがあります。

 

しかし長引く咳は睡眠不足や胸の痛み、体力消耗などを招き、周囲が思っているよりもつらいものです。

できるだけ早く医療機関を受診し、検査や適切な治療を受けるようにしましょう。

長引く咳、家庭でのケア方法

長引く咳は薬などの治療はもちろん、次のようなポイントに注意して家庭でもケアをおこないましょう。

■うがい

うがいはのどを洗浄したり、うるおしたり、また粘膜に適度な刺激を与えます。

 

その結果、異物を取り除く、粘液の分泌・血行を促進してせん毛のはたらきをよくするなどの効果があり、咳の抑制につながります。

 

帰宅後など、こまめなうがいを心がけましょう。

うがいが難しい小さな子どもは、お茶や水などの水分を補給するだけでも効果がありますよ。

■マスクの着用

マスクの着用はウイルスなどの異物を吸い込むことを防ぐだけでなく、のどの乾燥を防ぎます。

気道が乾燥すると、せん毛のはたらきを弱まり、入り込んだ異物を追い出しにくくなってしまい、咳の悪化につながります。

日中はもちろん睡眠中はとくに乾燥しやすいため、マスクを着用しましょう。

■加湿

部屋全体の加湿も大切です。

とくに乾燥する冬は部屋の温度だけでなく、湿度の管理も忘れないようにしましょう。

 

加湿器の利用や、洗濯物の部屋干しなども湿度のアップに効果的です。

部屋に湿度計を設置し、だいたい50〜60%を目安に湿度をキープするようにしましょう。

■タバコを避ける

タバコは、咳ぜんそくやアトピー咳そうなどによる咳を引き起こしやすく、さらに長引かせやすい原因です。

喫煙はもちろん、受動喫煙でタバコの煙にさらされる場合も咳を誘発してしまいます。

 

また気道が狭くなり、肺に炎症が起きて咳が長引く慢性の呼吸器疾患(COPD)は、そのほとんどがタバコが原因です。

 

自分だけでなく周囲にも悪影響を与えるタバコは、やめる方が賢明といえるでしょう。

まとめ

長引く咳はさまざまな原因があり、それぞれに合わせた治療をおこなうことが大切です。

 

また、つらい咳を落ち着かせるには、家庭でのセルフケアも重要

うがいや加湿を心がけ、のどや粘膜に不要な刺激を与えないようにしましょう。

 

長引く咳はまれに結核や肺気腫、肺がんなどが原因の場合もあるため、できるだけ早く病院を受診することをおすすめします。

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